表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪人転生して善を積む  作者: カメカメ
2章冒険
98/125

49帰省

「ナル!」


「キ、キーナ!」


王子や兵士さんに助けられた僕達は、そのまま色々報告するため、ギルドへ足を運ぶと、ギルド内にいたキーナさんがこちらに気づき大声で叫んだ。


呼ばれたナルも、キーナさんの下へ走って行き、そのまま抱きしめあった。


「ナル、無事でよかった。ハルにはギルドで待っている様に言われたが、もう少し来るのが遅かったら、あの洞窟に行こうとしてたよ」


ナルをギュッと抱きしめながら言う。


「大丈夫だって。師匠にナイフ捌きを教わって、キーナにも戦術を教わってたから全然やれたぜ」


「あんた達も、ありがとな。って、後ろの方々は誰だい?」


ナルとの再会を喜んだ後、僕とハルさんにお礼を言ってきたキーナさんが、後ろにいた王子達の存在に気づく。


「ああ、私はアデラの王の息子で、名はアイルと言う。君は?」


「お、王子⁉︎な、なんでここに?」


いきなり王子にあったキーナさんは、慌てふためいていた。


そりゃそうだよね。


「あの、実はですね・・・」


僕はキーナさんに、ナルへ話した内容をそのまま話した。


ついでと言っては何だが、洞窟内でステルスエボシ討伐の話しもしたら、キーナさんが驚いていた。


「ステルスエボシの討伐は驚いたよ。だがしかし、なるほどな。貴重な治癒師、しかもその若さの子が、どこにも所属してない訳ないよな」


「隠していた訳では無かったんですけど、言わずにすいませんでした」


「いやいや、お互い冒険者だ。言わなくても何ら問題なんてないよ」


頭を下げた僕を、キーナさんは片手をひらひらしながら言ってくれた。


「もう、依頼報告はしてあるから、あとはお前らなんかあったらそこだけ報告してきな」


「ありがとうございますキーナさん。では、報告してきますね」


「あ、おい待て、あたしも行くよ」


僕とナルが競争し合う様にカウンターへ走って行き、その後をハルさんが付いてくるような形で、報告しに行った。



「報告してきました」


「ご苦労様。そうだ、忘れる前にこれ」


報告してきた僕達に、キーナさんはカードみたいなのを渡して来た。


「ほら、スイスウィート1年ケーキ無料券、正式にはカードかな?だよ」


「こ、これが」


「お、おう。ついに手に入ったな」


「うん」


何だろうか。

今、僕とナルは喜びより感動に浸ってしまっている。 


そのあと、お互い打ち合わせた訳でもないのに、大事に財布に挟んでポケットに入れたと、ポンッポンッと叩いた。


「おいレヴィ、終わったか?」


「あっ、はい。大丈夫です王子」


ヤバッ、嬉しさのあまり、王子いるの忘れていた。


「なら、今日はもう暗いし帰るぞ。それに、またトラブルに巻き込まれても困るからな」


「もう、王子ったら。ついさっきまでの感動を壊さないでくださいよ」


王子に帰るよう促された僕は、ナルとキーナさんの方を向いた。


「ナル、キーナさん。今日はありがとうございました。色々大変だったけど、無事依頼達成出来て良かったです」


「いや、こちらこそありがとうな。また、いつか一緒に冒険に行こう」


「はい。その時はまた、よろしくお願いします」


僕達は皆で握手を交わし、ギルドを後に宿屋へ帰った。



「依頼、引き受けてくれてありがとう」


「いえいえ、その代わりの報酬が太っ腹だったんで」


次の日、僕はハルさんと一緒にスイスウィート2号店のパティシエさんのジェイス様の下へ来ていた。


「どうしても、次の日には店を開けたかったんだ。オープンしてそんなに日が経っていないのに、店を何日も閉めたらお客さんが減ってしまうからね」


なるほど。

いやでも、スイスウィートならお客さん減らない様な気もするけど。


「しかし、何で卵が盗まれたんでしょうね?」


僕がそもそもの原因を疑問視していると、ジェイス様が口を開いた。


「そう言えば、原因を君達には言ってなかったね」


「えっ、原因分かったんですか?と言う事は、犯人も?」


「ああ、分かったよ」


「ええっ⁉︎誰だったんですか?」 


「犯人は、近所のお菓子屋のオーナーだよ」


「本当ですか!何で・・・、って察せるけど」


「多分、君が思っている通りだ」


その理由をジェイス様は、淡々と語り出した。


内容は察した通りで、近所のお菓子屋さんが、スイスウィート店さんのせいで売り上げが激減したそうだ。


そこで、近所のお菓子屋さんはゴロツキを雇い、スイスウィート店さんの卵を盗んだらしい。


しかも、万が一の可能性も含めたオーナーは、黒いフードを被り、アングリーチキンの卵を扱うお店を巡っては買い占めていったらしい。


「だがね、億が一の可能性は考えなかったみたいだね」


「あはは、そうですね」


まさか、あのアングリーチキンの卵を、何個もその日の内に収穫出来るとは思わなかっただろう。


「その後、卵を貰ってケーキを作り始めた事を知った、お菓子屋のオーナーとゴロツキ2人が、我が店にまた忍び込もうとした所を兵士に見つかり、御用となったよ」


ハハハッ、馬鹿だね。

と、笑いながらジェイスさんが言っていた。


「しかもそのゴロツキ共は、クワイ村でも悪さをしていたらしく、余罪を見つけられて焦っていたよ。更に他にも仲間がいるみたいだから、芋づる式に捕まるだろうね」


もしかして、その話しって。


「もしかして、クワイ村で暴れていた人達ですかね?」


「さあ。でも、あの村に風俗がないのが悪いとか、訳の分からない事言ってたみたいだ」


やっぱり、ラナちゃんのお母さんを殴った奴らだ。

良かった、捕まって。


「そう言う事で、全ては丸く収まったよ。あっ、折角だからそのカード今から使うかい?」


「いいえ、明日買いに来ます。実は王子に明日帰る予定と言われたので」


もっといたかったが、そもそもメインの用事がもう終わっているからね。


仕方ない。


「だから、明日ケーキたくさんお願いします。では、また」


「ああ。また明日ね」


その日は少し町をぶらぶら散歩し帰宅した。



「じゃあねナル、また会おうね」


「ま、気が向いたらな」


そんな事を言いながら、僕とナルは握手する。


「気をつけて帰りなよ?」


「大丈夫です。私がいますから」


「それもそうか。ハルがいたら大丈夫か」


隣を見ると、キーナさんとハルさんも同じように握手しながら話ししていた。


次の日、僕達がアデラに帰ろうとした所、ナルとキーナさんが見送りに来てくれたのだ。


「おい、まだか?早く、帰るぞ!」


「はい、今行きますよ」


もう、あとはいつ会えるか分からないんだから、もう少し待ってくれても良いじゃん。


「王子を待たせてはダメだ。ほら、馬車に乗って」


キーナさんが急かされ、僕とハルさんは馬車に乗った。


「じゃあな。着いたら、教えた住所に手紙書けよ!」


「分かったよ。キーナさんもお達者で」


「ああ、またな」


馬車が動き出し、少しずつシーサイドから距離が離れて行く。


帰る道中、クワイ村にも寄ってくれるって王子が言ってくれたから、ゴロツキの捕まった話しをしがてら、このスイスウィートさんのケーキをプレゼントしよう。


喜んでくれるかな?


皆さま、いつも読んでくれてありがとうございます。


2章終わりです。

少し幕間を挟もうと思っています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ