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悪人転生して善を積む  作者: カメカメ
2章冒険
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19村に到着したけれど

あれから、エイトがいつの間にか予約していた馬車にのり、僕たちは今カポの村に向かっている。


ああ、カッポカッポと馬が歩く音が耳に心地良い。


「アデラから近いって、言っていたから歩きかと思った


僕は、馬車から見える景色を堪能しながら言う。


「さすがに近いとは言っても、歩きだと日帰りは無理だ」


まぁ、確かにね。


「今日もハルさんいないのか?」


「うん、ちょっと町に頼んだものを取りに行くらしくて」


「そ、そうか。2人だけって初めてだな、何か緊張するな」


え、何で?

別に何とも思わないけど。

だって相手はエイトだよ?緊張なんて無い無い。


「それより、そろそろ聞かせてよ。何でカポの村に行くの?」


「だから、着いてからのお楽しみだって」


「むぅ、いつ教えても一緒じゃん」


「違うんだなー、とだけ言っておこう」


何、そのドヤ顔。

ちょっとムカつく。



馬車に揺られて約2時間、カポの村に着いた。


カポの村、編み物と織物を中心としている村で、この村の絨毯や飾り布なんかはとても人気があると、エイトが馬車の中で言っていた。


「カポの村に着いたぜ、降りるぞ」


「うん」


うう、始めは良かったけど、馬車は長時間乗ってるとお尻が痛くなってくるな。


僕はお尻を摩りながら馬車から降りる。


「ここが、カポの村か。何だろう、何か臭い匂いがする」


スンスン、やっぱり臭い。

でも、どこかで嗅いだ匂いなんだよね。

どこだっけ?


「おいこら、臭いとか失礼だから、絶対村の人には言うなよ」


「あ、ごめん。気をつける」


確かに失礼だよね、反省。


「ほら、行くぞ」


「うん」


カポの村に入って少しすると、道を歩っている人達が、エイトに気づき始めた。

小さな村だからか、それともエイトが人気者だからか人だかりが簡単にできた。


そして、集まってきた中、1人のおじさんがエイトに話しかけてくる。


「おお、エイト様。またお入りに来たんですか?」


「ああ、今日は連れが入りに来たんだよ。ほら、レヴィ挨拶だ」


エイトは、村人にそう言いながら僕に自己紹介を促して来る。

別に構わないんだけど、何かエイト僕の保護者みたいに言うね。


「初めまして、私はレヴィと言います。治癒師をしています。よろしくお願いします」


無難な自己紹介話したつもりだが、おじさんは体をワナワナと震わせ、すごく狼狽え始めた。


え、何かこの自己紹介ダメだった?


「ち、治癒師、あなたが。あ、あの。いきなりで悪いんですが、お願いがあるんです!お金・・・は支払える分くらいしか払えませんが。でも、お願いします、診て欲しい奴がいるんです!」


おじさんが、僕の肩を掴み必死にお願いし始めた。


「え、は、え?あの、分かりました。診ますから止めてください。ああ、肩を揺すらないで、ガクガクして首が痛くなる」


ちょっ、止めて!

さっきから、首がヘッドバンキングしてるから痛い。


「ほ、本当か!良かった」


ようやく、肩を揺するのを止めてくれたおじさんが、涙を流し始めた。


「その方は、どちらにいらっしゃいますか?」


僕は、痛い首を押さえてヒールをかけながら、おじさんに聞くも、その光景を見た人達は、


「おおー!まさかの無詠唱か。素晴らしい」


と、驚いていた。


それを見ていたエイトは後ろ頭を掻きながら言った。


「何か変な展開になってきたな」

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