幕間 サノハの懺悔 前編
初めての幕間。思ってた以上に書いてて楽しかった。
俺の名はサノハ。人を騙し陥れた罪で懲罰室に入っている。
「朝食だ、食べろ」
看守員が、乱暴にお盆を扉の前に置く。
俺は、その朝食を貰うために、扉の下にある小窓から手を出した。
しかし、お盆を取ろうとした手を時看守員に蹴られた。
「やっぱお前の朝食は無しな、俺が食べてやるよ。有り難いだろ?お礼は?」
看守員は、俺の食べる予定だった朝食を目の前で食べ始める。
「あ、ありがとうございます」
だが、俺はそんな看守員を見てお礼を言った。
理由は、ここに来た当初に同じ事をされ怒ったら、懲罰室から廊下に引きずり出され、腰についていた棒で意識がなくなるまで殴られた。
それ以降も、似たような事があっては怒っていたが、その後同じ様にボコボコにされた。
酷い時は、知らない看守員も来て殴られた事もあったからだ。文句を言えば、殴られる。なら言わない方が良い。
「やっぱりここの食べ物は不味いな。もう要らんから食べろや」
看守員は、食べかけのパンとおかずを部屋の小窓から投げてよこす。
当然、パンとおかずは皿から溢れ落ち散乱した。
「ハハハ、罪人にはぴったりの食べ物だな!ハハハ」
看守員は、指を指しながら笑う。
でも、俺は中々ありつけない食べ物が欲しく、散乱したおかずを手で取り食べ始める。
「あー、悪りぃフォークを渡すのを忘れ、たわ」
言葉を途中で区切るくらい、俺目がけて力いっぱいにフォークを投げて来た。
勿論、大人がそんな威力で投げて来たら怪我をする。俺の指にフォークの先端が当たり血が流れた。
痛くて、食事を止める。
「ハハハ、じゃーな。俺は日直明けだから帰るわ。またな、ハハハ」
そんな笑い声が小さくなっていくのを聞きながら、俺は涙が出た。
怪我した指が原因ではない、情けなくてだ。
早くここから出たい、もう充分に反省した。ごめんなさい、俺が悪かった。もう許してくれ。
サノハは、そんな反省の念を思いながら散乱したパンとおかずをまた食べ始めた。