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1 東の森で

セラフィーは世間から天才魔法師と呼ばれる存在で、秀でた魔力量、そして整った顔立ちに美しい金色の髪と瞳で国王陛下からも一目置かれる存在だった。


もちろん求婚する者、弟子にしてくれと言う者も多かったが、魔法にしか関心を示さないセラフィーは、外部との関わりを一人だけいる弟子のレオにほぼ任せ、ほとんどの月日を自宅兼研究棟で過ごし魔法研究に没頭する毎日だった。


そんな日々を送っていた結果、いつしかセラフィーは【滅多にお目にかかれない金色の髪と瞳を持つ女神のように美しい方】と噂されるようになり、レオからその話を聞かされた時、開いた口が塞がらなかったのを覚えている。


しかし、今目の前の水面に写っている人物を見ても誰も女神のようだとは言わないであろう。


黒に近いこげ茶色の髪と瞳、それ以外の部分はどう考えても10代と思われる若かりし頃の自分の顔だった。


「まさか昨夜の毒草に幻覚作用があったとは…。もうしばらく休むとするか。」

セラフィーがいそいそと二度寝をしようとしたその時、自分の周りを飛ぶ黒い光を放つ精霊の姿に気付いた。


「もしかして…ロー!?」


精霊は今にも消えそうな小さく弱い光で、セラフィーのまわりを飛んでいる。


ローはセラフィーが幼い頃に契約した上級精霊で、本来の姿は美しい黒豹の精霊だ。


精霊にも階級があり、魔力が強いローのような上級精霊は人間と会話をする事も可能だった為、ローはセラフィーにとって無くてはならない、相棒のような存在でもあった。


しかし目の前を飛ぶ精霊はそんな面影も無く、会話も出来ずギリギリの魔力で存在している弱々しい状態になっていた。


セラフィーはもう一度川を覗き込み、先程と変わらない自分の姿を見つめ

「現実なのだな…。」

と呟き、はぁ…と大きくため息をついた。


「とにかく一旦家に連絡しよう。ー《コンタクト!》」


自宅に一人残してきてしまった幼い弟子、レオの事が心配になったセラフィーは相手の脳に直接語りかける中級魔法、《コンタクト》を発動した。


しかし聞こえてくるはずのレオの声は聞こえず、カッコウの鳴き声が森の中を響き渡る。


「《コンタクト!!》 おい!レオ!聞こえるか!!」


再び《コンタクト》の発動を試みたが、先程同様、レオの声を聞くことはできなかった。


『魔法が発動した様子もない。レオの方ではなく私に問題があるということか。』


セラフィーは片手で口元を抑え、ボソボソと呟いた後パッを顔を上げ

「ロー、この状況になった原因が知りたい。会話をすることはできないのか?」


と小さな精霊に向かって話しかけてみるものの、返答をもらうことはできなかった。


「分かった。ではYesの時は時計回りに一周、Noの時は反時計回りに一周してくれ。」


それを聞いた精霊は時計回りに一周し、それを見てセラフィーは相棒の存在に少し安心したのか小さく微笑んでいた。


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