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悪人転生して善を積む  作者: カメカメ
2章冒険
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11もう帰りたい

「私は、皆様が見えない所で待機しています。何かされた時は叫んで下さい。すぐ駆けつけます」


「ありがとう」


昼食会には、僕しか参加してはいけないと(王子に)言われているため、ハルさんには何かあった時の保険として、見えない所での待機をしてもらう事になった。


「じゃあ、行ってきます」


「行ってらっしゃいませ」


少し歩いた所で、昨日から言おう言おうとしていた事を、振り返ってハルさんに言った。


「ハルさん」


「はい、何でしょう」


な、何か照れ臭いな。


「いつもありがとう」


何故、感謝の言葉を言ったかというと、実は理由がある。


ハルさんの目の事を、本人に聞いたのだ。


師匠が言っていた事は本当で、

(いや、嘘とは思ってはいないけど)

ハルさんはとある任務中、目に呪いをかけられたそうだ。


その呪いは進行していっているらしく、少しずつ見えにくくなっているらしい。


ちなみに今は、1メートル先くらいからはボヤけて見えないと言っていた。


師匠も頑張ってるが、今の所、解呪出来ずにいる。


それでも、いつも自分より僕のために頑張ってくれているハルさんに、お礼が言いたかったのだ。

言えてよかった。


そして、誰も治せなかったら、いつか僕が治してあげたいな。


「・・・レヴィ様、時間ですよ。早く行かないと、王子がうるさいかと」


「いけね、じゃあ今度こそ行ってきます」


よしっ、言いたい事言えたから頑張って来ますか!



「遅いぞっ!待ちくたびれた」


王子の話しを了承した時に、教えられた寝室に来た途端言われた。


「す、すいませんねぇ〜。こっちも暇じゃないんで」


相変わらずムカつくな。


「ちっ、まぁ良い。俺は寛大だからな、ありがたく思えよ?」


誰が思うか!


「ちなみに、あのメイドはいないな?」


いるけど、


「いませんよ、どうしてですか?」


「目が怖いんだよ、こいつと喋る時はとくに」


「え、何て?」


ぶつぶつ言われても聞こえない。


「い、いいから。おら、行くぞ!ついて来い」


「はいはい、畏まりました」


結局、何でハルさんダメなんだよ。



数分歩いた所に、もの凄く開けた庭があった。


「うわ〜、王子。凄く綺麗で清々しい庭ですね」


「ふん、どこにでもある庭だろ。いちいち、喜ぶな」


コイツ殴りたい、こんな良い庭が何処にでもあってたまるか!


「おっ、いたいた!おーい」


王子が笑顔で手を振った先には、いかにもボンボンといった感じの子供が3人いた。

ボンボン3人の後ろには、治癒師だと思われる女性が3人いる。


「なっ、あの話しは本当だったのか!」


金髪のボンボン1人が驚きの表情で言った。


「ハハハ、だから言っただろ?めっちゃ若くて才能溢れてる治癒師が、俺の専属治癒師だって」


あああん?そんな訳ないだろう!今日限定だから。


「しかも、俺の事大好きでやんの。全く参るよ」


いつそんな事言ったんだよ!僕自身、初耳だわ。


「なっ?」


何、そのハイって言えみたいな顔、言いたくないんだけど。


「なっ!」


王子がさらに圧をかけた聞き返しをしてきた。


「はい」


今、こいつの顔に泥を塗ったら、今日僕が出席した意味が無くなる!

ここは、耐えて我慢だ。


「たくっ、参っちまうよ!まぁ、話しは飯食いながらしようぜ」


「そうだな」


「だな」


茶髪の1人は相槌を入れ、もう1人の赤髪はうんうんと頷いていた。


僕はというと、


「もう、帰りたい」

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