42アングリーチキンから卵を取れ
アングリーチキン、普通の鶏より体が大きく性格はとても凶暴。食欲が凄く旺盛で、エサを見つけると、見境がなくなり貪る様に食べる。
卵は普通の鶏と違い大きいし、1日に約2個くらい産む。
子育ても熱心で、外敵から卵を守るため、余程のことがない限り、卵のある巣からは、エサを以外は一定の距離(約10m〜30m)までしか離れない。
情報を皆から聞き、一生懸命考えつつも次のアングリーチキンを探していた。
「おい、そろそろ時間だぞ。案は思いついたか?あたしか?あたしは考えつかなかったよ。でも、アングリーチキンは2羽見つけたぜ」
隣に来たナルが、にやにやしながら聞いてくる。
「そうだね、そろそろ集まろう」
約束の30分が経ったので、現情報聞くため皆集合した。
「30分の時間ありがとうございました。皆さんは何か案があったらお願いします。あと、アングリーチキンの見つけた数も」
「私は、やっぱり手っ取り早くやるなら殺した方が早いかなと思うよ。あっ、アングリーチキンなら1羽見つけたよ」
キーナさんが、腕を組みながら話す。
「私の案は、足の腱を切って動けなくしてから卵を取る。という作戦を考えました。見つけたアングリーチキンは2羽です」
少し物騒だが、殺さない前提での案をハルさん話す。
しかし、その案にナルが口を出した。
「それはダメだよ。だって、この森で動けなくなった生き物は、他の生き物に狙われやすい。どの道、あたし達じゃない生き物に殺されるよ」
確かに、森の中に動けない生き物がいたら、例え凶暴だとしても殺されて食べられるのがオチだ。
「それより、あんたは良い案を思いついたのかい?」
キーナさんが、僕に話しを振ってくれる。
僕はその振りに、笑顔で返した。
「はい、考えました。まず見つけたアングリーチキンは、1羽でした。次に、僕が考えた案ですが・・・」
「えっ、でも・・・」
「多分、大丈夫です。やってみてですけど」
僕は、自分が考えた案を、たまにされる質問に答えながら説明する。
「という案になりましたが、どうですか?」
僕の案をひと通り話し終えた後、皆に聞く。
「確かに、それなら誰にでも出来そうだ。意外と思い付きそうで、思い付かなかった案だな」
「そうだな、やってみる価値はあるな」
ナルとキーナさんが褒めてくれた。
「レヴィ様が考えたんです。絶対に上手くいきます」
ハルさんは何故かドヤ顔になる。
「じゃあ、この案を実行するという事で良いですか?」
「ああ、やろう」
「異議無し」
「はい」
3者3様、OKの言葉を貰う。
「ありがとうございます。じゃあ、用意をしたら始めましょう」
「あっ、でもアングリーチキンは10羽見つからなかったから、最初は残りのアングリーチキンを探すかい?」
キーナさんが言う。
「それも、多分ですけど大丈夫かと思います」
「そうかい?なら、良いけど。じゃあ、用意するか」
「はい」
その後、皆で準備を進めた。
◇
「よしっ!では、作戦開始」
僕がGoサインを出すと、定位置に着いていた皆がそれぞれ仕事を始めた。
「ほぉら、君たちが大好きなエサだよ!」
アングリーチキン達にわざと認識させるため、ナルが大きな声をあげ、エサを線状にパラパラと撒きながら走る。
『グェー!』
『グェー、グェー』
それに気づいたアングリーチキン達は走り始め、ナルを追いかける様な形で、線状に撒いたエサをバクバクと食べ始めた。
「よし、今のうちに卵を貰いましましょう!」
「はい」
「ああ」
ナルが良い具合に、アングリーチキンを巣から引き離したのを確認した僕は、ハルさんとキーナさんに卵の収穫の指示を出し、僕も収穫に向かった。
「おおー、デカい」
巣にたどり着くと、大きな卵が3つあった。
「やっぱりね。もしかしたらと思った」
他の巣に行った、キーナさんやハルさんを見てもやはり卵を3.4個持っている。
取り敢えず、ナルに釣られたアングリーチキンの卵は貰ったから、一旦退こうかな。
「ナル、OKだよ!エサを置いて逃げてきて」
「あいよっ」
ナルはエサをその場に置き退避。
その後、すぐそのエサにアングリーチキン達が群がっていた。
◇
「お待たせ、レヴィ」
「グッジョブ、ナル」
「「いえい」」
帰ってきたナルと僕は、パチンッとハイタッチした。
「しかし、上手くいって良かったな。やっぱり情報は大切だな」
「そうだね」
上手くいったヒントは、情報の中に隠れていた。
子育てに熱心なアングリーチキンが、唯一巣を離れる時、それはエサを取るか食べる時。
しかも、エサがあると見境なくなるというおまけ付き。
だから、エサを町から大量に買って、足も速いであろうシーフのナルに囮を頼んだのだ。
「しかし、何で卵がこんなにあったんだ?」
「それは、ここにいるアングリーチキン達は野生だからです」
基本、お店で使うモンスターなどの卵は、作る人が怪我をしない様に、卵専門のお店から卸している。(前に、町のお店で店員さんが言っていた)
だから、手を付けられていない野生のアングリーチキンの卵は、割れたりモンスターに襲われない限り増え続けると思った。
「なるほどな。なら、残りのアングリーチキンだけでも余裕で卵を取れるな」
「はい」
計算的には、1羽につき卵3個の計算しているから、例え数匹が卵2個でもギリ足りる計算だ。
「何だか、意外と簡単に終わりそうだな」
「だね。これで、スイスウィートのケーキ1年間食べ放題だね」
「くぅ〜、食べまくるぞー!」
僕とナルは、今からもうスイスウィートでのケーキ食べ放題を考えていた。
「おいおい、仕事は何があるか分からないから気を最後まで引き締めろよ?」
「分かってるよ」
「大丈夫です」
だから、キーナさんの忠告も軽く捉えていた。
油断しきった僕達が、これから大変な目に遭うとも知らずに。
話しが纏まらない。
でも、考えるのは楽しい。
投稿するのは遅いけど。




