2 愛弟子との再会
サタンの消滅を見届けたところでセラフィーの記憶は途絶えてしまっている。
しかし経験豊富なセラフィーにしてみれば、この状況からある程度のことを想定するのは簡単だった。
『恐らくサタンを消滅させた時、魔力と生命力をごっそり抜かれ瀕死状態になったのだろう…。そしてローの魔力によって延命処置を施されていた…といったところか』
幸いにも戦いに参戦しなかったことでローは少量の魔力消費で済み、セラフィーの命を繋ぎとめることができた。
そしてこの髪色や瞳はローの魔力をずっと浴びていたことによるもの、幼体化はローの魔力量が少なくなり成人の状態を保つことが難しくなったのだろうとセラフィーは推測した。
「どうやら大変迷惑をかけてしまったようだね。ロー本当にありがとう」
そう言って小さな黒い光となってしまったローに向かって微笑むセラフィー。
それを聞いたローは嬉しそうにセラフィーの周りをグルグルと飛び回った。
「さて、随分高いところに陽が昇ってしまった。早く帰ろうか」
きっと家ではお腹を空かせたレオが待っているに違いない。
それにすぐ帰宅するつもりだったため、声もかけずに外出したので心配していることだろう。
「帰ったらレオが泣いてるかもしれないな」
セラフィーは微笑むと、ブカブカになってしまった服の裾を折り曲げると森の出口に向かって歩き出した。
しかしこの時セラフィーは気付いていなかった。
まさか眠っていたのが数時間ではなく、20年という長い年月だったことを。
◇◇◇
「久しぶりの運動は堪えるな…」
見た目は幼くなり若返ったものの、体力まではそうはいかなかった。
魔力が残っていないので魔法を使うことはできない…。
地道に歩いて移動するセラフィーは息を切らしながらも違和感を感じていた。
「おかしい…ここは本当に東の森か?」
草木は生い茂っているものの、自分の記憶している東の森とはだいぶ違う。
セラフィーはそんな違和感に若干の焦りを感じつつも、足を休めることなく出口に向かって進んだ。
「ロー見ろ!ようやく帰れるぞ!」
1時間程歩き、ようやく出口が見えてきたことに安堵するセラフィー。
『あれだけの戦いがあったんだ、きっと魔法師の連中がいるだろう。あとは事情を話して家に送ってもらうだけだ』
ようやく家に帰れる…安心したセラフィーが一歩森から出たその瞬間
「おい!そこで何をしている!!」
見慣れない服装に身を包み、何かにまたがりながら空を飛んでくる人物を見てセラフィーは言葉を失った。