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悪人転生して善を積む  作者: カメカメ
2章冒険
92/125

43軽率な行動

1回目の卵ゲットから、そんなに時間が経っていないのにも関わらず、あれよあれよと卵をゲットしていった。


「よし、これで20個集まったぞ」


キーナさんは、荷台に乗せてある卵の数を数えた後、こちらを向き言った。


「楽勝だったな!レヴィ、お前良い作戦思いついたね」


「そういうナルも、さすがシーフだよ。良い仕事をしてくれた」


「だろ?実は、あたしら良いコンビなんじゃね?」


「確かにね。異論はないよ」


僕とナルは、お互いに笑いながら肩組み合う。


「おいおいナル、レヴィ、まだ町にも着いていないんだから、気は引き締めておけ」


「大丈夫ですよ。ねっ、ナル」


「ああ、何の問題もないぜ」


「まったく、酷い目にあっても知らんからな」


心配性なのかな、キーナさんは。

卵も最低ノルマの20個集まって、もう集める必要も無くなった今、依頼クリアしたのと一緒じゃない。


「なら、帰りますか・・・て、おっ?あそこにもう1羽のアングリーチキンがいます!しかも、一際大きいです」


僕は、普通のサイズより大きなアングリーチキンを見つけ、指をさし皆に教える。


「おお本当だ。なぁ、あのアングリーチキンの卵、あたし達のものにして皆で食べないか?」


僕の指さす方を見て、ナルはそんな提案を持ちかける。


「良いね。そうしようか」


「なら、急げ」


「ほいほい」


僕とナルは、大きなアングリーチキンの下へ行くために走った。


「おっ、おい。まったく、仕方ないな」


キーナはヤレヤレと言わんばかりに、腕を組んで苦笑いした。


そんな中、ハルフィートが叫んだ。


「イケない!キーナ、あれはアングリーチキンではありません」


「なんだって!いや、あれはどう見たって・・・、あっ、あの足は『ミミクリバード』か!」


「はい。アングリーチキンに、ミミクリバードが化けています」


「ヤバい!なら、近づいたら喰われるぞ」


「私が助けて来ますので、何かあった場合、その荷台をギルドへ頼みます。必ず帰るので、あなたはそのままシーサイドにいて下さい」


ハルフィートはそう言うと、レヴィとナルを追いかける。


「んっ?なんか後ろからキーナの声が聞こえたような?」


木の下まで着いた、ナルが後ろを向く。


「はぁ、はぁ、はぁ。えっ、何?」


僕もナルの向く方へ体を向けた。


「レヴィ様、そこから離れて下さい。あれはアングリーチキンではありません」


離れた場所から、ハルさんがそう叫び走ってくる。


えっ、そんな筈はないよね?

なんて思いながら、後ろを見た。


「そんな筈があった!」


「本当だ!何で?」


何このモンスター!

近くで見ると全然アングリーチキンに似てない。


「早く離れて下さい!」


「う、うん。ナル逃げよう」


「もちろんだ、逃げるぞ」


僕達は、全力でハルさんの下へと走り始めた。


しかし、もう少しで楽に食べられると思っていたモンスターは、僕達を逃がすまいと木の上から凄い速さで追いかけて来た。


「おいレヴィ、あいつ追いかけて来たぞ!」


「何となく分かるよ!いいから走って、食べられるよ」


ナルより足の遅い僕は、後ろを見る余裕なんてないが、凄い殺気に似たものを感じているので分かる。


「レヴィ様、ナル。右方向に洞窟があります!そちらに入って下さい」


「分かった」


「おう」


ハルさんの言う事に従い、僕達は急いで右側へ進路変更し洞窟を目指す。


追いかけていたモンスターは、スピードが速過ぎてそのまま通り過ぎていくも、器用に小さく旋回しまた僕達を追いかけて来る。


「あいつ、何であんなに体でかいくせに小回りきくんだよ。しかも、速いし」


逃げる僕達だったが、遂に捕まりそうな位置まで、モンスターの殺気が迫って来ていた。


「ダ、ダメ。追いつかれるかも!」

 

もう、体力の限界だ。


その時、


「させません!」


ブシュッ!


『ギュー』


ハルさんが僕とモンスターの間に入り、クチバシ周辺を斬った。


斬られたモンスターは、痛みで上手く飛べずドスンッと地面に落下、その間に僕達は洞窟に辿り着く。


ハルさんは、洞窟にまで入られないようにすかさず次の案を打って出た。


「天井の岩を崩し、入り口を塞ぎます」


「えっ?」


そう言ったハルさんは、天井めがけ腰に差していた小太刀を鞘から出し振る。


すると、目には見えない何かが天井に当たり、岩が崩れだし入り口が塞がれた。


「大丈夫ですか、レヴィ様」


モンスターから逃げ切り一息つくと、僕の両肩を正面から掴み、ハルさんが聞いた。


心配そうな顔をしていたので、さっきまでの軽率な行いや助けてくれた事の感謝で胸がいっぱいになる。


「ありがとう大丈夫だよ。いつも助けてくれて感謝です。あと、ごめん。軽率なこうどうをして」


「いいえ、全て問題ではありません。私は、あなたのためのメイドですから」


ハルさんは、ニコリと笑うと僕を抱きしめる。

そんな事言われると、嬉しくて涙が出そうになるよ。


「おい、こっちも何かないのかよ」


少し離れた所からナルが抗議するも、今だに僕を抱きしめて離さないハルさんが、少し冷めた声で返す。


「ナル、あなたは私の護衛対象には入っていない」


「今は、同じパーティーだろうがよ」


「そう言えば、モンスターの侵入を防ぐため、天井を崩してしまいました。先の道がどうなっているかは分かりませんが、取り敢えず進む方向で良いですかね」


「無視かよ。差別だ、さべーつ」


「アハハッ。まぁ、ナル落ち着いて。ほら、行こうか」


僕がそう言うと、ナルは首を横に振った。


「いや、一旦休憩だ」


そして、そのあと地面に座り込む。


「私もナルに賛成です。レヴィ様、方向性は決まったのですから、まずはゆっくり休み体力を回復させましょう」


ハルさんまでもが、地面にお行儀良く座り込んだ。


「もう、2人とも緩いんだか・・・あれ?」


2人とも座り込む姿を見て、緩いな何て言おうとしたら、急に目線が下がった。


どうやら僕は、全力で走り過ぎたのと、追われていた緊張感で体力が凄く奪われていたみたいで、下を見たら膝折れして座り込んでいた。


もしかして2人とも、僕のために休憩を取り入れたのかもしれない。


だって2人とも余裕そうだもん。


「ありがとう。僕も休もうかな」


「はい、そうしましょう」


「だな」


2人の提案を、僕はありがたく受けさせて貰った。

師走とは、よく言ったもんだ。

ゆっくり休みたい。

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