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第2話 光魔法と闇魔法




 すると一瞬にして静まり返る。この世界に来てまで、私はのけ者扱いで無視されるのか、なんてことを思うが、理由は他にあった。そう、私の魔法が底辺の使えない魔法だからだ。


 名称から推測するに、きっと無能力として何も扱えないただの一般人って解釈で間違いないだろうか。そんな魔法を持って転移した私に、珍しい魔法と逸材と言われる天才を求めるお偉いさんたちはなんて言葉を返そうか迷っているなんて、そんな面持ちではなく、これからお前に言うことは決まっているという面持ちだった。


 そしてその代表である、玉座に座る国王はあからさまに悪態をつきながら言う。


 「次だ。今のは調べなかったことにでもしておけ」


 「はっ!」


 迷いなどなく、指示待ち人間の下僕とも呼べる付き人か貴族のようなお偉いさんを1言で動かす。私の腕を掴んだ人も荒っぽく腕を離し、次の目覚めたクラスメートのとこへ向かった。


 これが転移して来た人に対する態度とは思えないが、エルミラの言うように、人間族は敵対心をむき出しに魔人族を根絶やしにしようとしているのは何となく分かった気がする。


 今度はワイングラスに一杯の液体を注ぎ込み、一息に飲み干す国王。私たちに興味のほどはないと示しているようで、余計に腹が立つ。


 絶対王政の天上天下唯我独尊。まさにこれだ。自分以外に上に立つ者は許さないという、独占欲を超えたイカれた領域まで足がどっぷり浸かってるようだ。強欲なんて生易しい。


 見たところエルミラに勝てる要素は無いように思えるけどね……。


 気付けば8割を超えるクラスメートが目を覚まし、腕に魔分を降られては魔法を教えろと言われている。おどおどした生徒が多いのに対して、やはりあの女は相変わらずのイカれ具合を顕にしていた。


 「えぇーこれって異世界転移ってやつっしょ?まじであるんだね!」


 起きてから時間が経過しているのか、早くも今の現状を何となく理解している様子。信じられないファンタジー現象にも動じないこの女、名前を――一色芽郁(いっしきめい)。私をイジメる主犯者であり、スクールカーストのトップに君臨する権力者でもある。


 相手が何であろうと動じず、何か問題が起これば議員である父の権力を行使し沈静化する。まさに自分では何も出来ない人間に相応しい。過去に、まだ私VS34人になる前の時期、私をイジメてたことが問題に上がったが、翌日にそんなことは無かったと私の意見の有無すら関係なしに終わったことがある。


 世の中は金と権力だと、高校生にして理解した。


 「芽郁、みんな混乱してるんだから静かにしないと」


 周りなんて関係ない、自分良ければ全て良し精神の芽郁に少しは自重するべきだと声をかけるのは友人ではなく、芽郁の彼氏――水樹優太(みずきゆうた)だ。


 私がイジメられる原因を作った張本人。そう、私に告白をして歯車を回転させ始めた男だ。今では芽郁と付き合い、私を男子で1番ボコボコにする存在だが、芽郁が最後のひと押しをするまで私の味方に付いてた存在でもある。


 まぁ、好意を抱く人間がイジメられてたら助けるってのは正しいんだろうけど、好意を抱かない人間がイジメられてたら動かないのは正しいとは思えない。


 なんでそんな人が男子で1番のイジメ役なのかって、それは芽郁の力だ。ありもしない嘘を次から次に頭の中に刻み、ついには水樹の触れてはいけない家庭事情について、私が罵詈雑言を並べたとまで吹聴した。


 結果、水樹は精神状態が不安定になり、私をイジメることに加担し始めた。


 そんなこともあって、類は友を呼ぶ現象そのままに、ラブラブに結ばれてるというわけだ。バカみたいだが、見ている側としては面白い。誰もバカにはしないが全員が知るほどバカップルを超えたバカップルである。


 「別にいいじゃん。それよりさ、あの人絶対に国王だよね。それに絶対に私たちを召喚した人だって!」


 「あはは、そうだね」


 この場に似合わぬテンションに内心誰もが呆れる。私はその倍以上だ。水樹ですら落ち着かせようと必死になるほどだが、お嬢様に誰かの指示を聞くなんて言葉は存在しない。共感を求めてあれこれ視点を動かしては、すごくない?と語彙力それだけに頷きを求めている。


 乾いた笑いを知らないって人生充実してるんだろうな。


 そんな2人も次は魔分を腕に振られる順番が来たようだ。私を担当したお偉いさんではなく、女性の優しそうな40前半の容姿である。乱暴なんて言葉から遠く離れた人で、私も可能ならあの人が良かったと心の中では思う。


 「なんと書かれておりますか?」


 柔らかい声色でニコッと笑顔で腕を離した。


 きっとこの2人が転生でこの場にいるのなら、100%の確率で使えないゴミのような魔法を与えられただろうが残念ながらこれは転移。つまり、人生イージーモードと決められた2人にそんな魔法は――ない。


 こんな予想なんて外れてくれればいいものを、何故か当たるのだから不思議だ。今度から願わないようにしようと思うが、どうせ2日でお別れなんだから願わずとも私にデメリットはない。


 無能力魔法と書かれた腕を見るため落とした視線も次の瞬間に条件反射のような俊敏さで顔を上げた。


 「私は――【光魔法】って書いてるけど……」


 「俺は――【闇魔法】だな」


 光と闇、真反対な魔法は2人にお似合いだと思い、バレないよう嘲笑うように鼻を鳴らす。しかし、そんなことが出来たのはこの場で私だけだった。

 少しでも面白い、続きが読みたい、期待できると思っていただけましたら評価をしていただけると嬉しいです

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