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悪人転生して善を積む  作者: カメカメ
2章冒険
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28ギルド

「レヴィ様、今から入りますが、絶対に私の手を離しませんように」


「うん、分かった」


今、僕とハルさんはギルドの前にいる。

何故、ハルさんは僕とそんな確認をし合っているのかというと。


ギルド内の治安は、それほど悪くはないらしいのだが、それでも月に1回くらいは、何かの理由で争いがあったりするらしいからだ。


そんなのに、巻き込まれたら大変だ。


あとは、単純に僕の年齢や性別が女性だからだったりする。


「それにしても、王子大丈夫かな?」


「まだ、トイレに篭っているみたいですね。リン様と、兵士達が付き添っているので大丈夫かと」


「頑張って食べるからだよ」


実は昼食を摂っている際、兵士さん達がたくさん食べているのを見た王子が、いきなり張り合い始めたのだ。


体作りがしっかり出来ている兵士さんが、出来ていない王子より食事量が少ない訳がない。


案の定、王子はトイレとお友達になった。


「まったく、何で張り合おうとしたのか」


「レヴィ様が「わぁ、兵士さん達は凄い量のご飯食べるんですね!食べれる人って憧れます」とか、言ったからですよ」


ボソッと、ハルさんが何か言ったが、よく聞こえなかった。


「えっ、なんて言ったのハルさん?」


「何でも無いです。さぁ、ギルドに入りましょう」


「何か気になるけど、そうだね。いざ、ギルドへ」



ハルさんが、ドアノブを回してゆっくり引くと、キィッと音を立てて扉か開く。


「わぁ、ここがギルドか。うん、おおよそイメージ通り」


僕が想像していた様に、中は受付する場所が複数あり、そこから少し離れた所には、長机と椅子が置いてある。

少し閑散としていたが、椅子に座り数組のパーティーが何か話し合っていた。


しかし、よく漫画で見る様な、食べて飲んでの馬鹿騒ぎみたいな光景は無い。


「食べ物は頼めないの?」


「ギルドにもよりますが、食べ物はありません。あるのは、お酒類以外の飲み物ですね」


そうなんだ。

まぁ、ただでさえ血気盛んな人達がいる場所で、食べ物やお酒は無いか。

暴れられたら、ギルド内メチャメチャになっちゃうもんね。


まぁ、良いや。

それより、僕したい事あるんだよね。


「依頼を出すにはどうしたら良いの?」


聞くと、ハルさんがえっ?みたいな顔をする。


「依頼ですか?全ての手続きをどこの受付でも行っていますが、何か依頼でもあるのですか?」 


「うん、ハルさんにかけられてる呪いの情報が欲しいなと思って。実は、ギルドがあるって聞いた時から、その依頼を頼みたかったんだよね」


ギルドで頼んだら、何か有益な情報貰えるかもしれない。


「そうでしたか、それは大変ありがたいのですが、この呪いの事はギルドより優れた機関で探していますので、意味は無いかと」


ハルさんは、申し訳なさそうな顔をしながら言った。


「そうなんだ、がっかり」


でも、考えてみたらそうだよね。

なんせ、城でも探してるんだもんね。


「なんだ、じゃあ来た意味はないかな」


「いいえ、ありがとうございます。とても嬉しかったですよ」


ハルさんはそう言いながら、僕をギュッと抱きしめた。


「アバババッ」


ちょっ、やめて!

心臓バクバクいっちゃうから!


「じゃ、じゃあ、そろそろもう戻ろう」


僕は、少し離れる様な仕草を見せる。

このままじゃバクバクいってる心臓がもたないから。


「・・・、もう少しこうしていたかったのですが、仕方ありません。戻りますか」


ハルさんも、ゆっくりと抱きしめるのをやめて、僕の手を握った。 


「戻りますか」


「うん」


僕らは、ギルド入り口に向かおうとして歩き出すした時、


何者かがその扉をバンッ!と、大きな音を立て開けた。

開けた人はなんと王子。


「お、王子。どうしました、お体は大丈夫ですか?」


「んなもん大丈夫だ。それよりも、レヴィ!もう、冒険者登録したのか?」


王子が、焦った様な顔で僕に詰めよって来て、その後ろから、リンさんと兵士さん達が王子を抑えようと入って来た。


「いえ、冒険者登録はするつもりは無かったですから」


「何でだ、ギルドに来たからには冒険者登録は必須だろ!」


何言ってるんだろうこの人


「何言ってるんだろうこの人」


「おい!今お前、絶対心の声がそのまま口から出ただろう」


「い、いえ、そんな事ない、どすよ?」


「どこの言葉だそれ。まぁ、良いか。今から冒険者登録するぞ!」


王子が、僕の手を握り歩き出す。


「な、何でですか?」


「冒険者は男のロマンだろ」


意味が分からない。


「王子、レヴィ様は女性ですので男のロマンは分からないと思います」


兵士さんの1人が、王子を止めて諭す様に言う。


「良いんだよ!冒険者登録するんだ!」


ついには、王子が駄々をこね始めた。

ハルさん以外の皆は、僕を見てどうにかしろと目で訴えてくる。


うっ、皆分かったから、そんな目で見つめないで。

はーっ、嫌だな。


「分かりましたよ。冒険者登録しに行きましょう」


「ほ、ホントか?いやっほー!」


こいつ。


「レヴィ様、こいつ王子ですけど凄く殴りたいです」


拳を握るハルさん。


「ハルさん、奇遇だね。僕もこの人、王子じゃ無かったら殴っていたかも」


こうして、今日僕は冒険者になった。

(冒険には行かないけどね)

ギルドにいた人達の中の1パーティの反応


「ねぇ、あの女の子と女性って姉妹かな?」


「かもね、見た事ないから新人かな?」


「よし、冒険者登録したら誘おう!」


「OK」


王子乱入後。


「あの男の子、うるさっ!」


「あんなのいたら、うるさくて仕事なんないな」


「だね。あの姉妹は欲しいけど、諦めようか」


「その方が良さそうだね」


こうして、知らないうちにレヴィとハルフィートのパーティーへの加入誘いが密かに消えた事を、レヴィは知らない。(ハルフィートは、聞こえていたが無視していた)

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