33可愛い獣人の女の子
宿屋から出て、少し距離を歩いた所に、ゼクムさんの家はあった。
「ここが、私の家です。多分、息子はまだ帰って来てはいませんが、息子の嫁と孫娘はいるはずです」
ゼクムさんは、僕達にそう言いながら玄関の扉を開けた。
「おーい、今帰ったぞ」
ゼクムさんが僕と王子を手を使い家に入るように促してくれる。
「お、お邪魔します」
「邪魔をする」
邪魔をするって、人の家なんだからもうちょっと礼儀正しくしてくれないかな。
僕がそんな事を思っていた時、家の奥から小さくて可愛い女の子がこっちに向かって走ってきた。
「おじーちゃん、おか、えり」
しかし始めは勢いよく出てきた女の子は、僕達を見つけた途端に立ち止まりカチコチに固まってしまう。
ああ、僕達が来たこと知らなかったから、ビックリして固まってる。
でも、でもそんな姿も可愛い!
って、そんなこと思っている場合じゃないや。
「初めまして、私はレヴィと言うの。こちらにいる方は、この国の王子様。あなたのお名前は?」
背丈を合わせるため少しだけ屈み、出来るだけ優しく自己紹介をすると、女の子ももじもじしながら、小さな声で自己紹介をしてくれた。
「私は、ラナ、です。5歳です」
可愛いすぎる。
可愛い過ぎて、顔がニヤけてしまいそうだ。
「ラナちゃんか、良い名前だね」
「あ、ありがとうございます」
僕が褒めるとラナちゃんの耳がピコピコ動く。
「今日はね、私ラナちゃんと遊びたくてきたの」
「えっ、私と?」
「うん、私ね獣人さんと遊びたくて、ゼクムさんにお願いしたら、ラナちゃんを紹介してくれたんだ」
その話しを聞き、ラナちゃんの顔が笑顔になる。
「ホント?嬉しい。村の外の人間さんは、私達を嫌う人しかいないと思ってた」
「私は獣人さん好きだよ。むしろお友達になって欲しい」
ラナちゃんとは、出来るなら姉妹になりたい。
「だから、私と遊んで欲しいな」
「うん!あ、でもお母さんが怪我してるからあんまり遊べないけど良い?」
「え、お母さん怪我してるんだ?」
それは大変だ、すぐに治してあげなきゃ!
「私ね、実は治癒師なんだ。良かったら治してあげるから、お母さんの所に連れて行って」
「お姉ちゃん治癒師なんだ!凄い、ありがとう」
お姉ちゃん。
良い響きですね!
「レ、レヴィ様。すいませんが、治療はお辞めください」
ラナちゃんと手を繋いで、お母さんの所に行こうとしたら、ゼクムさんに止められた。
「何故ですか?あ、もしかして獣人に治癒魔法は使えないとかですか?」
なら無理だ。
クソッ、せっかくラナちゃんに良いところ見せる場面だったのに。
「そう言う訳ではないです。ただ、払えるお金がありません」
「えっ?・・・はぁ」
はぁ、またか。
しかし、皆が払えない程の治療費を提示するとか、結局治療する人がいなくなって本末転倒じゃん。
治癒師ってアホなの?
「支払いは要りません。何せ、私はお姉ちゃんですから!」
「おい、いつからお前がお姉ちゃんになったよ」
王子がなんか言っているが聞こえない?
てか、いたんだ。
「さぁ、お母さんの所へ行こう。早く治してあげて、皆で一緒に遊ぼう」
◇
「ここがお母さんの部屋だよ」
僕達は今、ラナちゃんのお母さんの部屋の前にいる。
「あ、あの」
「はい、何ですかゼクムさん?」
「何もしてあげる事が出来ませんので、やはり治療は要りません」
ゼクムさんまだ言ってる。
「ゼクムさん、痛いのはあなたではありません。それに、報酬は頂いてます。私はラナちゃんと遊ぶ事が出来ますから。これが報酬です」
「お姉ちゃん、お母さん治ったらいっぱい遊ぼうね!」
「うん、いっぱい遊ぼう」
そして、あわよくば一緒のお布団で寝る。
「お母さん、ちょっと開けるね」
ラナちゃんは、お母さんの部屋を開けた。
部屋の中は暗く、廊下の明かりからぼんやりとラナちゃんのお母さんと思わしき女性が、布団の中で寝ていた。
「お母さん、入るね」
ラナちゃんは、部屋に入り電気を付ける。
「ラ、ラナ。まだ、殴られた傷が痛いの。だから、あっちに行ってて頂戴」
「お母さん、傷を治してくれる人連れてきたよ」
満を喫して僕登場。
これで、お母さんの傷を治し気に入られれば、晴れて僕とラナちゃんは、いやこの際ここの家の家族になれるかもしれない。
「どうも、レヴィと言います」
お母さんに、僕は顔を見せるために近くによった。
「きやぁぁ、人間!」
「へっ?」
ラナちゃんのお母さんは、僕を見るなり大声で叫び、布団に潜り込んだ。
なぜ?
モチベーションが上手く保てないせいか、投稿が遅くなってしまう。
書いている人達は、どうやってモチベーション保ってるんだろいか。