30町の外のオーク達
あの雌と別れた後、今僕は兵士の皆さんと町の外へ出ていた。
「此処からは、いつ戦闘になっても良い様に隊列を組んで歩くぞ。みんな、耳にイヤリングをつけているか?」
「「「イエッサー!」」」
兵士さん達は、離れていても皆の声が聞こえる、魔法のイヤリングを耳につけているのを確認し、おちゃらけた返事をしながら隊列を組み始める。
町から出たら皆、何でそんなに楽しそうなの?全然理解できない。
いや、「イエッサー」は確かに間違いではないんだけどね。
「レヴィ、大丈夫か?」
うんざりしている僕に、隊列を組んで近くなったカークさんが話しかけて来た。
「いいえ、何で皆さんこんなに楽しそうなんですか?」
「それは男で兵士だからな。頑張って名を上げて出世出来るチャンスだ。レヴィは、女の子だから分からないかもな」
男でも分からんわ。命がけの出世なんて、ごめんだね。
しかも、その女の子は分からない発言、女性の兵士さんが聞いたら怒られるかもよ。
でも、理由は分かった。出世したいんだな。
「あとは相手がオークってのもある。しかも4体。基本、相手は強いけど頭が悪いから、小隊くらいの人数なら、大体は作戦通りに終わる」
ええと、今回の小隊の人数は30人だったかな?
なる程、つまりこの人数なら楽な仕事という訳だ。
だったらこっちも気楽になれる。
あとは、気になる物も何個かあった。
「あの機械みたいなやつと、大きなうちわ何に使うんですか?」
数人の兵士さん達が、変な機械とうちわを持って移動していた。
「あー、あれ?あれは俺達が安心安全にオークを倒せる秘密の機械だ。勿論うちわもね」
あとは、作戦が始まってからのお楽しみ、とカークさんがウインクしながら言ってきた。
「まー、何にせよ私は回復役に専念します」
「ああ、よろしくな」
◇
カークさんは、それからもちょくちょく話しかけて来てくれた。
正直、気が紛れるので助かる。
お陰で、息の詰まる様な緊張は消えてきたそんな時、
「オーク発見、こちらにまだ気付かれてません。確認されている数、報告数と同じ4体、皆まとまっています」
そんな情報が、イヤリングから聞こえてきた。
前を見てみると、少し遠くにここからでも分かるくらい凄く大柄で、猪の顔をしたモンスターが、2足歩行でウロウロ歩いていた。
え、大丈夫なの?ちょっと、いや、かなりでかいよ?ビビるんですけど!
「レヴィ、大丈夫だから。隊列崩さずにいろ。必ず守ってやるから」
「は、はい、ありがとうございます」
マジでお頼み申しますよ!