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一節

真っ白な部屋が桃色の反射で染まり、桜の花びらが1枚ヒラヒラと風に揺られながら僕のベットに落ちた。

昔ではもう考えられないほどに痩せ細った僕の腕が視界に入る。

そっと机に置いてある無題のノートに触れる。

力の入らない腕で1ページずつ捲る。

そして、最後の空白に行き着いた。

もうこれで読むのも書くことも最後だと考え、僕は筆を取った。

余白に、震えながら力強く書いた。

『はるこい ーーーーー』


ある春のこと、僕は町の有名な桜の大樹に向かった。

僕らはいつもそこで出会い別れ、思い出のフィルムを増やしていた。

特に友達もいなかった僕にとって君はまるでヒーローだった。

可愛らしくて、すこしおっちょこちょいな僕だけのヒーロー。

誰もが夢見るようなそんな人が僕の側にいることが今でも信じられない。今すぐに「ありがとう」と伝えたいほどに、「大好き」って告白したいほどに、君は僕に大きな影響を与えた。

「なに書いてるの静次ー」

書いているノートの向こう側から君が僕の顔を覗き込んだ。輝くような目が僕の心に突き刺さった。

僕は、少し身体を熱くさせながら微笑み、口を開く。

「これ?小説だよ。いつか『愛と春』を題材にした小説を書きたくてさ」

その言葉を聞いた君は目を輝かせて、僕を褒めた。

「小説!?すごいじゃん!出来たら読ませてよ!あ、でも私、長い文章読めないや」

「うーん、んじゃこれはどうかな?」

「なんだい?」

君は首をふにゅっと曲げた。

「短い物語を少しずつ読むっていうのは?」

「それだ!静次天才!」

歓喜した君は僕の手を取り、大きくジャンプする。

昔から関わっているが、この純粋純白さは変わらないまま何時でも僕の心を照らし続けている。

ジャンプしながら回った僕らは桜の根本に大の字で寝転がった。その時、僕の鼻の上に花びらが落ちてきた。口でフーッと吹くとまたそれが僕の額に着地した。

その光景に僕らは思わず笑ってしまった。

「アハハ!なにそれ!」

「笑うなよ、フフッ」

「笑うなって言ってるのに静次が笑ってどうすんのさ!アハハハハ!」

笑い疲れ、落ち着きを取り戻してきた僕らは見つめ合う。ふと僕は口を開いた。

「なんこれ」

「しらね!」


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― 新着の感想 ―
良くかけてるじゃないか
2024/12/05 23:07 退会済み
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