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第23話 魔力圧と魔分




 「今現在、サナの魔力は私の1万分の1程度で、魔力爆発にはとても届かない量だ。だが、無能力魔法使いにだけ特別な力が備わっていて、それが原因で魔力爆発を引き起こすんだ」


 「また特別な力が?」


 「ああ。魔力生成といわれるものだ。魔力が砂粒1つ程度しかない今でも、少量の魔力が自動的に生成されているんだ。私たち特異魔法使いでも、並の魔法使いでも、生まれたときから魔力の限界は決められているから、感覚なんて共感出来ないがな。とにかく死ぬか覚醒するまで無限に生成されるから、それを支障ないほどには放出して魔力圧に変え、安定させるんだ」


 「……なるほどね」


 魔力爆発に至る前に一気に放出出来ないのはなんとなく察する。夜、自室に戻っては周りに害の無いように詠唱しているが、常に魔力が生成されているからか、思うように魔力操作(ラ・フィルネ)を使えない。主に相手に使う魔法を自分にかけているのだからそれが普通なのかもしれない。しかし、詠唱に必要な魔力を魔杖(ディヴァル)に送っても消費量が増えたり安定はしない。つまりは放出に必要な魔力も、それ相応だということ。


 まぁ、そもそも強大な魔力を使う魔法は何もないから心配いらないと思うけどね。


 「簡単な作業で終わる。だから早く終わらせて、成長してコルデミル大迷宮に潜るぞ」


 「簡単……ね。アリスの簡単は意味を成してないからさ……」


 今までを振り返ってはあの時はどれほど時間かかったかを思い出す。毎回アリスに苦手なのか?と悪気なく聞かれるとアリスの基準がおかしいだけ、と言い返していた。今も言いかけたのを、テンプレ化しそうだったので止めたとこだ。


 「魔力圧は本当に簡単だ」


 「はいはい。本当でも嘘でもやらないといけないからやるけどね」


 中々起きたくない体を無理矢理起こして再開する。多分この時、復讐のためにって少しでも思うことでモチベーションにも繋がっていただろう。最近怠け者だった私がこうやって練習に打ち込めるわけがないしね。


 そして始まった魔力を安定させる鍛錬。


 放出とだけあって、操作や溜め込むといった緻密な作業を必要とせず、ただ体に感じた魔力を体外に放出するイメージを持つだけで可能だと言う。なぜそれを重力魔法のアリスが知っているのか、それは歴代の魔術に興味を惹かれるといつの間にか知識として覚えてしまっていたらしい。


 それが故にエルミラに教師の立場を依頼したのだろうと今分かった。魔人族で1番賢いのもアリスらしい(自称)。


 とはいえ全く苦労しないわけでもない。魔力は体の中を巡るものであり、どこか一部に固定されてあるものではない。だから一定の場所に集中しすぎるとすぐに放出は止まる。


 魔力は体力と因果関係にあるらしいが、体力が体の中を血液のように巡る感覚なんて知っているはずもなく、結局は1から始められるのと変わりない。


 体力が尽きれば魔力も尽きる。逆も然りである。ならば私は無限に体力が伸び続けるのか、なんて思ったりしたが放出する必要があるから結局は無理だ。だがメリットはある。それが体力と魔力が同じということはその分、元の体力魔力の量が多いという点。


 分かりやすく言うと、ゲームでいう、HPとMPが同じゲージとして備わっているということ。HPとMPが分けられるのが普通である世界だからこそ、常に魔力が増え続ける私にとっては勝手に体力も増えてくれるのだから、いいことだらけだ。


 「随分放出出来るようになったな。まだ赤ちゃんなのは変わりないが」


 「もう何言われても褒められてる気分には浸らないよ」


 はじめて10分経過。アリスは堂々と空気椅子に座りながら私を眺めるだけの時間を過ごしていた。同時に私はその視線に気づくこともなく、集中しては魔力を放出するために全力を尽くしていた。


 「常に放出ってなると少し魔力操作(ラ・フィルネ)の力を使わなければならない。だからあと20分続けたらそれに移ろう」


 「はーい」


 たった10分でも限界はすぐそこだ。魔力障壁(ラ・フューラ)をおもいっきり詠唱すればバタンと倒れるのは簡単だろうな。


 しんどいです!


 「ん?」


 「どうかした?」


 癖のように手の上で重力に逆らわせながらくるくる回転させる魔杖(ディヴァル)。それでも目はこちらを見ており、それはもう不思議そうだった。


 「左腕を見せてくれ」


 「良いけど……」


 全く状況の飲み込めない私に構わず、アリスはこちらへやってくる。改めてスタイルの良さと顔の良さに惚れない男はいないと言える。


 そんなアリスは私の腕を優しく掴み凝視する。魔法測定以来であり、同時にそのことが関係しているのだと分かった。


 「やはり、人間族の魔分を振られたな?」


 顎に手を置いて、考えるように険しい顔をして問う。しかし嫌な気持ちは全くしない。


 「うん。魔法知りたいからって無理矢理ね。それがどうかしたの?」


 「人間族の魔分は……ゴミだ。魔分は魔法を浮かび上がらせることにも使うが、体に振りかけることで傷を癒やす効果もある。それは己の魔力と適応してだ。だが、人間族の魔分は治癒効果がない。だから人間族を除く3種族は人間族の魔分を嫌っているんだ。あの腐ったゴミどもの魔分なんて、死んでも受けたくはない」


 相当嫌なのだろう。はじめて口の悪いアリスを見たが、これは怖い。目も睨みをきかせており、薄っすらと殺気すら感じる。怒らせないようにしないと。

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