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悪人転生して善を積む  作者: カメカメ
2章冒険
61/125

17終わる長い1日

『ギィギャ』

『ギィギィ』


「きゃぁぁ、嫌だ、やめて!」


群がるゴブリンは、一気にシムさんの下へ行き服をむしり始める。


「男性陣、僕がゴブリンを出来るだけの人数を引き付けるので、その隙にシムさんを助けて洞窟へ避難して来ださい」


「分かった」


「おう」


「任せろ」


「やってみる」


「よし」


王子、レド様、ラウン様、ツパン様、マナハさんがすぐに返事をして、シムさんの所へ駆けつけて行く。


「おい、ゴブリン!こっちにも女はいるぞ!」


僕が、ゴブリンに向かって言った時。


「こっちもだ!」


「え?」


「私より小さな子供が体張っているんだ。あたしも、やるよ」


リーラさんも囮りに参戦してくれた。

ありがとう!


「さぁ、逃げ回るよ」


「はい!」


僕とリーラさんは、シムさんのゴブリンを何体引き剥がせたかは分からないが、追ってくるゴブリンから逃げ始めた。



「はぁ、はぁ」


あれから、僕とリーラさんはどれくらい走っただろうか?

一向にシムさんを救助したとの声が聞こえない。


「はぁ、はぁ、あと、どれくらい、走れば、良い、んだろう」


走りながら、シムさんが襲われた場所を探す。


「いた!もう、少しで、助けられ、そうかな」


見たら、ラウン様と王子がシムさんを洞窟へ運んでいて、後の男性陣が護衛をしていた。


「良かっ、あ、」


シムさんを救助されていたのを見て、気が緩んでしまった僕は、足がもつれてしまい横になる様な形に倒れた。


「しまっ」


瞬間、


『ギーギャギャ』


「うわっ!」


ドカッ


「うっ」


すぐ後ろにいた1体のゴブリンが、僕の体の上に乗って顔を殴って来た。


そして

ビリビリッ、

僕の服を破り始めた。


「いや、やだ」


やばい、今僕を助けてくれる人はいない!


『ギャーギャー』


「やめて!いやだ!」


必死にもがいた。


でも、


力が強い!

爪が肌に刺さって痛い!


ビリビリビリ

上の服を全て破られ、下着姿になってしまった。

下着も破いたら、次は下だろうか?


「いや、いや、いや」


無駄だと分かっていても、もがき続けていた時、ふと視界に何か見えた。


それは、鉱石だった。


「あ、あ、あー!」


僕は頭が真っ白になり、鉱石を掴むと思いっきりゴブリンの顔目掛けて殴り付けた。


ドゴッ


『ギギ!』


ゴブリンが僕の上から倒れ落ち、痛みでもがいた。


そのゴブリンを僕は、


ドゴッ


『ギ』


ドゴッ


『ッ』


ドゴッ


必死に殴り続けた。


「はぁ、はぁ、はぁ」


『・・・』


逃げよう。


しかし、


『ギャギャー』

『ギーギャギャ』

『ギーギャギャ』


更に後ろから、違うゴブリン達が僕を襲ってくるのが見えた。


その光景・状況を見て感じた時、僕はこれからされるだろう行為に、虚無感を覚え全身から力が抜ける。


終わった。


そう思った時、


「レヴィ様、大変遅くなりました!」


いきなり目の前に現れた、メイド服の誰かがそう言いゴブリン達の首を刀で一閃、周りにいたゴブリンを一掃した。


その後、僕に振り返った誰か、いやハルさんだ。

ハルさんは、僕に予め用意していたであろうフードを被せ、抱きしめて言う。


「レヴィ様、本当にすいませんでした。兵士達を動かすのに時間が掛かってしまいました」


僕は、朝方ぶりのハルさんの心地よい感触にようやく安堵し、勝手に涙が出て止まらなくなった。


「ハ、ハルさん。ハルさん、ハルさんだ」


僕は、ギュッとハルさんを抱きしめた。



それから、そう時間が経たずにゴブリンは駆逐された。


リーラさんは、無事逃げ切ってくれていたそうだ。


シムさんも、もう少し遅かったら取り返しのつかない事態になっていた所を、なんとマナハさんが颯爽と助け出し、皆にシムさんを任せた後、殿を務めてくれたらしい。


なるほど、だからさっきからシムさんはマナハさんにベッタリなんですね。


ちなみに僕は、


「レヴィ様、お怪我はございませんか?」


「うん、僕治癒師だから怪我は大丈夫だよ」


「レヴィ様、お腹は減ってはいませんか?」


「減ってないよ、さすがにあんな事があった後だからね」


「そうですか」


少し間があって、


「しかし、さっきのゴブリン。レヴィ様の柔肌に爪なんぞ立てよって、ちょっとそのゴブリン斬り刻んで来ます」


「やめて、片付けている兵士さん達に迷惑かかるから」


「くっ、なら、やはり到着の遅かったら私めに罰を下さい」


「いや、そもそもハルさんいなかったら、全員全滅だったんだから。お礼はあっても罰はないよ」


と、情緒不安定になっていた。


でも、まぁ。


「ハルさん、今日はありがとう。助かりました」


僕はハルさんに頭を下げた。


ハルさんは、


「いえ、それが私の務めです」


「フフッ」


僕が、声を出して笑うと、ハルさんも笑ってくれた。


「帰りますか」


「うん、帰ろう」


僕の長い1日が終わった。

まだまだ2章は続きます。

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