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第7話 新天地




 しかし2日後までは不運が続けられることが決められている私に、そんなことが許されるわけが無かった。それぞれが好きな部屋へ向かう中、私は肩を強く叩かれ振り向かざるをえなかった。


 「ちょーっと待ってねー真白ちゃーん」


 常に私を見下し、煽るような言葉遣いをするこの女――佐藤結(さとうゆい)と言い、芽郁の第1側近のような立場である。芽郁とは幼馴染であり、親との繋がりも強い。義務教育敗北並の性格の悪さだ。道徳を毎日6時間受けてきた方が良いほど罵詈雑言をグサグサ刺してくる。


 芽郁はまだ水樹と話してるので参加してくることは無さそう。


 「何?」


 恐る恐る逆鱗に触れないように優しく聞き返す。


 「この世界ってスマホも娯楽も無いじゃん?だからこのあと私の部屋に来てよ。一緒に()()()()。うふふっ」


 不敵すぎる笑みを浮かべると、私の有無関係なくその場から立ち去った。これで行かなければボコボコにされるので、嫌でも行かなければならない。


 結は性格が終わりに終わってるので、代わりに顔は途轍もない美少女。私がヤリマンとか言われていたけど、実際は世界規模で見ても、結ほどヤリマンな子は居ないだろうと言えるほどヤリマン。


 多分、この世界でも気に入った男を喰らい尽くすだろう。たまに同性同士もあるとかないとか、噂を耳にするけど本当は謎のまま。もう自分が気持ち良ければいいのかもね。


 あ"ぁ"ぁ"!!ってこれから早速イジメですかぁ"!!!


 せっかくゆっくりしたかったのに、より疲れる日常が始まるらしい。薬物よりもイジメっ子たちが危険だと思うよ。


 ふぅーっとため息を吐くとそのまま最奥へ向かった。誰も止めることはなく、やっと1人の時間だと嬉しさを噛みしめる。日常が幸せの人よりもこの瞬間の幸せは何倍も幸福感を味わえる。


 珍しく奥を好む人は居らず、私と1番近いのは3つ離れた部屋にいる結だ。


 疲れを若干感じながら早くベッドにダイブしたい思いで扉をあける。するとまず目に飛び込んできたのは外からは想像もつかないほど眩しくて消費電力の莫大そうなシャンデリアだった。シーリングライトばかりを目にしてきた私が目を奪われるには十分だった。


 そして、次に奪うのは当然ベッドだった。


 既にダイブし終えた私は、これまた似合わない高反発の真っ白ベッドに顔を埋めている。真白だけに。なーんつって。


 「あーー疲れたーー」


 この世界で1番の声量でベッドに溢す。ただでさえ壁が厚いのに、結まで3つも空いてるなら誰にも聞こえない。私は近所迷惑関係なくベッドに向かって叫んでいた。


 忘れがちだが、私は元々元気いっぱい天真爛漫ちゃんだ。イジメがない日は良く笑って遊んでたな。懐かしい。


 異世界に転移してもホームシックにならないのは、私の精神力が強いから。いや、鍛えられたから。両親は今頃私を探しては不安で押しつぶされそうだろうけど、私は寂しさは感じてない。


 むしろ、ここに来て今までのやり返しが出来るって楽しみにしてる思いが強い。復讐と言えば聞こえ悪いが、実際何も変わりない。それでお前も道徳心の欠片も無いって言われるならレッテルを貼られたままでいい。


 「よいしょ!ご飯もいつ来るか分からないし、遊ばれに行こうかなーっと」


 瞬間接着剤でつけられた背中とベッドを勢いで剥がす。冬のこたつ並に時間がかかったが、普段の私と比べればイジメが関わってる分早い方だ。


 イジメられると分かっているのにウキウキな自分がバカらしい。同時に、ベッドの癒やしは途轍もないパワーだと思った。


 部屋の鍵を手に、もう1つを扉の僅かな隙間に入れて部屋を出る。もし鍵を奪われたり壊されるなら面倒が増えるから、予備を置く。もうイジメられすぎて癖ってか対処法が秒で思いつく。


 そして3つ先の扉の前に立ち、扉をノックする。すると「はーい」と返事がくると、外開きの扉がバンッ!と激しい音と勢いを持って私の鼻先ギリギリを掠った。それに動じることなく私は待つ。


 「あれれ?そんな離れてたんだー。てっきりすぐそこに居ると思ったんだけどなー」


 その語尾伸ばすのやめてほしい。顔に救われてるけど、絶対にその性格他校だと嫌われるって。


 そんなことするだろうと私は予め距離をとっていた。結のやりそうなことは単純で、マニュアル通りなので捻りを入れる芽郁に比べて対処のやり方は適当でも回避出来る。


 「入ってー」


 「お邪魔します」


 「うん。ホントお邪魔だけど今回は許してあげるー」


 だんだんと喋り方にムカつき始めるが、なんとか堪える。この先死ぬまで慣れないこの話し方、誰か変えてくれないからな。もしくは――。


 おっと、私らしくないことを考えてしまった。


 部屋に入ると、薄々気付いていたがそこにはいつものメンバーが揃っていた。水樹に芽郁、加えて取り巻きの――明楽(みょうらく)キララに七瀬華(ななせはな)というイジメっ子のオンパレード。


 どうやら今日から新天地での、イジメ第一章の開幕のようだ。


 「早かったじゃん。そんなに遊びたかったのかなぁ?」


 ボスは足を組んで、美脚とは言い難い肉のついた足を見せつける。これでも顔はいいと評判なので、世の中はやはり顔らしい。


 「今日はどんな遊びをするの?」


 怖気づくこともなく、私も新天地で変わりましたよとアピールする。芽郁を睨みつけるのは変わらないけどね。

 少しでも面白い、続きが読みたい、期待できると思っていただけましたら評価をしていただけると嬉しいです

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