6最悪な出来事 前編
次の日、レヴィはサノハのサポート係りになったので、施設内の道案内をしていた。
「ここが、洗濯場だよ。あ、1番右端は少しだけ洗濯板にヒビが入っている気をつけて使ってね」
「なぁ」
「何?何か聞きたい事でも?」
「援助交際やってみないか?」
「それなら、えっ?」
余りの唐突さに、レヴィは笑顔で固まってしまった。
(えっ、何こいつ援助交際とか言った?7歳の女児に向かって)
「し、質問がないなら次行くよ?」
「話しはぐらかすな、援交しないかって聞いてるんだよ」
「する訳ないじゃん。いきなりなんて事言うの?」
こいつ、いきなり過ぎるんですけど。
そんな事したら、無機物転生ルートになっちゃうじゃん。いや、ならなくてもやらないけど。
「俺、今回勧誘のノルマ足りなくってさ。施設長から聞いたぜ、随分と人にお節介をやくんだろう?なら、頼むぜ!」
サノハは、ニヤニヤしながら言ってくる。
「私がお節介をやくのにも、限度と種類がありまして、今回の案件はどちらも違います。当たるなら他の人をどうぞ!勿論、施設外の人でね」
「チッ、そうかよ!せっかく一部のマニアには受けそうな女だったのによ」
「はいはい、残念でしたね。次は、男子の寝室部屋に案内するね」
踵を返すと、いきなり手を掴んできた。
「じゃぁさ、1度店にだけ来てくんない?」
「だから、やらないって」
「それは分かってる。だから、1度店に来てやっぱり辞めたで良いんだよ」
「はっ?」
話しを聞くとこうだそうだ。
最初は援助交際をやる気だったが、実際来てみたら、尻込みして辞めましたということにしてくれと。
それじゃぁ、ノルマにはならないんじゃないか?と聞くと、どうやら契約書にサインすれば、ノルマ加算されるらしい。
しかし、実際女の子が店に来ないと、インチキしたとみなされ、罰金という制裁を受けるんだとか。
「頼むよ!あと1人どうしても見つからないんだ!」
「はぁ、今回だけだよ。あと、今回でそのお仕事辞めてね?施設長とみんなに迷惑がかかるかもしれないから」
余りにも必死で頼み込んできたので、今回で足を洗う事を条件に話しをのみ、レヴィは契約書にサインをした。
「ありがとよ!後日連絡するぜ!」
「いやいや、どこ行くの?道案内まだ終わってないから」
手を挙げ、去ろうとしていたサノハを止める。
「ああ、はいはい。頼んます」
「まったく」
はぁ、と溜息を吐きながらレヴィは道案内を始めたのだった。