27王子の気遣い
馬車から降り、パテレ村と書いてある看板前に着いた僕達を、村長のヤギーさんを始め、村の人達が集まって歓迎してくれた。
「ようこそ、おいで下さいました。私は、村長のヤギーと申します。王子様も、その他の皆様も少しの間ですが、楽しんで頂けたら幸いです」
村人達に歓迎されると、王子も1歩前へ出て話し始めた。
「歓迎ありがとう、俺はアイル。先ほど村長も言ったが、この国の王子だ。しかし、堅苦しいのはいらん。楽にしてくれ」
おお、さすが王子。
普段は馬鹿みたいだなと思っていたけど、こういう風に、村人達を気遣う事ができるなんて素晴らしい。
「ありがとうございます。何かご用がお有りなら、何でも私めに聞いてください」
「なら早速だが、俺達は昼食を摂りたい。どこか無いか?」
うん、僕もかなりお腹が減った。
「なら、ギルドの隣にある食堂があります。おいリン、王子様達を食堂に連れて行って差し上げろ」
村長がリンという名前を出すと、村人の中から可愛い女の子が出て来た。
「この娘は、私の孫でリンともうします。これにガイドを任せますので、何なりと聞いて下さい」
リンが、お辞儀をし話し始める。
「初めまして王子様、リンと申します。何かご用がありましたら、何なりとリンにお申し付けください」
可愛いね。
年も、僕ぐらいかな?
仲良くなれたら良いな。
◇
「ここが、ギルドです。そして、こちらが食堂です」
へー、ここがギルドか。
今までギルドって行った事なかったから、無いのかなと思っていた。
てか、ギルドってどこの村にでもあるのかな?
「ハルさん、ギルドってどこにでもあるの?」
気になり、隣を歩いているハルさんに聞いた。
「大体は、ありますね。しかし、王都に近い村には無い事があります。実際、王都に近いカポの村にはありませんしね」
「後でギルド覗いても良いかな?」
「良いですけど、あまり良い所ではありませんよ?」
「うん」
「分かりました。なら、私もお供します」
「良いの?ありがとう!正直1人なら、扉開けて中を見たら帰ろうかと思ったよ。ハルさんいるなら中に入れるよ」
僕とハルさんが、今後の予定を話していると王子が前の方から話しかけてくる。
「おいレヴィ、後ろで何やっているんだ。早く隣に来い」
何で僕がいちいち、王子の隣に行かなきゃならないんだ。
「はぁい、今行きまーす」
僕は顔をヒクヒクさせながら、王子の隣に行こうとしたが、ふと思い出した事があり、ハルさんに聞いてみる。
「ねぇ、ハルさん?」
「はい、何でしょう?」
「さっき、何で王子を叩いたの?」
何かあったのかな?
「あいつ、レヴィ様の寝顔を、イヤらしい顔をして見てきたんですよ」
「・・・えっ、それだけ?」
「私には万死に値します」
イヤらしい顔とかは、勘違いかもしれないよ?
◇
所変わって、今僕達は食堂に来ている。
やはり、隣がギルドというだけあって、強面の人や屈強そうな人がたくさんいた。
ちょっと、いやかなり怖い。
そんな事を考えていたら、王子がリンさんと兵士さん4人にある提案をしだした。
「おい、リンだっけ?あと兵士達も席に座って飯を注文しろ」
『えっ!』
王子の言葉に、リンさんと兵士さん4人は驚く
通常、兵士は上の役職と食事を共にする事は認められていない。
理由は、護衛をする場合どんな時でも兵士は、周りに注意しなくてはならない。
そのため、皆と食事をした場合、気が緩んだり周りに目を向けられなくなり戦えないからと、エイトが言っていた。
当然、兵士たちは断ろうとする。
だが、王子は折れなかった。
「何だ、アデラの兵士は、たかが王子の言う事は聞けないってか?リンは座るよな?」
「は、はい」
リンは迷うも、王子の言う事を聞いた。
そんな事言われた後じゃ、拒否できないよね。
それから兵士さん達と少し揉めたが、最終的には皆同席し食事をする事になった。
「ふふ、兵士さんとリンさん大変だね。見てあの困惑した顔、でも皆で食事した方が楽しいもんね。」
僕は、皆で食事が出来る事で何だか嬉しくなってしまい、笑顔でハルさんに言った。
「私も、最初の時レヴィ様に同じ事されましたね。もう慣れましたが」
「だっけ?忘れちゃったな。でも、ハルさんと一緒にご飯食べるの楽しいから」
僕がそう言うと、心無しかハルさんが距離を縮めて来た。
「私も、レヴィ様とご飯食べの楽しいですよ」
「ありがとう、嬉しいな」
そんな話しをしていたら、王子が怒って来た。
「おい、そこ。早く飯頼め!腹減ってんだよ」
「はいはい、畏まりました」
こうして、昼食は皆で食べた。
大勢で、食を囲むのはやっぱり楽しい!
ちょっと、プライベートが大変なので、投稿をゆっくりにします。
申し訳ないです。




