19体力と無詠唱
「はぁはぁ、ただ今帰りました」
マジ、4キロは疲れる。
毎回毎回、治癒師が走ってどうするんだ!しかも、これは罰であってこの後、普通に5Km走る修行も控えてる。
「あら、もう走ってきたの?随分と体力ついてきたじゃない」
リアは優雅に紅茶を飲んでいた。闇討ちしたろうか!
「何で、罰で走らせるんですか?もっと治癒師のなにかありません?」
リアは、飲んだコップを静かに置くと、僕の方を見て話し始めた。
「治癒師だって、旅に出れば冒険者。敵に会えば攻撃を避けながら、味方を治療やサポートしなくてはならないわ」
旅をしたらそうだけど、僕は旅に出ないしな。
「それに、一刻を争う時にヘタれてたら怪我人は死んでしまうわ」
怪我人がいつもこちらに来るわけではないからね。とも付け加えてきた。
「他にも体力をつけなくてはならない理由は沢山あるわ。だから、体力つけなきゃ」
そう言われると、体力はあっても悪いもんじゃないと思えてくる。
「さて、治癒師の修行しましょうか。あなたは、いつになったら無詠唱になるのかしら」
「うっ、だってイメージが難しいんですもん」
そう、僕は無詠唱じゃヒールが放てない。普通ベテランになると、詠唱はいらないらしい。皆んなすごい。
「いつも言っているけど、自分の体の中にある魔力で人の傷口を癒すイメージよ」
言っている事は分かるんだけど、出来ないものは出来ないのだ。
何せ、人を癒してあげる気なんて今まで無かったし。
「とにかく、座学をしてからいつもの所に行きましょう」
「はい」
今日こそ、無詠唱でヒールを唱えられるようになろう。
タイトルって、考えるのが何気に大変だったことに気づいた。