2目に見えないもの
「あそこで勝負を始めましょうか」
師匠が、広場の真ん中にある噴水を指差し言った。
「分かりました。時間はどうします?」
「1時間よ。最低10人は見つけなさいよ?」
え、兵士さん達みたいに訓練とかしないのに、そんなに普通の人が怪我なんかしなくない?
「そんなに、怪我する人いないでしょう?みたいな顔してるわね」
師匠って、僕の考えてる事、大抵当てて来るから怖いんだよね。顔に出てるのかな?
「いるんですか?」
「いなきゃ言わないわよ。はい、開始」
リアは開始宣言すると、すぐ近くにい足をゴシゴシしていた男の人に何かを聞きヒールを唱えた。
え、あれは反則じゃない?怪我もしてないのにヒールを唱えるのはブブーでしょ!
文句も言いたかったが、時間が惜しいのでまずは回復に専念した。
◇
「はい、終了〜!さ、結果発表」
「レヴィ、何人回復したの?」
「8人です」
「私はゆっくりやって21人よ。私の圧勝ね!」
師匠は、ふんぞりかえって威張っていた。
いやいや、反則はダメだよね?
「師匠、関係ない人も回復するのは反則です!」
不正ダメ、絶対!
「関係ない人は回復してないわよ?」
あー、しらばっくれている。
「だって、始めから怪我をしていない人を回復させていたじゃないですか」
「馬鹿ねあなたは。最初に声をかけた人は、足を怪我していたのよ」
嘘だ!
「本当よ?足をさすっていたから、もしかして足痛かったりします?て聞いたのよ。そしたら太ももをぶつけて怪我をしたって言うからヒールをかけたのよ」
え、そうだったの?
「それに、さっきあなたの横を歩き方がギクシャクしていた女性が通ったでしょう?あれ、足首捻ったかららしいわ」
マジですか!
「レヴィ、あなたは怪我や傷は目に見えるものだけって思ってるでしょう?んな訳無いじゃない」
あなたは、どこか捻った事無いの?と師匠は、馬鹿にしてきた。
どちくしょー!
「あ、カダートは私のね!」
「はっ!」
僕はその後、両手両足を地面につき四つん這いになった形に自然になり、自分の発言に後悔してした。
やっぱり、賭け事は良くないね!




