幕間ハルフィートとアロマキャンドル
最近、私のレヴィ様があのゴミ屑のような存在のゴブリンを、殺してしまった事で気に病んでいる。
それが原因で、毎夜その時の夢を見てしまい、起きてしまう。
「可哀想に。あんな息をしているだけで極刑の様な奴を殺してしまった為に、心を痛めてしまうなんて」
まぁその度に、あのきめ細やかな手を触れる事が出来るので、私は悪いことばかりではない。
しかし、このままではレヴィ様の小さな体がもたない。
そこで私は、レヴィ様がリラックスできる様な情報を集めるために、メイドの休憩室(天井にある通気孔)に張り込む事にした。
情報1
「カポの村に、外湯っていう所があって肩凝りや美容に効果があって、心身リラックス出来るらしいよ!」
「あ、聞いた事ある。でも、匂いがキツいらしいね」
「でも、美容に効果あるなら、1回は行く価値は有りだよね」
「「「あり」」」
情報2
「最近さー、私のご主人のー、目がいやらしくてー、ストレス溜まっててー」
「そんでそんで?」
「海に近いあの町なんて言ったっけー、まぁ良いや、その町にあるアロマキャンドルっていうのがあるんだよねー」
「そのアロマなんちゃらがどうしたのー?」
「これが、メンタル和らげるっつーかー、ストレスがー0ちゃんになるんだとかー」
「何それ、めっちゃほしーいー」
「でもー、遠いし金たけーからー買えねーの」
「ハッハッハッ、マジうけるー」
情報3
「あなた、この吊るされているコインをずっと目で追いなさい」
「え、何でですか先輩?」
「良いから。左右に揺らすから、目で追いなさい」
「わ、分かりました」
「よし、行くわよ」
「・・・」
「・・・」
「・・・先輩、何かボーッとしてきました」
「頃合いかしらね。よし、あなたはだんだん眠くなる〜、あなたはだんだん眠くなる〜」
「・・・くぅ〜、くぅ〜」
「出来た!これで、あの方もついに私の物になる!」
◇
「ふむ、幾つか使えるのはありましたね」
外湯の件は、あの羽虫がカポの村にレヴィ様を連れて行くので、多分だが外湯にもお入りなるだろう。
本当は、私が一緒に行きたい所だが、同年代で行った方が楽しいだろう。
だから、今回だけはあの羽虫に譲ってやろうとおも思う。
今回だけは。
となると私は、海の町【シーサイド】で売っているアロマキャンドルを購入して、起きてしまう夜にレヴィ様が使える様にすれば、少しはリラックスしてくれるかもしれない。
「コインこの方法は、いつか使う時があるかも知れないので、その時まで取っておこう」
私は早速、使いの者を出し【シーサイド】へアロマキャンドルを買いに行かせる。
◇
「ハルさん、今日ねエイトとカポの村に行って、外湯と言う所に入ったんだ」
夜、私はお風呂に入ったレヴィ様の髪を梳かしながら、今日の出来事を聞いていた。
「それはそれは、いかがでしたか外湯は?」
「良かったよ!しかも、帰り際にこれをくれたんだ」
見せてくれたのは、亀の石がはめ込まれたキラキラ輝くグリーンの輝くブレスレットだった。
このブレスレットを見せながら、可愛い笑顔で話してくるレヴィ様。
・・・レヴィ様に、こんな可愛い笑顔にさせる羽虫が憎らしい。
しかし、今回は手柄を譲った身、我慢するとしましょう。
「レヴィ様、私からも渡したい物が」
「えっ?」
ああ、この偶に見せるこの拍子抜けしたような顔。
とても、可愛い。
「どうぞ」
私は、うっとりしながら買い付けたアロマキャンドルをレヴィ様に渡す。
「わぁ、アロマキャンドルだ!」
「!」
何と、知っていたのですか。
さすがレヴィ様。
「はい、ご存知でしたんですね」
「うん、前にメイドさんから聞いていたんだ。でもお値段が高いから買えないって言ってた。こんな高価な物、貰っても良いの?」
「問題ありません」
あなたのために買ったのだから。
「あの、ハルさん」
「はい、何でしょう?」
「こんな高価な物、買ってもらって何だけど、今日の夜使っても良いかな。もちろん少しずつ使うから」
「どうぞ、少しずつではなく使い切って下さい」
「えっ、良いの?そ、それじゃお言葉に甘えて。どんな匂いするのかな。楽しみ」
レヴィ様から、待ちきれない感じが伝わってくる。
そして、ここから私も本当の野望が始まる。
「しかし、火を使うのは危険なので、私も一緒に寝ます」
そう、子供の火遊びは許しません。
名付けて、危ないので一緒に寝ましょう作戦です。
「えっ?」
「何か、火を使うんですよ?当たり前じゃないですか」
「でもほら、起きてたら大丈夫だし」
「これは、レヴィ様がリラックスして寝れる様、買った物です」
「いや、うん。ありがたいんだけどね、恥ずかしいと言うか何と言うか」
「女性同士、何か問題でも?」
「いや、ないけど。う、うん。そ、そうだよね」
レヴィ様は、少しの間もじもじした後、私を見て言った。
「わ、分かりました。よろしくお願いします」
私の方が背が高いため、意図せず上目遣いになるレヴィ様、控えめに言ってもすっっごく可愛らしい。
「ああ、可愛い」
「可愛い?」
しまった。
可愛いとか言って、私のキャラでは無いですね。
「いえ、何でも。さぁ、もう夜も遅いですので早く寝ましょうか」
「そう、ですね。ハルさんと一緒に寝るの緊張する」
私もです、まさかこうあっさりと一緒に寝てくれるとは。
アロマキャンドル、たくさん買い付けよう。
毎回見てくださっている方々、ありがとうございます。




