44パーティーバランス
「ナル、2時の方向からモンスター!」
『シャー』
「くっ」
ブシュ
『・・・シャッ、シャ』
ボトッ
コウモリみたいなモンスターが、ナルに強襲を仕掛けて来たが、僕がモンスターの位置を教えると、何とか身を捩りながらモンスターを撃破する。
ブシュ、ブシュ、ブシュ
『シャー、シー、ショー』
ボトッボトッボトッ。
「ハルさんも、無理はしないでね」
「大丈夫です。これくらいなら余裕です」
そんな中、1人無双しているハルさん。
目があまり見えていないのに、凄いの一言しか出ない。
今、僕達は洞窟内にいるモンスターと戦いながら、出口を探していた。
入り口付近にはモンスターはいなかったが、やはり奥深くに行くと、色んな箇所から襲って来始める。
僕はというと、時間が経ち癒えてきた、ゴブリンの出来事が蘇ってきて、足が震えうまく歩けないが、後方の壁際にいるため、今の所モンスターに襲われず、2人のサポートに回れていた。
「レヴィ、ハル。こっちにに道がある。見たところモンスターもいなさそうだ」
声を張り上げ、通路を指差す。
「分かりました。では、私が後ろからくるモンスターを蹴散らします。2人は、進んで下さい」
「ありがとう」
「頼む」
僕とナルは、ハルさんの好意に甘え、震える足に無理矢理力を入れ、全力で通路をめがけ走った。
◇
「モンスターの気配が消えました。ここで少し休みましょう」
なりふりかまず通路を走っていたが、ハルさんが徐々にスピードを落とし、周りに敵の気配が感じられなくなった事を教えてくれると休憩の提案をする。
その提案を僕はへたりこんで、ナルは壁際に行くと、その壁を背に座り賛成した。
「賛成。ふぅ〜、やっと一息つけそうな場所に来たぜ」
疲れている割には、なんかまだ余裕がありそうなナル。
「な、何で、ナル、あんだけ走ったのに、息、上がって、ないの?」
おかしい、僕の足が震えていたとはいえ、何で同い年なのにそんなに違いがあるんだ。
「鍛え方が違うのさ。こちとら、毎日食べるお金を稼ぐために、依頼で走りまくってるからな」
腕を組みながらナルが答えた。
「そう、なんだ」
「でも、疲れたのは本当だ。モンスター多すぎる」
ここの洞窟内で襲ってくるのは、コウモリみたいなモンスターやネズミみたいなモンスターと、小さくて1体1体は弱い。
しかし、奴等は数で襲ってくる。
ある意味、1体の大きなモンスターより、注意しなくてはならない事が多いから厄介だ。
「でも、奴等なんで急に襲って来なくなったのかな?」
ハルさんに言われるまで分からなかったが、さっきまで、凄い勢いで襲って来ていたモンスター達だったのに、何で襲うのをやめたのか気になっていた。
「それは、この先に感じている、モンスターの気配のせいだと思います」
「えっ?」
追われていた道の反対側を見る。
「この先にモンスターがいるの?」
僕の質問にハルさんが頷く。
「はい、この気配からして、恐らくは大型モンスターだと思われます。今できる準備を整えてから行きましょう」
僕とハルさんが話をしていると、ナルが急に立ち上がり近寄ってきた。
「マジかよ、それ。・・・、キーナがいないのにやれるのか?」
先に大型モンスターがいると言う発言で、さっきまで明るかったナルの顔に焦りが出る。
しかし、ハルさんは、
「この3人いれば時間はかかりますが、問題はないかと思います」
「そっ、そうなのか?」
「さっきまでの戦いで思いましたが、ナルは直線的な攻撃が上手です」
「直線的な攻撃?」
ナルが首を傾げる。
「はい。普通、あまり直線的に攻撃を加える人は多くはありません。私も含め、大半の人は左右に散らしながら、相手に的を絞られないように相手に近寄ります」
確かに。
左右に散らされたら、どこから攻撃されるか分からないから、相手は大変だ。
「ですが、あなたの場合は緩急の付け方が上手なので、相手は思った以上にあなたが来るのが、速かったり遅かったりと感じるでしょう」
野球でいう、ストレートとチェンジアップみたいなものだね。
「ああ。キーナがそういう戦い方を教えてくれたからな」
「左右に散らす私と、直線的なあなた、回復してくれるレヴィ様。中々バランスが良いメンバーです」
本当だ!
相手からしたら、素早い2人に四方八方に攻撃をされて嫌だろうな。
もし、攻撃をくらっても僕がいるから、傷は相当酷く無い限り、実質ないのと一緒だ。
不安があるとすれば、火力ぐらいかな。
「さて、そろそろ行きますか?」
「ああ。キーナはいないがやってやる!」
「回復は任せて、頑張っちゃうよ!」
僕達は、待ち受けているだろう強敵へ挑むため、3人揃って歩き出した。




