20詠唱は人それぞれ
レヴィとリアは座学を終えた後、とある場所へ行き、椅子を向き合わせに2つ用意する。
その後、レヴィはその1つの椅子に腰掛けてから言った。
「お待たせしました、今から治癒を始めます。先頭の方どうぞ」
すると、並んでいた屈強な男がレヴィの前に置いてある椅子に座りこみ、怪我をしている右手を差し出した。
「頼む」
「はい」
【女神さま、この方の傷を癒してください。痛い痛いの飛んで行け、ヒール】
レヴィが、傷口に手を添え詠唱を唱えると屈強な男の右手から傷が消えた。
「ありがとよ、嬢ちゃん」
「はい。また怪我をしたら言ってくださいね。治しますから。次の方どうぞ」
城の中には、当然だが兵士達の訓練場がある。
と、言うことは必然的に怪我をする兵士達もいる。
いつもは、ちゃんと治癒師がいるのだが、リアはそこに目をつけ、レヴィに怪我をしている兵士のケアを行わせるため、交代してもらった。
「フフッ、いつ聞いても痛いの痛いの飛んで行けってなんか子供っぽいわね。まぁ、レヴィは子供なんだけどね」
隣にいた師匠が、なんか微笑ましいような顔で言ってきた。
「仕方ないじゃないですか、この呪文が1番しっくり来るんですから」
呪文の詠唱は決まっていなくて、その人その人がしっくり来る言葉で詠唱する。
僕の場合、女神さま・回復・日本古来から言われてる言葉がしっくりきたのである。
「でも、あまり詠唱していては無詠唱でできないわよ。次からは2回無詠唱して、ダメなら詠唱ありで回復させなさい」
師匠のスパルタが始まったな。初めは、優しいノルマなのにどんどん厳しくなっていく。
「はぁ」
これから始まるスパルタに、今日も耐えなきゃ行けないのかと思う、レヴィだった。