幕間エイトの焦り
2〜3話くらい幕間を作ります。
その間に、2章を仕上げたい!
俺はエイト、勇者の紋章を持っている。
最近ではスキルも覚え、年の近い友人もできたからか、充実した日を過ごしている。
いや、過ごしていた。
理由は、年の近い友人レヴィが、俺よりも早く初任務に行くことになったからだ。
しかも、普段は固定場所に待機の治癒師に抜かされた。
クソッ、俺も負けられない!初任務の仕事は負けたが、何かしらの功績は俺が早く頂いて見せるからな。
俺は、そう思いながら自分を奮い立たていた。
しかし、無情にも俺は現実を突きつけられることになる。
オークを討伐に行ったレヴィ達は、なんとイレギュラーで現れた、ジャイアントタイガーをも倒したとの報告を受けたのだ。
これには、周りの兵士達も唖然としていた。
そもそも、何故ジャイアントタイガーが近くの森林にいたのかという疑問もある。
でも、こんな成果を出して来たレヴィ達は、多分何らかの勲章をも貰えるだろう。
またも先を行かれた。
◇
数時間後、オーク討伐隊が帰還したとのことで迎えに行ったが、レヴィの姿が見られなかった。
「あれ?いないな。あいつ背が普通の子より小さいから、見つけにくいのか・・・、いた!」
なんと、レヴィは誰か知らん兵士の背中に抱えられていた!
しかもあいつ寝てるし、てか左頬赤くないか?
翌日、俺はレヴィと訓練場で会う事が出来た。
「よぉ、昨日はお疲れ様。中々、大変だったみたいだな」
本当は心中穏やかじゃないが、なるべく普通に接した。
「やぁ、エイト。大変なんてもんじゃ無かったよ!僕は何もしてないんだけどね」
レヴィは、内容を大まかに説明してくれる。
「ハハハ、でも良かったじゃないか。多分勲章か何か貰えるんだろう?」
「らしいね、何もしてない人にもくれるんだから、城の人は太っ腹だね」
こういう風に話してると、さっきまでの複雑な気持ちなんて無くなってくる。
やっぱこいつといると、楽しいな。
しかし、そんな気持ちはある奴のせいで、すぐにかき消される。
「レヴィ、お前は役立たずなんかじゃ無かったぜ!お前がいなかったら、死者が出てた可能性はかなり高かったぞ?」
こいつ確か、レヴィをおんぶしていた奴だ。
ふとレヴィを見てみると、顔を真っ赤にしながらプルプル震えていた。
何、どうした?
「えー、何でカークさんがこの訓練場にいるんですか?」
めっちゃ狼狽ている!
「俺が知るかよ、こっち側に配属命令が下ったんだから」
いや、噂だがこいつ今回の報酬を蹴って、こっちに配属を希望したとか言っていたぞ。
あくまで噂だから、何も言えないが。
「ま、よろしくな」
カークという奴は、そう言いながらレヴィに握手を求めていた。
「は、はい。よろしくです。あ、先日はどうもありがとうございました」
レヴィ、何でさっきから顔が赤いんだ?
ま、まさか、このカークに惚れているんじゃないだろうな?
でも、レヴィは自分のいた施設の人が好きなんだよな?
しかし安心は禁物だ、間違いはあるとこいつのメイドさんが言っていたからな。
何かある前に、対処しなくちゃだ。
まずは、こいつのメイドさんに相談だ。
いつの間にか、エイトの焦りの方向は変わっていたのだった。




