『ねここ』と『きらきら』
『ねここ』はひとりでおきるんだ。
歩いていくとごはんがまっている。
うんちとおしっこにはていねいに砂をかける。
ねむくなるとまたねむるんだ。
いつもひとりでねむるんだ。
「ごめんね。いってくるよ」
おにいさんもひとりででかけていく。
ねむくなったらまたねむるんだ。
目がさめると、やっぱりひとりだ。
見えない壁の向こうには、緑が広がっている。
トンボさんがとがった先にとまっている。
チョウチョさんが二つおどっている。
小鳥さんが、なにか食べている。
いつもじっと見ているんだ。
さみしくないよ。
お友だちがいるもの。
暗くなると、お兄さんが帰ってくる。
「ごめんね、あいたかったよ」
ぎゅっとされると、ごろごろいっちゃう。
しっぽもフリフリ動いてしまう。
あるとき、緑が見えなくなった。
白い壁ができていた。
「トンカン ガリガリ ズオーン」
へんな音がたくさんしている。
トンボさんがいない。
チョウチョさんがおどらない。
小鳥さんがやってこない。
いつも白い壁しか見えなくなった。
さみしいよ。
みんな、どこにいったの。
なんかい寝ても、白い壁はどこにもいかない。
なんかい目がさめても、白い壁はそこにある。
さみしいよ。
おにいさん、早く帰ってきて。
あるとき、目がさめたら、白い壁がいなくなっていた。
緑の広場もいなくなっていた。
トンボさんもとまらない。
チョウチョさんもおどらない。
小鳥さんもにげていく。
四角い『きらきら』光る小さな壁がたくさんあった。
お日さまがあたるとキラって光るんだ。
暗くなるとほわーって光るんだ。
目がさめたら、お兄さんがいた。
あれ、どうして?
「『ねここ』、みんなが見ているよ」
小さなお兄さんがいっぱいいた。
目が『きらきら』している。
『きらきら』した目がたくさんボクを見ていた。
「せんせいのおうちそこなの」
「ねこちゃん、せんせいのおともだちなの」
「『ねここ』だよ、みんなよろしくね」
小さなお姉さんもいる。
手をふっている。
『きらきら』した壁がなくなると、そこには小さなお兄さんとお姉さん、そして、大きなお兄さんがいつもいる。
トンボさんが小さなお兄さんと鬼ごっこをしている。
チョウチョさんが、きれいなお花のまわりで楽しそうにおどっている。
小鳥さんがご飯をもらいに来ている。
目がさめるといつも『きらきら』がまっている。
もう、さみしくないよ。




