表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/37

第21話 無詠唱と死




 「ああぁぁぁ!無理ぃ!」


 「はははっ、順調に成長は見せるが疲れ方と体力だけは成長しないな」


 魔法を使えるように練習を始めてから早1週間。私は魔杖(ディヴァル)を扱えるようにはなったものの、それだけで、実際に魔力を経由させて相手に魔法をかけることはまだ出来ていなかった。故に感覚だからすぐ使いこなせるとか言っていたことが嘘であると身を以って証明されているところだ。


 しかし、魔力操作(ラ・フィルネ)を使用するために魔力を注ぎ込むと、相手の魔力を少しばかり感じ取ることは可能になった。主に自分よりも相手の魔力を自由自在に操る能力であるため、ある程度の魔力量を知る必要がある。じゃ、どうやって知るか、それが魔力眼(まりょくがん)と言われる、魔力で形成した目に見える魔力を測定するための基礎中の基礎の業だ。


 魔力眼を使わずとも無能力魔法を使うことは可能だが、あるのとないのとでは差が大きく開くらしい。


 たった1日で習得したが、初日から異世界人である私には合わず、今日の慣れた日まで体調を崩すこともあった。が、上手く使いこなす必要もなく、目で見ればだいたいの魔力が計れる優れものなので慣れると便利だ。


 私は魔力が少ないからすぐに魔力眼消えちゃうけどね。


 それでも基礎中の基礎は習得出来る才能を持っていて良かった。ここでも無能判定されたらエルミラにお願いして、復讐をしてもらうことになっていただろう。


 魔力眼を使いながら魔杖(ディヴァル)に魔力を注ぐ感覚を覚えるのは難しい。左手で三角、右手で四角を同時に描いているように、感覚を研ぎ澄ませ意識集中させれば容易だが、余裕はまだ持てない私には魔力の分配は手こずる範疇だ。


 慣れるまでの道のりが険しい険しい。


 「死ぬ気で頑張れば後が楽になるぞ。楽あれば苦ありの逆だと考えろ」


 仰向けに大の字で寝転ぶ私に、重力魔法で空気椅子を作って座るアリスは言う。細かなコントロールも可能らしく、息をするように世界の重力を操れるらしい。本当に20代なのだろうか。やってることが魔王と言われても疑わないんだが。


 「苦あれば楽ありってこと?無理無理。そんな都合良く私の頭はポジティブになれないよ。この先何があっても今がきついとね……」


 「無詠唱で魔法が唱えれるようになると聞いてもか?」


 「……無詠唱?」


 日本にいた時にも何度か耳にした異世界ファンタジーあるある。強い人が良く使うと認識しているあれだ。私はそんな言葉に内心ワクワクさせられながらも首を傾げている。


 「無詠唱であって魔杖(ディヴァル)を必要としない魔法をサナは使おうとしているんだ」


 「……と、言うと?」


 「魔法は呪文を唱えて、それが魔杖(ディヴァル)に伝わることで魔力と同調させ具現化、又は効果を発するんだ。だか覚醒後の三神魔法(オリジン)はどれも例外で、魔杖(ディヴァル)を必要としないんだ。だから詠唱もいらない」


 「それならどうやって魔法を使うの?」


 「魔力がある限り、詠唱を思い込めばその通りに魔法が成り立つと言われている。詳しいことは私の存命中に無能力魔法の使い手が居なかったから分からないがな」


 「なるほどなるほど……」


 これが俗に言うチート能力ってやつですかね?今で言うなら自由自在に魔力を扱うことを、魔力枯渇しろ!って思ったら自動発動ってことでしょ?やっべぇじゃん。


 とはいえ、これも自分の魔力量と相談しての詠唱だろう。無限に詠唱してたらこの世界が滅びるのは目に見えてるし。


 「なんだかポジティブに考えれる気がしてきた」


 「だろ?まぁ、いくら天才サナでも、私でも生まれて24年は使った覚醒までの時間を短期間で乗り越えれるとは思わないけどな」


 「上げて落とすんかい。せっかくモチベーションアップしてたのに」


 「ははっ、それはすまない。なら、お詫びに1つ良いことを教えよう」


 「……今度は何?」


 空気椅子から立ち上がり歩き出すと私の真上に顔を被せる。明かりが閉ざされるが、キレイな顔立ちであるアリスが見れるのはいいことかもしれない。


 やってきたアリスは無言で居たが、紅い眼は何かを探るように点滅していた。まるでエルミラの目のように。紋章が刻まれているのは、エルミラとソフィアとアリスだけなので六天魔人(ヴァビリム)特有ではないらしい。


 「やはりサナはエルミラに殺されてないな」


 やっと喋ったと思ったら私には意味の分からないことを言い始めた。


 「私が……殺される?」


 「全く悪い意味では無いんだが、エルミラはサナを殺すつもりだったんだ」


 やはり聞き間違いではなかった。が、一瞬血の気が引くとすぐに言葉の意味を理解した私は落ち着く。全く悪い意味ではない。そういうアリスを信じているからこそ落ち着けたのだ。


 「なんで?」


 「サナを魔人族に転移させるには1度サナが死ぬ必要があったからな。エルミラが自身の手で殺めた者は過去も未来も思い通りに操れるから、それを利用してサナの死後、魔人族として転移したことにしようとした」


 不快感も疑心暗鬼にもなる雰囲気は漂わない。変わらずクールビューティーにお姉さん感を出して気品ある態度で目を合わせていた。


 「そこでだ、これが良いことなんだが、無能力魔法の使い手はどんな方法であれ1度死ねるんだ」


 「……え?」


 「だからエルミラはサナを殺して自分の魔法ではなく、無能力魔法の力を使って蘇らせた後に魔人族へ転移させるつもりだったんだが、運悪くエルミラが殺す前に死んだ。エルミラが殺さず無能力魔法使いの死後に干渉したことで莫大な魔力を使用してただろうが、逆に不幸中の幸いか、まだサナは死ねるんだよ」


 ポカーンとした私は関係なく説明を続けていたが、何故かポカーンとしていたわりに頭の中では理解が追いついていた。

 少しでも面白い、続きが読みたい、期待できると思っていただけましたら評価をしていただけると嬉しいです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ