ゆいこのトライアングルレッスンJ 〜ゆいこのJ〜
『小説家になろうラジオ』より
子供の頃、ひろしとたくみというイケメン二人が塾に迎えに来てくれるという妄想をしていた巽さんに、恋愛小説のような胸キュンの三角関係を味わわせてあげようという企画…にて、投稿したものです。
今日はバレンタイン。
たくみも、ひろしも、沢山の女の子からチョコをもらっている。
「へっへーん、俺の方がチョコ多い!」
たくみったら、ちょっとカッコイイからって、調子にのっちゃって!
「ま、大事なのは数じゃないからな?」
何よ! ひろしったら、冷静に言ってるけど、その気がない女の子からも受け取ってるじゃない!
夕方、図書館に行くと、ひろしがミステリー小説を読んでいた。
わたしがミステリー小説を好きになったきっかけはひろしである。
もしかしたら、ひろしと話したくて、夢中で読んでいたのかもしれない。
「誰か待ってるの? また女の子? モテモテでいいですねー」
「は? 本当にもらいたいヤツからもらえなきゃ意味ねーんだけど?」
「へっ……」
本当にもらいたいヤツ!?
それって……?
「ゆいこ、先生が呼んでるよー」
クラスメイトが、わたしを呼びにきた。
先生からの呼び出しで、わたしは図書館をあとにした。
図書館に戻ると、もうひろしの姿はそこにはなかった。
「あーあ。チョコ、渡しそびれちゃったな」
わたしったら、ホント素直じゃない。
こんなんじゃ、可愛くない。
分かってるのに。
本当にひろしがチョコをもらいたい人って誰よ?
校舎を出ると、雨が降り始めていた。
雪だったらロマンチックなのに。
まるでその雨は、わたしの心の中みたいだった。
ふと、前にひろしの傘を見つけた。
わたしは嬉しくて、声をかけようとしたが思いとどまった。
ひろしの傘の中には、もう1人誰かが居る。
えっ!?
わたしは息を呑んだ。
ひろしの隣には、たくみがいた。
2人の手は、触れるか触れないかの距離で、想いを押し殺しているかのようにも見える。
傘の合間から、わたしには見せない、嬉しそうなひろしの笑顔がこぼれた。
明日は、たくみのJをお届けしようかと思います。
メガネガールも登場?個人的に1番好きなJです。