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第33話 戦闘前




 アリスの魔法の教育は自然と聞くだけで頭の中へ入っていくようで、スラスラと止まることなく、しっかりと自分のものとして扱えるようになった。無能力魔法は2つの魔法しか使えないが、たったの1ヶ月ほどで完璧に近いほど使いこなせるようになったのは大きな進歩だろう。


 転移前の高校で学んだ時よりも圧倒的に知識としてつくのが早かったのも、きっと魔人族として転移し、これからの未来が楽しみで仕方ないからなんだと、自分でも理解していた。


 そんな私は今、アリスに付いていきながらコルデミル大迷宮へ向かっている。魔人族の作った転移陣に乗り、それぞれの階層に転移して移動を完了するらしい。人間族よりも正確で、気持ち悪くもならない転移方法らしく、流石は空間魔法の極致へと辿り着いたエマの作った転移陣だ。先輩としても同じ特異魔導士としても尊敬している。


 「この先サナに、初級にはもってこいの相手と戦ってもらう予定だ。もちろん人間族で、相手は貴族の息子だ。まだ情が疼いて手こずるのなら私がすぐにサポートに入るから安心してくれ」


 目的の転移陣まで残り2分ほどのとこで、改めて今日の目的を聞かされる。私はアリスの事前調べにより判明した、私の相手に丁度いい相手と戦うことになっている。ただ敵対していて、元クラスメートでもない人間を殺すからか、アリスは私の精神面を心配してくれる。


 「ありがたいけど、多分大丈夫だよ」


 「そうみたいだな。だが、一応は考えておくんだぞ?何をしてくるか分からないからな」


 「うん。まだまだ死ねないから注意は万全にしてるよ」


 この世界に魔人族として転移した時から、この不思議な気持ちには気づいていた。エルミラと転移の約束を交わした私の死んだ日、その日から人間族にいる元クラスメートのことを考えると、憎しみを始めとした負の感情で動悸が激しくなるのを感じるのだ。


 きっと魔人族としての人間族に対する「悪」を魔人族の概念として受け継いだのだろう。そもそもが敵対する種族同士、相手をよく思うことはメリットではないからね。


 もう、本格的に人間族と敵対する気は固まっているのだ。


 「アリスは私が戦闘中なにするの?」


 「私はその親、当主の相手だな。魔導士ってとこだろうからそんなに遊べないが、暇つぶしにはなるだろう。それに貴族を倒せば後々増援が来る。そいつらの中に猛者がいる可能性もあるから、退屈しのぎには十分だ」


 「なるほどね。でも増援来たら私はどうするの?」


 コルデミル大迷宮には人間族の貴公子を相手にするとしか聞かされていない。その後のことなんて、緊急事態が起きたとしてもアリスならば対応可能なので、考える必要もないだろう。しかし、まだ知識も実力も浅い私には多少の不安は残るので聞きたいのが本音である。


 「その時は私の判断で臨機応変に対応する。基本戦わせたいが、殺した魔導士と同等がそれ以上の力を持つ者が来るだろうから、無理はさせない」


 「了解。私も多分1人でいっぱいいっぱいになるだろうから、後は楽しんでもらって大丈夫だよ」


 「楽しめるといいんだがな」


 「ふふっ、そうだね」


 アリスはバケモノだ。そこらへんの拠点を統括する貴族や魔導士ですら歯が立たないのは当たり前だ。ただ魔人族が人間族の数に50倍ほど下回ってるが故に数で押されて勝利を掴めてないだけで、本当ならもう決着はつけれるほど実力差はある。そう言うほど圧倒的らしい。


 まぁ、これはアリスが人間族を認めたくないからそう言ってるだけかもしれないけど。


 それでもそれを絶対的に信じてしまうほど、私が今後就く、いや、もうエルミラが離れた今、既に就いている六天魔人(ヴァビリム)は最強に相応しい力を身につけている。


 ちなみに、何故未熟な私が六天魔人(ヴァビリム)なのかというと、エルミラとアリスのお気に入りだからだと言う。現在の私よりも猛者は数多く居るらしいが、それでもいずれは私に抜かれるということでこの座には就けていないという。なんか申し訳ない。


 「それにしても好まない気配が凄いね」


 もうコルデミル大迷宮へ行く一歩手前の転移陣へと着いた私たち。飛ぶ前からコルデミル大迷宮の中の気配をムンムンと感じる。夏風邪に罹っている時に朝方のジメジメした空気感と同時に大嫌いな臭いを嗅がされているような気持ち悪さ。耐え難い。


 「コルデミル大迷宮には人間族がたくさんいるからな。魔人族と敵対してるだけあって、気持ち悪い気配を感じるようになってるんだ。慣れればそこまで気にしないぞ」


 「慣れる前にコルデミル大迷宮の人間族を消した方が早くない?」


 「数が多いし、広いから無限に送り込まれるんだ。だから私でも頑張って1日15人ってとこだな」


 「中々少ないね。思ってたよりも広いのかな」


 「正面玄関から正式に入るなら驚くだろうが、あいにく人間族しか入らないから、分かる機会は無さそうだな」


 「そうなんだ」


 魔人族が初めに見つけても、人間族はそれを認めず無理矢理コルデミル大迷宮のあらゆる権利を貰って行ったという。なので全ての規制は人間族によって決められている。が、それに素直に従えばデメリットを蒙るだけなので従う魔人族は居ないんだとか。


 「1度エルミラのお遊び魔法陣を使ったと思うが、それよりも気分はいいし、移動に適しない魔法陣ではなく、特有の転移陣を張ってあるから移動も早い」


 「へぇ、なら安心じゃん」


 確かエルミラの1075個のランダム魔法陣は、少し船酔いのような感覚を覚えた。これからはどんな気分になるか、楽しみでもある。

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