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悪人転生して善を積む  作者: カメカメ
2章冒険
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22リフレッシュした1日

「ほんっとごめん!わざとじゃ無いんだよ」


エイトは僕に会うなり、開口一番に言ってきた。


「もう良いから。その話題はしないで」


言われると、思い出して恥ずかしいし。

こっちとしては、なるべく忘れたい。


「だ、だが」


「しつこいよ!」


あまり、しつこいと怒るよ!


「じゃ、じゃあ最後に。これ、お詫びと言っては何だけど貰ってくれ」


エイトは、ポケットに入れていたブレスレットを取り出し、僕に渡してきた。


「だからもう良いって、って何これ凄く可愛い!」


怒りの抗議しようとしたが、エイトが差し出してきたブレスレットが可愛く、つい受け取ってしまった。


「わぁ、凄く綺麗で可愛い!」


そのブレスレットはキラキラ輝いているグリーンの色彩で、周りに亀の形に加工された石が付いている。


「そのブレスレットは、村おこしの為の試作品で、外湯に浸かっていた石を、輪っか状に編んだ布の中に、はめ込んだ物だ」


「へー、このキラキラ輝いてるの布なの?凄いね」


でも、温泉に浸かっていた石なの?

スンスンと匂いを嗅いでみた。

しかし、温泉のお湯に浸かっていた割には匂いもない、むしろ少し甘い匂いがする。


「石に、リラックス効果のある匂いもついているらしい。他にも効能もあって、肩こりや疲労を解消してくれるんだと」


何、その今の僕にジャストフィットした商品!


「ちなみにそのブレスレット、試作段階終了したばかりで、まだ売られてないからレヴィが第1号だぞ」


「えっ、どうやって手に入れたの?」


「内緒だ。そして、そのブレスレットまだ仕掛けがあるんだ。手首の周りを1周する様に回して、上から見てみな」


エイトの言われた通りに回してみる。


「わぁ、亀が歩いてる!可愛い」


1つ1つの亀の形が違うので、亀が僕の手首の上でテクテク歩いてる様に見える。


「お〜、何か癒される!ずっと回していられるかも」


そんなしゃいでいるを僕を見て、エイトが安堵していたのを僕は知らない。



「今日は、ありがとうございましたナダンさん。外湯、凄く良かったです。また、近い内必ず来ます」


「いえいえ、むしろこちらこそ無料で村の住人の怪我を治して頂き、ありがとうございます。レヴィ様ならいつでも大歓迎です」


僕とおじさんことナダンさん(ついさっきエイトから名前聞いた)は、お互いペコペコお辞儀をしながらしながら会話していたが、そんな光景に痺れを切らしたエイトが催促してくる。


「おい、レヴィ。そろそろ帰るぞ、馬車に乗れ」


さっさと馬車に乗る様、手で促す。


「うん」


僕は馬車に乗り、最後にまたおじさんに挨拶をする。


「では、また来ます」


「はい、いつでもお待ちしております」


挨拶をし終えると馬車が動き出し、僕達は村を後にした。


馬車に揺られていた時、僕はふとした事を思い出す。


「ねぇ、エイト」


僕は、馬車の窓から景色を見ていたエイトに話しかけた。


「何だ?」


「そう言えばエイトのトラウマって何だったの?」


「ん?ああそれか」


エイトは、僕の質問に答えるために景色を見るのをやめ、こちらを向く。


「ハーピーって知ってるか?」


「ハーピーって、あの空飛ぶモンスター?」


「そうだ」


ハーピーとは、鳥と女の人が合体したようなモンスター。

性格は獰猛で獲物を見つけると、執拗に空から攻撃を仕掛けて息の根を止めてから食べる。


「初任務が、カポの村に住み着いたハーピー数体の討伐だったんだ」


「そうだったんだ、それで討伐した事がトラウマに?」


確かに、見ようによっては女性みたいに見えるからね。


「ああ、やっぱりモンスターとはいえ、手と足以外は普通の人に見えちゃってな。トドメを刺すとき躊躇ったよ」


だよね、人に見えるとそうなるよね。


「でも、あっちは俺達を殺す気で来てるからな。仕方ないと割り切ったよ」


そういう風に、割り切れる所が凄い。


「だから、レヴィがゴブリンを殺した事でトラウマになるのも分かるよ」


そう言われると、少し心が軽くなった。

皆がみんな誰しも強くは無い、だから人によってはそんな事?と思う様な事でも悩んだりする。


もしエイトがいなかったら、僕はまだ悩みを抱えたままいるかもしれない。

そう考えると、今日は本当に良いリフレッシュになった。


「エイト、改めて今日はありがとね。あるかどうか分からないけど、もしエイトにも悩みとか相談が出てきたら頼ってね」


「あ、ああ、そん時はよろしくな」


「何照れてるの?顔赤いよ」


「う、うるせぇ」


エイトが困ったら、今度は僕が助けてあげたい。

そんな事を思いながら、僕は城へ帰った。

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