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二節

春の桜が降りしきる今日この頃。君は僕の家の前まで来ていた。

「静次ー!一緒に学校行こ!」

その声が聞こえた時、僕は早急に準備を終わらせ玄関のドアを開けて外に出る。

「あ、やっと来た」

「ごめん遅くて」

君の言葉に僕は咄嗟に返したが、頭の中が空っぽすぎて記憶が薄い。

紫がまだ残る朝焼けの空に降る桜の花びらの中、玄関で髪を弄る君の光景に僕は目を奪われて、まともな思考が出来ずにいた。

「まぁ、いいよ。何時間でも待つつもりだったし」

「僕の時間管理に対する信頼の無さよ」

「別に信頼してない訳じゃなくて、こんなに早く来たからさてっきりまだ寝てるのかと」

必死にアワアワと言葉を紡ぐ君の姿がとても愛おしかった。

確かに、現在の時刻は午前6時前と学校に行くにはかなり早い時間である。ましてや、昨日は12時まで通話していたため、眠気が最高に高まりそうなものだが。

「ふにゅ、、」

しっかりと、目が虚ろになっていた。僕はすぐに何時に起きたのかと聞いた。

君は、頬をパチンと叩いて、元気そうに言った。

「4時!」

「オッケー、あの桜の麓に行こう。そこでギリギリまで寝て」

「フッフッフッ!元からそのつもりだよ静次!」

そして僕らは桜の麓まで移動し、君は僕に座るように言った。

「こうかな」

僕は胡座をかく。少し不満げな君の顔が目に入る。

「そうじゃないんよ」

「へ?」

思わず阿呆みたいな声と顔で返してしまった。君は目を細めながら僕にこう言う。

「なんかこう、私が寝やすいようにしてくれないかなーって」

「この格好でもできるくないか?」

「うぅぅぅぅぅぅ、、、」

もうどうにでもなれと言いそうな顔で、君は僕に指示した。

「もう!正座してほしかったのに!」

「はい」

僕はすぐに正座へと移行する。あまりの従順ぶりに君は少しぽかんとしている。

「なにその素直さ、ちょっと怖いんだけど」

「なんかごめん」

「いやいや別にいいよ、、、うむ!なんとも良き働きであるぞ静次!」

「ありがたき幸せ、、早く寝てハル」

「あ、うん」

僕が促してすぐ僕の膝の上に頭を乗せた君。その瞬間、瞳が虚ろになりながら君は寝てしまった。すっかり安心しきっているようだ。

思わず、頬をツンと突いた。とても柔らかくて滑らかな感触が指に伝わる。

その時、君は目を開き、ニヤッと笑った。

「静次ぃ?私のほっぺたちゃんを触りたいのかい?このこの」

僕をからかいながら、僕の頬を突付く。僕は虚無の顔で君にこういった。

「はよ寝ろ、睡眠不足者」

「はぁい」

子供っぽく可愛らしい声を発して数分後君の寝息が聞こえてきた。

安らいだ息遣いと小鳥のさえずりが、陽の光が照らす桜の部屋を彩っていた。


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