出発
意識が暗闇に包まれ、自分と周囲の区別がつかなくなっていた。しかし、そのすべての境界が曖昧な世界で、まるで水面を照らす光のように「自分」という概念が再び形を持ち始めた。
意識の中に一つの光点が浮かび、それがゆっくりと拡大し、意識の前方を照らしていく。
溺れている人が藁を掴むように、私は暗闇の中でその唯一の光に向かって手を伸ばした。
その光の存在感は急激に高まり、瞬く間に私の感覚すべてを満たした。
それは、今までに感じたことのない大きな温もりだった。
そして、私はその方を見た——
「私の子よ、小さき者よ、
——あなたは願いますか……
——私のために、この世界を巡ることを?」
ぼんやりと、ある声が私の耳元をかすめた。それは男性のようでもあり、女性のようでもあり、赤ん坊のようでもあり、老人のようでもあった。または、風が吹き抜けたようでもあり、雷鳴のようでもあり、惑星が崩壊する音のようでもあった……
私は声があったのかすらも定かでなく、その感覚は「私」の魂に直接作用しているかのようで、媒介を介さずにその方の意図を理解することができた。
本能的にその方の存在を言葉で表そうとしたが、その方の偉大さを表現できる言葉がなく、初めて言葉の限界をこれほど強く恨んだ!
——私は願います!本当に、心から願います!
私の魂が震えているのを感じた。それは心の底からの共鳴であり、比類のない喜びだった!
たとえ私の意識が曖昧でも、私のすべての細胞が、その方の願いを受け入れるように強く迫ってきた……
いや、違う、それを「依頼」と呼ぶ方が適切だろう。その方はすべてを平等に愛し、すべてがその方の手によって精巧に創り出されていた。当時、意識は朦朧としていたが、その方の慈愛に満ちた口調は今でも私の心に深く刻まれている。
その方の依頼を、この世のすべてのものが間違いなく引き受けるだろう——たとえそれが一粒の砂であっても。
「ありがとう、小さき者よ。では、私のために記録し、私のために経験し、私が創り出したこれらの世界を感じ取り、あなたの見たもの、感じたものを私に伝えてください。」
その方の言葉を聞くたびに、私の心には数えきれない感情が溢れ出してきた。「私」の存在は、その方の声を聞き、その方の思考を感じるためにあるのだとさえ思った。
その方を感じているとき、余計な考えを抱くことは、世界を破壊するよりもはるかに困難だった。
「これはおそらく長い旅になるでしょう。あなたは多くのことを目にし、さまざまな人々に出会うでしょう。苦しみ、悲しみ、喜びや幸せを得ることもあるでしょう。
「小さき者よ、こんなに自分勝手で申し訳ありませんが、あなたに困難な選択をさせなければなりません。でも、これをあなたへの償いとして受け取ってください。」
胸の中に温かい波が広がり、それは私の意識を四方八方に拡散させ、波となっていった。
「あなたの旅が星のように輝くことを願っています。」
その方の声は消えた。
その方の声をもう少し長く私の心に留めておこうと必死に努めたが、そうしなくても、その声は私の魂に深く刻み込まれていた。
「私」はその波の中を漂い、波が静まると再び沈んでいった……
そして意識が戻ったとき、私は自分がどれほど恐ろしい依頼を引き受けてしまったのかに気づいたが、私はまだ自分がこれから何を経験するのかは知らなかった。
私たちはその方を追い求めるために何を捧げ、何を創り、何を破壊し、何を守るのだろうか?その方の祝福は、永遠の呪いに近く、この長い旅には終わりがないのだ。
「新たな代行者が選ばれた。彼はあの方にどんな物語を捧げるのだろうか?かつて凡人だった時の地位に関係なく、これから彼は世界を超越する。自ら筆を執るのか、あるいは観察者として振る舞うのか……いずれにせよ、この世界に彼の足跡が刻まれることだろう。」