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前世「騎士服フェチ」だった私の婚約者は年下の騎士様でした。


 雲ひとつない青空の中、宮廷騎士団の入団式が行われた。


 私の前に現れたのは、白地に金糸の装飾が目にも鮮やかな騎士服を纏った、輝くばかりに麗しい青年だった。


 そして私は倒れた。


 彼のあまりのかっこ良さに衝撃を受けたのだ。前世を思い出すほどの衝撃を。



 私は乙女ゲームをした事はなかったが、転生ものの漫画やアニメは見た。主にヒロインと騎士の恋の話が好きだった。題に「騎士」と入っていれば必ず一度は目を通した。


 私は騎士服が大好き。前世の言葉で言う「騎士服フェチ」なのだ。


 特に白服に弱い。5割増しでかっこ良く見える。しかも、あの戦いの最中にサッと避けたり、くるっと回転しても何故か落ちない不思議なコートを肩に羽織っていればさらに3割増し。


 友達には「ナルシストっぽくて嫌だ」と言われたけど、好きなものは好きなのだからしょうがない。


 でも転生って自分がしたことのあるゲームや読んだことのある小説の世界に転生するわけではないのね。


 私の名前はおろか、この国の名前も王太子もその婚約者も、全く読んだ覚えがない。


 私、公爵令嬢なのだけど悪役だったりするのかな?


 ま、いっか。


 元来お気楽な性格のため、考えてもどうしようもない事に気づき、考えるのをやめた。



 今思い返せばだけれど、子どもの頃、私の弟の元には年齢の近い第一王子や宰相の息子といった、もしかして攻略対象?という面子がよく遊びに来ていた。


 その中の一人、ウィリアム(愛称ウィル)は代々騎士の家系の侯爵家三男。


 プラチナの髪と深く碧い瞳が印象的な可愛い顔をした男の子だった。

 

 優しくて穏やかなウィルは争い事が嫌いで、よく「騎士には向いていない」と不安を吐露していた。


 ウィルのすぐ上のお兄さんが騎士養成学校に入学していたので、


「ウィルは王立学園に入学して文官を目指せばいいんじゃない?」と言うと、

 

「騎士の家系なのに騎士じゃない僕に価値はありますか?」


 と心配そうに言った。


 この国は騎士の地位が高く人気も高いため、騎士の家系でなくとも騎士になりたがる人が多い。

 だけど、人には向き不向きがある。


「何言ってるの?当たり前じゃない。ウィルはウィルよ。騎士だろうと文官だろうと、もちろんそれ以外だとしても、頑張ってなったのなら胸を張っていいのよ」


 そう言うと、ちょっと安心したように微笑んだ。


 かわいい……女の子顔負けである。


 その日を境に、ウィルは第一王子のスティーヴ様たちと一緒に来るのだけど、真っ直ぐ私の元に来て二人で過ごすことが増えた。


 お姉さんに憧れる年頃ってあるよね。

 ウィルも多分それだろう。そう思っていた。


 それから数年経ったある日、真剣な顔をしたウィルから「騎士養成学校に入学する」と聞いた時は本当に驚いた。

 

 理由を聞くと「ジュリアと一緒に卒業したい」と言われた。


 王立学園は15歳で入学するが、騎士養成学校は13歳から入学可能となる。確かに、2歳年下のウィルが騎士養成学校に入学して最短で卒業すれば、私と同じ年に卒業することにはなるけれど……。


「そんな理由で?あんなに争い事が嫌いだったのに?」


「僕にはとても大きな理由です!必ず、貴方に相応しい男になって戻って来ます。だから、僕と婚約していただけませんか?」


 !?!?!?

 驚いて声にならない私をよそにウィルは私の手を取って跪き、手の甲に口付けた。


 !?!?!?

 さらに衝撃を受けた私は、返事をする間もなく倒れた。



 目を覚ますと自分の部屋のベッドの上だった。

 弟のアランが「ウィルはとても心配していたけど、もう遅いからって従者に連れられてつい先ほど帰った」と教えてくれた。


「ウィルはあなたたちの剣術遊びも見ていただけなのに、今から騎士の訓練についていけると思う?」


「ウィルは俺たちの遊びに混ざっていないだけで、家では訓練受けているし、争い事が嫌いってだけで、俺たちの誰よりもセンスあるから」


 そうなの!?知らなかった。

 人は見かけによらないのね。


「あいつは真剣だよ。年下だからとか、そんなつまんない理由で終わらせないで、ちゃんと真剣に考えて返事してやって」と言われた。


 友達思いの素敵な弟に育ってくれて、お姉ちゃん嬉しい。


 だから、私なりに真剣に考えた。


 かわいい弟みたいなものだと思っていたけれど、当然のことながらアランに対する気持ちとは全然違う。


 何より、手の甲に口付けられた時とてもドキドキした。

 驚いたのもあるとは思うけど、きっと他の人にされていたら手を引いたと思う。

 でもウィルは全然嫌じゃなかった。手を差し出したまま、されるがままだった。


 この気持ちが恋なのか何なのかはわからないけれど、私ももう14歳。しかも公爵令嬢なのにまだ婚約者がいないのは珍しい。

 

 今はまだ父の地位が安定しているので「好きな人と結婚しなさい」と言ってくれているが、権謀術数渦巻くこの世界。将来何が起こるかわからない。


 知らない人と婚約させられる前に……と言う打算がちょっとだけあったことは認める。

 でも、ウィルとなら穏やかに過ごせるような気がする。そう思ったことも事実。


 次に会った時にお受けする旨返事をすると、ウィルはとても嬉しそうな顔をしてくれた。


 その後話はスムーズに進み、お互いの入学前に婚約した。


 騎士養成学校は全寮制で年に2回しか帰省できない。しかもウィルは言葉通り相応しくなってから再会しようと思っているようで、卒業まで一度も会いに来なかった。


 でも、手紙はこまめに送られて来た。

 一人称が「僕」から「俺」に変わったけど、中身は昔と変わらず優しいウィルのままだった。


 宮廷騎士団に入団が決まったと聞いた時は本当に嬉しかった。


 そしてこの春ウィルは学校を首席で卒業し、宮廷騎士団に入団した。


 残念ながら宮廷騎士団の入団式は、団員と国王陛下、王太子のみの参加となっている。


 入団式が終わるまで、アランとアランの婚約者の第一王女アリシア様と一緒に王宮の庭園でお茶を飲みながら待っていた。


 3年ぶりに会えるのでとても楽しみだった。


 ウィルももう16歳。

 背は多少伸びているだろうけど、やっぱり相変わらず可愛いのかな?


 なんて思っていると、アランが私の後ろに視線を移して手を挙げたので、ウィルが来たのだと思い立ち上がって振り向いた。


 するとそこには輝くばかりに麗しい騎士服姿の青年が立っていた。


 ……ウィル?


 記憶の中のウィルとは全く違っていて、背が高く、すらりと伸びた手足、服を着ていてもわかる胸板の厚さ。


 かろうじてウィルだと気づけたのは、プラチナの髪と深く碧い瞳が優しく微笑んだから。

 

 そして記憶とは違う低い声が囁くように私の名前を呼んだ。


「ジュリア」


 そのあまりの色気に私は倒れ、その衝撃で前世の記憶が蘇り……今に至る。


 気づくと王宮の一室のソファに横になっていた。


「大丈夫ですか?」


 声のした方に視線を動かすと騎士服姿のウィルがいた。


 !!!

 

 あまりのかっこ良さに叫びそうになり、思わず手で口を塞いだ。


 ウィルは年上が好きなのだから、前世のミーハーな私を出すと引かれてしまうだろう。

 凛としていないと。

 

「気分が悪いのですか?」


 口を手で塞いだまま、ぶんぶんと首を横に振った。


 ダメだ。さっきから全然凛としていない。


 お願いだからその色気を抑えて欲しい。というよりも着替えて来て欲しい。


 久々の再会で騎士服姿は「騎士服フェチ」の私には刺激が強過ぎる。


「あの、騎士服は疲れませんか?着替えて来てはいかがでしょう?」


 直視しないようにゆっくりと起き上がりながらそう言うと、ウィルはとても悲しそうに言った。


「そうですか。ジュリアに見ていただきたかったのですが。喜んでいただけると思ったのですが……」


 そう言って寂しそうに立ち上がるウィルを慌てて止めた。


「待ってっ!違うのっ!」

 

 絶対誤解してる。


 恋愛ものにありがちな「誤解されて、すれ違って、拗れて」というパターンにはなりたくない。


「あのですね、その、ウィルが余りにもかっこ良くなり過ぎていて、その上、私、その、騎士服に弱くて、心臓がもたないというか、なんというか……」


 正直に言いましたよ。

 年上の威厳も何もあったもんじゃない。


 もちろん直視できないので、ウィルがどんな表情をしているのかわからない。


 ウィルが何も言わないので、手で顔を覆いつつ指の隙間から様子を伺うと、ウィルと目が合った。


「やっと、こちらを向いてくれた。男として見てもらえる事に成功したのかな?」


 眩しい笑顔を向けられた。


 私はぶんぶんと首を縦に振った。


 ウィルはふっと笑うと手を伸ばし、私の手を取り跪いた。


 ひえーっ。


「迎えに来たよ」


 そう言うと手の甲に口付けを落とした。

 

 当然のことながら私はもう一度倒れた。



 目が覚めると呆れた顔をしたアランがいた。


「ウィルは?」


「俺が帰らせた」


 弟よグッジョブ。


「姉さん、そんなんじゃ結婚式できないよ?」


「どうして?」


「騎士の正装は騎士服だから、ウィルは騎士服着るだろ?」


「なんですってっ!?私にあの色気ダダ漏れのウィルの隣に立てと言うの?」


「そういう決まりなんだからしょうがないだろ?」


 そうだった。騎士人気の高いこの国では騎士服は所謂ステータスシンボルであり、さらに近衛騎士ともなると夜会や舞踏会、延いては結婚式に至るまで騎士服は礼装扱いなのだ。


「はっ!ちょっと待って!ねえ、なんでウィルは白い騎士服を着ていたの?宮廷騎士団の騎士服は青色よね?白い騎士服なんて、まるで近衛騎士みたいじゃないのよっ!」


「だってあいつ近衛騎士だもん」


「どうしてよ!?今日入団したばかりじゃないの?」


「だってあいつエリート中のエリートだもん」


「どういうこと?」


「ウィルは千年に一人と言われる逸材で在学中から魔獣討伐とか護衛に駆り出されていて、そこで数々の功績を挙げたからいきなり近衛騎士に大抜擢されたんだよ。もちろん異例中の異例みたいだよ」


「なんですって……なんでアランはそんなこと知ってるの?」


「エリート云々っていう話はスティーヴ様が教えてくれた。でもウィルから近衛騎士に選ばれたことは姉さんには内緒にしてくれって頼まれた。騎士服姿を見せて驚かせたかったんじゃない?」


「見事に驚いたわよ……」

 

 そんなチートな騎士様が婚約者だなんて、前世の私そんなに徳を積んだのかしら?

 なんだか幸運過ぎて怖いんですけど。


「まあ、卒業してすぐに結婚式挙げなくて良かったと思えば?慣らす時間が取れたってことで」


 そう、お互いの両親は卒業後すぐに式を挙げるように説得していたが、ウィルが仕事に慣れて落ち着いてから私を迎えたいと言ったそうで1年後に挙げることになっている。


 その時は1年も開ける必要あるのかな?と思っていたけれど、この調子だと1年でも足りないかも。


「ウィルも学校卒業して家からの通いになるわけだから、次の休みにでも遊びに来るように言っておいたよ」


 弟よグッジョブ。

 とりあえず普段着のウィルから慣れて、数をこなしていくしかないわね。


 そして、約束通り次のお休みの日にウィルがやって来たのだけど……


 ウィルは普段着でもかっこ良すぎた。



*****



 宮廷騎士団の入団式が行われた。

 一人の男としてやっとスタートラインに立てる。


 3年ぶりにジュリアに会う。


 婚約しているにもかかわらず、学園では何人もの人がジュリアに告白していたと、アラン達から聞いている。

 さらに綺麗になっているのだろう。


 俺はどうだろうか?背は伸びて少しは大人っぽくなったと思うが、一人の男として見てもらえるだろうか?


 ジュリアが俺のことを弟のように思っていたことは知っている。だから敢えて3年間1度も会わなかった。


 年齢よりも大人っぽく見えると言われている騎士服のままジュリア達のいる王宮の庭園に向かった。


 するとジュリアは俺を見るなり倒れてしまった。

 慌てて支えると


「かっこ、良すぎ……き、ふ……神……」


 という言葉を残して気を失った。

 途中ちょっと聞き取れなかったが。


「『かっこ良すぎ』だって」

「『神』ですって」


 アランとアリシア様にからかわれた。聞き間違いではないようだ。


 弟を卒業できたかな?

 期待に頬が緩みそうになるのを必死に抑えながら彼女を運んだ。


 目を覚ました彼女は俺を意識してくれていて、というより、意識し過ぎていて話がまともに出来そうにないので日を改めて出直すことにしたのだが……


 普段着で来たにもかかわらず、彼女の挙動不審は変わらなかった。


 机を挟んでそれぞれソファに腰を掛けているのだが、俺の横にアラン、俺の真向かいにアリシア様、そしてアランの向かいにジュリアが座るという不思議な構図となっている。


 ジュリアは扇子で顔を隠し隙間から覗いている。


 なんだか小動物みたいだ。

 もしかして俺に怯えているのか?


 先日は「カッコいい」と言われて喜んでしまったが、もしかしたら近づき辛くなってしまったとか?


 ふと先輩の話を思い出した。


 先輩の訓練中にいつも黄色い声援を送ったり差し入れしてくれる子がいて、いつの間にか先輩もその子のことが気になり始めて付き合いを申し込んだら、騎士としての先輩に憧れてはいるが「そう言うのではない。畏れ多くて無理」と言われて思い切り振られたと。


 ジュリアの想像の中の俺からあまりにも離れ過ぎて、受け付ける事が出来なくなってしまったのか?


 不安が過った。



*****



 ウィルから次のお休みの日が決まって連絡がありお茶をすることになったのだけれど、不安だった私はアランにお願いして同席してもらうことにした。するとアリシア様が


「そんな面白い、コホン、(未来の)お義姉様の一大事ですもの。私もお手伝いいたしますわ」


 と本音を漏らしつつ手助けを買って出てくれたらしい(アラン談)。


 そして約束の日を迎えたわけなのだけど、普段着にもかかわらず色気ダダ漏れのウィルに真っ赤になって固まってしまった私を見てアランとアリシア様が二人で何やら話し始めた。


 そして急遽組まれたウィルシフト。


 ちょっとずつ距離を縮めていく作戦らしい。


 頼れる弟と未来の義妹に感謝。


 そして4人でそれぞれのこの3年間の出来事や近況を話していくうちに緊張も少し和らぎ、まだ目は見れないけれどなんとか話せるようになった頃


「少しだけ二人で話せないかな?」


 ウィルが言った。


 まだ二人きりは早過ぎると思うのだけど


「そうだな。家だから倒れても問題ないし」


「荒療治ですわね」


 とアランとアリシア様は頷き合うと一緒に出て行ってしまった。


 ううっ、胸が苦しい。

 扇子をギュッと握りしめた。


「まだ慣れない?」


「ごっ、ごめんなさい。なっ、なぜだかわからないのだけれど……」


「俺のことが怖い?」


「えっ?」


「俺に会うのは苦痛?」


「どっ、どうしてそんなこと言うの?」


「なんだか怯えているみたいだから」


「ちっ、違っ、ウ、ウィルがかっこ良すぎるから……もっ、もうっ!帰省の度に会いに来て免疫作ってくれていれば良かったのに!」


 完全に八つ当たりだ。


「!?でっ、でもそれだといつまで経っても弟ポジションから卒業出来なかったのでは?」


「そっ、それはわからないけど……」


「だよね?やはりこの3年の空白は俺にとっては必要な時間だったと思う」


 ウィルは見た目だけでなく精神的にも大人になっていて、私だけが成長できていない。

 せっかく再会したのにすぐに飽きられてしまいそう。


 なんだか急に怖くなった。


「ジュリア!?どうして泣いているの?」


 えっ?……あっ、本当だ。


 呆然としていると頬に何かが触れた。

 視線を上げると、いつの間にか隣に座っていたウィルが頬に触れながら心配そうに覗き込んでいた。


 いきなり美形が目の前に現れて叫びそうになったのをなんとか堪えた私エライ。


「どうして泣くの?」


「なっ、なんだか置いていかれているようで。ウィルは心身共に成長しているのに、私は何も変わってなくて」


「何を言ってるの?ジュリアもとても綺麗になったよ。再会してからずっとドキドキしてる。中身はあまり変わっていないみたいだけど」


「やっぱり!」


 ショックな一言に顔を逸らそうとしたが両頬を包まれて強引に目を合わせられた。


「中身は変わってなくて安心したんだ。恋焦がれた昔のジュリアのままで……」


 やめてーっ!

 そんな切な気な表情と声なんて無理!


 これ以上、色気ダダ漏れのウィルを至近距離で見続ければ間違いなく気を失ってしまう。


 そうだ!見なければいいんだ!


 そう思った私は迷わず目を閉じた。


 ウィルの息を呑む音が聞こえた。


 そう、このシチュエーションで目を閉じるということがどういうことなのか、焦っていた私はすっかり失念していた。前世で恋愛小説をたくさん読んだはずなのに。


 気づいたのは口付けられた後だった。


 優しく触れるだけのキスだけれど、何度も何度も繰り返された。離れていた3年間を埋めるように。


 そして抱きしめられ耳元でとてもいい声で囁かれた。


「好きだ」


 アランが「問題ない」と言っていたことを思い出し、私は遠慮なく意識を手放した。



 目が覚めるとまた呆れた顔をしたアランがいて「ウィルは心配していたけど帰らせた」と言った。


 アランが出て行きひとりになると、どう考えても私がキスを誘ったような行動だったことに思い至った。


 大丈夫よね?ウィル誤解してないよね?私が怯えてるって思ってたぐらいだもの。見ないように目を閉じただけってわかってくれてるわよね?


 だけど口づけた事実に変わりはなく、羞恥を覚えて頭から布団を被り声にならない叫び声を上げながらベッドの上でのたうち回り、その日は一睡も出来なかった。



*****



 完全に男として意識してもらえた。

 3年間我慢した甲斐があった。


 それにしても夢を見ているようだ。

 ずっと恋焦がれていたジュリアと……


 ジュリアの唇は柔らかかった。

 抱きしめた身体からはいい香りがした。


 ジュリアが目を閉じた時は心臓が止まるかと思った。

 本当に幸せだ。


 でも、いくら年上と言えども女性にリードされてしまった。

 俺のことを頼りないと思っただろうか?


 次に会った時は絶対に俺の方から口付けよう。


 ウィルは見事に誤解していた。



〜fin〜





いつも誤字報告ありがとうございます。

とても助かっております。

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