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第5話
最初に倒れたのは父だった。
その後、看病していた母が倒れ、そして私が最後に病に伏した。
後で聞いたところによると、藩内でも多数の病人が出ており、その内三割が亡くなったとのことだから、父母が亡くなり、自分だけでも快癒したのは幸運だっといえるのだろう。
しかし、自分が今回の騒動を起こした事を思えば、両親と共に死んでいた方が良かったかもしれない。
また後遺症として、私の顔には醜い痘痕が残ってしまった。快癒後、自分を見る視線に好奇と嫌悪が混じることを感じた自分は、一度だけ母の形見の鏡を見たことがあった。
···そこには以前と違う自分がいた。それ以後は鏡を見たことがない。水面に映る自分の姿でさえも極力避けるようになった。
藩の命令により、葬儀はできなかった。父母をひっそりと見送ったあと、私は父の後を継ぎ、右筆として出仕することとなった。
出仕を初めてしばらくした頃、義父から会いたい旨の手紙が届いた。私は、ついに来るべき時が来たと思いつつ、今度の非番に伺う旨を書き、使者に託したのである。




