表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やさしい童話たち  作者: 影野 紡


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/1

第一話 森の兄妹と優しい約束

 森の中に、小さな小屋がありました。


 そこには、兄と妹が住んでいます。


 森には、たくさんの妖精がいました。


 木の妖精、花の妖精、葉っぱの妖精。虫たちも、おしゃべりをします。


 兄妹は、そんな妖精や虫たちと、とても仲良しでした。


 毎日、にぎやかで楽しい時間を過ごしていました。


 ところがある日――


 森の外から、子どもたちがやってきました。


 虫かごや、花かごを手にしています。


 それを見た兄妹と妖精たちは、大あわて。


「大変だ、どうしよう!」


 花の妖精が震えます。


「大丈夫。ぼくが話してくる」


 お兄ちゃんは、そう言って立ち上がりました。


 そして、子どもたちの前に歩いていきます。


「ねえ、君たち。虫を取るの? お花を摘むの?」


 子どもたちは、少しびっくりした顔で答えました。


「そうよ。お母さんがお花が大好きだから、摘んであげようと思って」


「ぼくの弟がね、バッタを取ってきてほしいって泣くんだ」


 お兄ちゃんは、少しだけ考えてから、やさしく言いました。


「そっか。誰かのためなんだね」


 子どもたちは、こくんと頷きます。


 その様子を見て、お兄ちゃんは少し笑いました。


「じゃあ、お願いがあるんだ」


「お願い?」


「この森はね、みんながちゃんと生きてるんだ。花も、虫も、妖精も」


 子どもたちは、きょとんとしました。


「だからね、持って帰るんじゃなくて、ここで見ていってほしいんだ」


 風が、さやさやと葉っぱを揺らしました。


「ここで見たこと、家でお話してあげたらどうかな」


「お花のことも、バッタのことも」


 しばらくの沈黙のあと――


「……わかった。じゃあ、そうする」


 女の子が、そっと花かごを下ろしました。


「ぼくも、見るだけにする」


 男の子も、虫かごを閉じます。


 その瞬間、森の奥から小さな声がしました。


「ありがとう」


 それは、花の妖精の声でした。


 子どもたちは驚いて、でも少し嬉しそうに笑いました。


 その日、森にはたくさんの笑い声が広がりました。


 お花もバッタも持って帰らないけど、


 大切なものは、ちゃんと胸に残ったのです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ