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悪人転生して善を積む  作者: カメカメ
1章治癒師
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最悪な出来事 後編

今思えば、施設長に相談しておけば良かった。


なんでか、生まれ変わってから、知識は前世並にあるのに思慮が凄く欠けている。


「嫌っ!」


レヴィは、触ろうとしてきた男達の手をかわして酒場からダッシュで逃げた。


すると、男達は「この鬼ごっこも楽しいんだよな!」とかクズみたいな事を言いながら追いかけてきた。


「はぁ、はぁ、なんでこんな事に」


乱れた息を口で抑え、逃げていた時に見つけたゴミ箱に入りながら呟いた。


「どこだ?ちゃんと隠れないと見つかっちゃう、ぜ!」


笑いながらそこら辺の物を蹴飛ばし、明らかに楽しんでるのが分かる。凄い物音がするたびにビクッと体が竦む。


(サノハめ、絶対騙す気で僕を連れて来たな。しかも男5人って、変態多過ぎでしょう!どうやって逃げようかな。そもそも、あまり街に出かけた事なんてないから分からない)なんて考えていたら、


「みぃ〜つけた」


男の1人に見つかりゆっくり蓋を開け、ニタァと笑いながら覗き込んでくる。


「ッ!」


男は、怯むレヴィを抱き抱えて来た。


レヴィは、もがいてみるも、抱えられる力が強すぎて抜け出す事も出来ない。


(僕はこいつに好きなようにやられるのか?嫌だ!誰か助けて)


もうダメかと思った時、


「その子を離せよ」


そこにいた皆んなが声が聞こえた方は振り向くと、施設長がいた。


(施設長!でも、どうしてここに?なんか雰囲気と口調が違う)


「なんだお前?邪魔だ!失せろ!」


男達の1人が、カダートに殴りかかっていく。


「施設長危ない!逃げて」


レヴィは殴られるであろうカダートに、無駄だと分かっていながらも叫んだ。


「ぐはっ」


しかし、聞こえてきた声は、殴りかかっていった男の声だった。


「おい大丈夫か?ワキッヤック。てめぇ、何者だ!」


レヴィを抱えている以外の男達は、殴られたワキヤク?を介抱するために近づいて行き、施設長に向かって叫んだ。


「俺はカダート、その子の保護者だ」


「何が保護者だ!バカや・・・おいまて、今カダートって言わなかったか?」


介抱している男が急に狼狽始めた。施設長の名前に聞き覚えでもあるのだろうか?


「カダートって、少し前まで勇者として活躍していた無双勇者カダートか!?」


「なに!あの無双勇者カダートか!」


男達の顔色が、見る見るうちに青くなっていく。


「だ、だったら、勝てる訳ねぇよ。お、俺は逃げるぜ!」


「ま、待てよ!俺も行く、置いてくな!」


レヴィを抱えていた男も、レヴィを地面に落として逃げていく。


「痛っ!」


(え?施設長って元勇者なの?びっくりなんだけど!)


地面に落とされたレヴィは、落とされた痛みよりもカダートの過去の方が衝撃的だった。


「大丈夫かい?レヴィ」


レヴィに近寄って来たカダートは、優しい声でレヴィ声を掛けた。


「は、はい。大丈夫です。少し怖かったですけど」


「来るのが遅くなってすみません。さぁ、こちらへ来なさい。涙を拭いてあげますから」


「えっ?」


レヴィはカダートに言われ、自分の顔を触ってみた。


すると、頬に冷たいものが流れていた事に気づいた。


レヴィはゆっくりと、おぼつかない足をカダートへ向け歩き抱きつく。


(なんだろうこの安心感は?なんか知らないけど、もう絶対安全だと思える)


「さあ、帰りましょうか」


カダートはレヴィを抱っこするとそう言い、歩き始めた。


普通、生きていたら20後半の男がおっさんに抱っこされるなんてあり得ないよな。しかし、今はなんの抵抗も感じない。


もしかしたら、精神年齢は年相応の女の子にになってるのかな。

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