表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/37

第35話 戦闘開始




 拒否しようとすら思っていなかった。なぜならもう出来ないから。この場を辺り一帯吹き飛ばせるほどの魔力を持つこの男ですら、本能が相手にするなと拒否していいるのに、声に出せば死ぬことを悟っている。逃げ道はない。


 何故中層にこのような手練が居るのか私は分からないけど、アリスが相手をしてくれるのなら、私も思う存分貴公子とやらを練習台にしてやろう。


 「ナ・テリト(重力操作)


 「んっ!?」


 アリスの詠唱により、私の前にリジー、アリスの前にフォーゼンが流れるように重力を操られて移動する。魔法で抵抗する暇もなく、その魔力操作のスピードと高速詠唱は真似することは不可能とまで思い込むほどキレイで完璧だ。


 「ではそっちはそっちで集中するんだぞ」


 「うん、分かった」


 決して名前を呼ばないのは私の復讐を気遣ってのこと。魔法が存在する世界では、いつどこから見られてるか聞かれてるか探られてるかなんて辿ることが難しい。敵対する種族間なら日常茶飯事だろうし、余計に難しいはずだ。


 アリスたちとの距離は50mといったとこか。途轍もない広さの、凸凹突起の激しい空間であるために、なるべく何処かへ強烈な勢いで飛ばされることは避けたい。


 そのためには先手必勝。無能力魔法としての力を発揮してやろうではないか。


 完全に隔たれた私とアリスの距離。助けを求めようにも、簡単にサポートしてくれるだろうが、それを求めていては成長には繋がらない。第一、魔導士である敵に集中し、気持ちよく倒したいと思うアリスに邪魔を入れると機嫌を損ねそうだ。


 ここからは1人での勝負ということ。転移して初めての1対1だ。


 「ねぇ、君は魔人族ではどれほどの強さなんだい?」


 相手が私だからか、先程よりも警戒心も絶望感も感じられない。勝てる相手だと見込んだようだ。少しでもフォーゼンの助太刀に向かいたいのだろう。


 「それを知ってどうするの?」


 ならばこちらも余裕の雰囲気を出す。欠伸をしながらも、よくこの目で見ていたらいつの間にか得意になった魔杖(ディヴァル)回しを何度も繰り返す。


 「アリスと並ぶ仲間のようだけど、魔力もほとんど感じられないから隠してるのかなとも思ったけど、どうやらそんな技術も持ち合わせてないようだから気になったんだ」


 「へぇ、言うね」


 煽りではないのに少々ムカつく。今までのイジメのストレスにより、少しでも下に見られたらムカつく設定が施されたようだ。でもまぁ、魔力が無いのは無能力魔法のせいだし、魔力を隠す隠さないの技術なんて教わるほど、ここに来るまでの時間はなかったから仕方ない。


 ってかそんなの必要ない相手と戦うって言ってたから、私も楽な気持ちでここに居るんだけどね。


 「自分のあらゆることを過信したら、それが死の原因になる可能性が格段に上がるよ?大丈夫?」


 「俺は過信なんてしていない。今この目の前の状況を正確無比に分析して言っているんだ」


 なるほどね。これは過信じゃなくて、超えて慢心だ。無能力魔法が相手でなければ正しい分析だろうけど、あいにくとその唯一の分析不可能が相手なのでご愁傷さまだね。


 ここで1つ無能力魔法の素晴らしいとこ。無能力魔法は2つしか魔法が存在しない代わりに、様々なことを無力化したり、受け付けなかったりする。その1つがこれ。相手の情報系魔法の干渉を受けないのだ。


 魔力を図られることも、どこを負傷しているのかも、どこが弱点なのかも、今の精神状態も。ありとあらゆる私に関するすべての情報を探られることはない。


 やっぱり無能力魔法強くないですか?これ強すぎますって!


 「それなら君の魔法は攻撃特化ではないのかな?正確無比って断言するほどだし」


 「さぁ、それは殺り合わないと分からないだろ」


 「それもそうか」


 私の成長的にも、この先何があるか分からないで戦う方が身のためだろう。なるはやで覚醒まで至るには、人並み以上の鍛錬を毎日死にものぐるいで果たさないとだし。


 「おっ、あっちも始めたみたいだ。俺らも始めるとするか!」


 気合いを入れると同時に魔杖(ディヴァル)を取り出すと間を置かず、魔力と合わせて詠唱を開始する。


 「音操作(ザ・ライル)


 目で見てしか情報が無いが、杖先に激しい音とともに空気が圧縮される。何が起こるか好奇心が高まったため私は止まってそれを見つめる。だんだんと集まるその空気はリジーの顔の2倍ほども膨らむ。


 音も耳を劈くほどうるさく響く。どうにかしないといけないかな、そう思った瞬間に目の前にその圧縮された空気が丸まった弾となり飛んでくる。高音をキーンと鳴らし轟く。向かうは私の体だ。


 「魔力障壁(ラ・フューラ)


 流石に怪我を負うだろうと判断した時には、私も、少ないが純度の高い魔力で場所を小さく固定することでその弾を正面に受け止める準備をする。


 そしてキュィン!と聞いたことのない高い音で交わると、その弾が更に音波を上下に激しく揺れ動くように耳の中へ振動する。


 なるほど……音系ね。音魔法ってとこかな?単純だけど。


 左と右で入る音が絶妙に気持ち悪い。左耳にはキーンと高い音が鳴り響くのに、右耳にはキンキンキンと刻むように連続で止まることなく伝える。これは渦巻管に相当なダメージだ。


 「ハァッ!!」


 なるべく早く解放されたいので魔力の量を上げ、弾と相殺するように腕を前に押しやり、その弾を空気中で消失させた。

 少しでも面白い、続きが読みたい、期待できると思っていただけましたら評価をしていただけると嬉しいです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ