36レヴィの失態
僕は、負傷していた人達の所に来てヒールをかけていた。
《ヒール》
「あとは、回復必要な方いますか?」
「いや、いないかな。ありがとう、おかげさまで皆、誰も死なずに済んだよ」
皆、各々お礼を言ってきた。
「いや、お礼なんていりませんよ」
めっちゃ照れる。
「さ、さぁ、退避しましょう?身体は治っても、血は戻りませんから」
「そうだな。よし、カークがジャイアントタイガーを引き付けてくれている間に逃げますか」
「「「おー!」」」
僕らは、木の窪みから外に出て、退避するためにジャイアントタイガーを確認するために見た。
すると、カークさんが左肩を噛まれていた。
「カ、カークさん!」
僕は、カークさんの所に走り出そうとしたが、後ろからドマさんに掴まれた。
「待つんだ!君の役目はもう終わったんだ。あとは、指示があるまで待機だ」
「い、嫌だ!このままじゃカークさんが死んじゃう」
僕は、掴まれた手を振り解きカークさんの所へ走り出した。
◇
「いってぇー。まだそんな力あったのかよ」
『ガルル?』
「何だ?ピンピンしてるのが不思議か?こちとら、防御がない分な体を鋼のように鍛えてんだよ。確かに痛いが、我慢の範疇だ。そしてお返しだ!オラァ!」
カークは、動く右手で戸惑っているジャイアントタイガーの左目に剣を突き刺した。
『アギャャ』
そのまま更に目を抉り、頭の方向へ剣を上げようとした時、
「カークさん!カークさん!今治しますから死なないで‼︎」
レヴィが走ってきた。
ジャイアントタイガーは、レヴィの声に反応し力を振り絞り、カークから離れレヴィの所へ走る。
「レ、レヴィ逃げろ!」
「え?」
しかしカークの声が届いた時、すでにジャイアントタイガーはレヴィ捕捉し喰らおうとしていた。
「ッ!」
レヴィは、今から噛まれて死ぬかもしれない覚悟しながら目をつむる。
ギィィン
何かと何かがぶつかる音がした。
レヴィが恐る恐る目を開けると、そこには盾で相手の攻撃を凌いだトリス隊長がいた。
《ファイヤーソード》
トリス隊長がスキル名を言い、剣が一気に燃えるとジャイアントタイガーの顔を真っ二つにした。