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悪人転生して善を積む  作者: カメカメ
3章旅立ち
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20酒場での戦い

「ここです。ここが、あいつらがタワロを連れて行く際に言っていた酒場です」


タワロさんのお父さんが、酒場を指さしながら言った。


「え、あれ?ここって」


タワロさんが指さした酒場を見て、僕は驚いた。


そこは、以前サノハから情報を貰いに行った酒場の近くにあったケーキ屋さんだったからだ。


どうやら、いつの間にかケーキ屋さんから酒場になっていたみたいだ。


近場に2店舗酒場があっても意味ないような気がするけど。


「どうしたレヴィ?」


「い、いいえ。何でもありません師匠」


今はそんな事考えている場合ではないよね。


「そうか。なら、行くぞ」


「はい」


僕達は、酒場に向かって歩き始めた。



そこは少し薄暗い酒場の中、8人に囲まれながら全身傷だらけの男性1人がパンツ1枚になって横たわっていた。


「なぁ、タワロちゃんよー。今月の上納金滞納しちゃダメじゃねーか。お陰様で僕ちゃん、ひもじい思いしながら暮らしてるよ」


テーブルに座りながらお酒を呑んでいる体格の良い男が横たわっている男性、タワロに話しかけた。



その言葉を聞いていた8人がゲラゲラと笑う。


「ギャハハハ、ギースさんの言う通りだぜ。お前はまだ下っ端だ。だから、上にあがるまでは、毎月ボスのギースさんに5万で俺達8人に2万ずつ支払わないといけねーんだよ」


ギースの部下の1人に言われたタワロは、できた傷の激痛に襲われながら口を開く。


「うっ、は、はい分かります。しかし、その金額は厳しすぎます。も、もう少し金額を減らして貰えま」


ビュン


ゴンッ!


「ぐぁー!」


タワロが話している途中、テーブルに座っていたギースが酒瓶をタワロの頭に投げつけた。


痛みで頭を押さえ悶えるタワロ。


「てめぇ、何言ってんだ。お前だけが払ってる訳じゃねーんだ。他の下っ端達もちゃんと払ってんだよ。ごちゃごちゃ言わねーで払え。返事は!」


「は・・・、はい」


「ったく、始めっからそう言っておけば良かったんだよクズが。おう、おめーら、なんかイライラすっからそいつがもう二度と減らず口叩けねーように、もっとボコっとけ」


「「はい、ボス」」


ギースの命令に、タワロを囲んでいた部下が一斉にタワロに襲い掛かる。


「こ、これ以上は勘べ」


「おらぁ!」


バキッ


「あがぁ」


「次はこっちだ!」


ドカッ


「が、あ」


次々とタワロに襲い掛かる部下達。


タワロがボコボコに殴られながら、死を覚悟し始めたそんな時、酒場の扉がキィと音を立て開いた。


「失礼」


開いた扉から、言葉と共にお爺さんを先頭に男性1人と女の子1人がお店に入って来きた。


だが、そのお爺さん達をこれ以上お店の中に入れさせないために、部下の1人がお爺さん達の前に立ちはだかる。


「おい、ジジイら。今日は店じまいだ。早く失せろ!」


前に立ちはだかった部下が、お爺さんの胸ぐらを掴み言った。


「それはすいません。しかし、わしらはちょっとここに人探しに来たのですよ」


しかし、部下に脅されたお爺さんはケロッとして答える。


だが、その余裕な態度が部下の怒りを逆撫でした。


「んなもん、どうだっていいんだよ!失せろっつってんだよジジイ!」


怒った部下は、拳を振り上げお爺さんに殴りかかる。


バキッ


「うごぁ」


ドサッ


しかし、倒れ伸びたのはお爺さんでは無く殴りかかった部下だった。


「な、何!」


倒れた部下を見て、他の部下達が驚く。


「いけませんなー。最近の若者はすぐに殴ろうとしてくる。もう少し、老人を労らんといけませんぞい?さて、人探し人探し。お、いたわい。タワロ、あんまり遅いから迎えに来たぞい」


そのお爺さんを信じられない表情で見ていたタワロが、泣きそうな声で喋った。


「ダ、ダイゾウ師匠。何故、ここに?」


タワロの師匠こと、ダイゾウの後ろから男性がタワロに話しかけた。


「タワロ。大丈夫か!」


「お、親父!」


「タワロさん。あの、怪我なんてしていたりします?でしたら、すぐに治療しますから待ってて下さいね」


タワロはタワロのお父さんもいる事にさらに驚くが、さらにもう1人の言葉に驚く。


「レヴィ!お前までなんで?」


話しかけた女の子の背が小さく、なおかつ部下に囲まれてるため見えないが、タワロはあの声は間違いなくレヴィだと分かった。


「連れ去られたお前を助けたい一心で、お前のお父さんがわしの所に来たんだ。タワロを助けてくれとな。タワロ、お父さんに感謝するんだな」


簡単だが、事情を聞いたタワロは、自分を助けるために奔走したお父さんを嬉しく思い涙が溢れ出す。


「お、親父。・・・うぐっう。ありがとう」


だが、そんな良い雰囲気をテーブルに座っている男が壊した。


ギースだ。


「おいおい、何俺達を無視して良い雰囲気に浸ってんだお前ら」


ギースが、ダイゾウを睨みながら言うと同時に、部下達がダイゾウの前に集まる。


「ジジイ、こんなことしてタダで帰れると思うか?」


「何だ、酒場に来たからお通し代でも払えと?残念ながら、わしは人を迎えに来ただけでな飲みに来たわけでは無い。お通しはまた今度頂こう」


飄々としたダイゾウの言葉にギースはキレた。


「オメェら、このジジイ達をやっちまえ!そこのちびの女は連れて来い。たっぷりと遊んでやる。いけぇ!」


「「オラァ」」


部下達が、一斉に襲って来た。


「レヴィ、タワロのお父さん。壁を背にして下がってなさい」


「はい。ダイゾウ師匠頑張って下さい。行きましょう、タワロさんのお父さん」


「は、はい」


レヴィが、タワロのお父さんを連れて壁際に行くのを見たダイゾウは、襲い掛かる部下達に向き直る。


「久しぶりに血が騒ぐな」


ダイゾウと9人の部下達との戦いが始まった。

不幸な事があり、書くのを辞めていましたが再開します。


いつも、読んでくださっている方々ありがとうございます。

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