表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
後妻に入ったら、夫のむすめが……でした  作者: 仲村 嘉高


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/20

18:明るい未来




 戴冠式の日。

 私は愛する夫と息子、そしてアレンサナ家のお義父様とフォルテア家の義両親、更に実の両親と共に出席しています。


 アレンサナ侯爵であるお義祖父(じい)様は、私達よりもかなり前の方で参列しているようです。

 私の兄夫婦やクルスの弟夫婦も、当主は前の方へ参列しているはずです。


 実は、私の父もクルスの父と同じように、早々に当主の座を息子に譲ってしまっていたのです。

 理由はフォルテアの義父とは違い、アレンサナ侯爵家に嫁いだ私を見守る為でした。

 いつまでも代替わりしないアレンサナ家を、(いぶか)しく思っていたそうです。


 両親には、再婚の件で心配を掛けてしまったようです。

 誤解が解けた今では、オスカルを中心に三家ともとても仲良くしております。



「国王陛下もやっと安心出来るだろう」

 アレンサナのお義父様の言葉に軽く首を傾げていると、クルスがそっと耳打ちしてきます。

「戴冠式までは()()国王だから、何かあったらレグロが継承する可能性もあった。これで王位継承権第1位は間違い無く新国王陛下のご子息になったし、レグロの順位はかなり下がったはず」

 前国王が退陣したら、即王太子が国王になっているのだと誤解してました。

 恥ずかしいです。


「貴族家は、当主が亡くなったら即後継者へその地位が継承されるからな。だから幼い後継者を届け出る時は、後見人を立てる事が多い」

 お義父様がクルスの説明に補足します。


 私が王位継承と貴族の当主交代を混合して勘違いしていたのを解っていて、補足してくれたのでしょうか。

 それとも、近々アレンサナ侯爵が当主を退き、お義父様が侯爵家当主代理になる事を言っているのでしょうか。


 そうなのです。

 お義祖父様はやっと隠居できるのです。

 レグロが罪人となり侯爵家から廃籍され、オスカルが後継者になったので、どう転んでもレグロが侯爵家を継ぐ事は出来無くなりました。




 今の侯爵家での(いさか)いは、オスカルに自分を何と呼ばせるか、が1番多いです。

 平和ですね。

「祖父なのだから、私が『じいじ』でしょう」

 そう言ったのは、フォルテア伯爵家のお義父様です。

「その呼び名は、既に私が使っておる!」

 反論したのは、アレンサナ侯爵家のお義父様でした。


「私は『パピー』でも良いよ」

 ヌケサクな事を(のたま)ったのは、我が父です。

「それでは私は『オーパ』にしようか」

 アレンサナ侯爵まで参加してます。侯爵は祖父ではなく曾祖父だと思うのですが。



「名前の後に『じいじ』と付ければ良いのでは?」

 クルスが提案しました。

 それは覚えるオスカルが大変なので、私が却下しました。


 なぜなら、女性陣は全員名前で呼ばせる気満々ですからね。

「ばあばとは呼ばせないわ!」と意気込む母に、フォルテア家の義母も深く頷いていました。兄嫁も義弟嫁も、「おば様」とは呼ばせないそうです。



 アレンサナ家でも、フォルテア家でも、そして私の実家のカノーヴァ家でも、初めての孫になるのでしょうがないのでしょう。

 私とクルスは、ある意味()()()()()()アレンサナ領に居たので、他の家族より早くて当然なのですけどね。


 勿論昼間は、クルスはお義父様を手伝う為に仕事を教えてもらってましたし、私は女主人としての仕事の練習をさせてもらいました。その時間が通常よりも短く、夜の事を考慮していただいたのです。



 女主人の仕事自体は、フォルテアのお義母様と実母に教えてもらいましたし、アレンサナ家のタウンハウスでも実践してました。

 それでもやはり、侯爵家の本格的な仕事となると別ですね。


 クルスは当主にも、当主代理にもなる事はありません。

 あくまでも補佐です。

 それを納得の上で養子に入り、子供を作ったのです。

 マーサは心配して「子を産む道具ではないのですから、嫌なら断ってください」と言ってくれましたが、子供は私もクルスも望んでいた事なので、むしろ甘えさせていただきました。



 マーサは元々アレンサナ侯爵家のカントリーハウス所属の使用人でした。

 旦那さんと子供が居るのに別居してると言っていた時に、詳しく聞こうとしたらはぐらかされたので、何かあるのだろうとは思ってました。


 侯爵はタウンハウスで私の立場が弱くなる事を予測して、味方になるマーサを送り込んでくれたのです。

 私の味方をしてくれた使用人達は、皆マーサの事を知っていました。

 レグロやレヒニタさんが面接した人達は、その事実を知らなかったようですが。


 最初から私は守られていたのです。

 それは、記憶喪失だったクルスもです。



 1番守られているのは、生まれた事をとても喜ばれ、熱烈に歓迎されているオスカルでしょうか。

 私達の愛しい子。


 それからまだ誰にも話していないのですが、私のお腹の中には新たな命が宿っています。

 兄夫婦や義弟夫婦、アレンサナ侯爵と合流して家族が揃ったら、発表しようと思います。




誤字報告ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ