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悪人転生して善を積む  作者: カメカメ
2章冒険
74/125

25馬車の中はつらいよ

あの王子襲撃の次の日。

雲1つない快晴、暖かい陽気、清々しい空気の中、大地にカッポカッポと心地よいリズムを刻みながら進む馬車。


そんな中、僕は馬車で気まずい空気に浸っています。


理由は、王子とハルさん2人の会話がないため、僕が気を遣って2人に話題を振るという状態だからだ。

まあ、話題を振ったとしても苦し紛れの話題だから、すぐ会話が途切れるんだけどね。


でも、頑張れレヴィ。

お前なら出来る。


「・・・あの、所でシーサイドまでどのくらいかかるの?かな、なんて」


僕は、隣に座っているハルさんに聞いた。


「シーサイドは、アデラからだと2日くらいかかります。王子、今日はどこに泊まるのですか?」


ハルさんの質問に王子も答えた。


「さっき聞いたんだが、ここから3時間くらい進んだ所に村があるそうだ。そこに泊まる予定だ。村の名前までは知らん」


「そうですか、ありがとうございます」


「ああ」


「・・・」


「・・・」


気まずいよ〜、皆こんな時どうしてるの?

仕方ない、窓から景色を見てやり過ごそう。

僕は早速体を避けに向かせ、窓から外を見た。


うん、やっぱりこの世界の景色は綺麗だ。

特に空が綺麗、透き通っている!


そう思いながら、窓から景色を見始めて数十分くらい経った頃、王子が話しかけてきた。


「おい、レヴィ」


「はい、何でしょう?」


何だろう?


「お前、なんていう歌を口ずさんでいるんだ」


「あっ、すいません。止めます」


マズい、景色に夢中で無意識に口ずさんでいた。


「いや、大丈夫だ。むしろ、もう少し大きめに歌ってくれ」


「いや、それは恥ずかしいので出来ません」


歌が上手いわけではないから無理。


「レヴィ様、私からもお願いします。聴いていて、とても心地よくなりました」


ええー、ハルさんまで!

ハルさんに頼まれたら、断れないよな。


「わ、分かりましたけど、笑わないでくださいよ?」


「ああ」


「はい」



「す、すみません。さすがに歌い疲れたので、休んで良いですか?」


あの後、僕は6回も同じ歌を歌わされた。

それこそ、始めは気恥ずかしかったが、何回か歌っているうちに恥ずかしさが消えた。


そして、さすがに6回も歌うと、喉が少し痛くなってくるし疲れてくる。


「ああ、悪かった。つい良い曲だから、何回も聴いてしまった」


珍しく王子が謝罪してきた。


「いえ、喜んでくれたのなら幸いです」


「レヴィ様、是非私の膝でお休みください」


ハルさんも、膝をポンポンしながら促してくる。


「えっ、いや」


「是非!」


「あ、はい、すみません。よろしくお願いします」


圧に負けた僕は、ハルさんの膝で休んだ。


ああ、ハルさんの膝気持ち良い!

何か良い匂いするし。

はぁ〜あ、眠くなってきたな。


「お眠りになっても大丈夫ですよ?」


「でも、王子の前で寝たら不敬罪に当たらない?」


まだ、善をそんなに積めてないので、死にたくないです。


「構わん、寝ろ」


なんと王子、直々に許可をくれた。


「ありがとうございます。それでは、お言葉に甘えて。お休みなさい」


その後、すぐに僕は眠りに着いた。

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