13扱える人
「よしっ、あとはお前専用のロッドが出来たら連絡するから、そん時また来いや」
「はい、お願いします」
先程、ロッドの購入を決めた僕は,マスターからたくさんの規約が書いてある契約書を渡され、それにサインをした。
その後、僕専用のロッドを作るために、手のサイズやら身長やら調べ、今終わった所だ。
「しかし、今時の治癒師はロッドも扱えるんだなー」
「え、何ですか?」
何の話し?
「だって、あれだろ。城にいる治癒師っつったら、使っても杖だっただろ?こんな小さい杖。治癒師も任務に同行する話しは聞いていが、ロッドを使うって事は治癒師も戦闘に参加するからなんだろ?」
マスターが、小さい杖の長さを両手で表しながら言った。
いえ、今もお城で使う治癒師さんは、大体がそんな杖です。
僕がロッドを持つ理由は只々格好良いからです。
でも、そんな事言ったことで、気分屋のマスターにへそ曲げたら面倒だしな。
「い、いえ。ぼ、私の師匠がロッドを使うんですよ。だから、僕もロッドにしようかな、なんて」
僕が咄嗟にそう言ったら、エイトがヒソヒソと声をかけてきた。
「お、おいレヴィ。嘘はマズイぞ?」
「う、嘘じゃないもん。前に、訓練の時師匠がロッド使ったとこ見た事あるし」
ロッドを使っていたかは知らないけど。
「ほう、そうなんか!お前の師匠ってスゲーな」
「そうなんですよ、ありがとうございます。あ、もうこんな時間だ!マスター、ロッド出来たら連絡待ってますね、それでは。エイト、行くよ」
「ちょ、おい」
ダメだ。
これ以上マスターと話して、もしボロがでたらマズい。
ここは一刻も早く帰って、ロッド使いの人を探そう。
「おう、またな〜」
僕はエイトの服を掴み、マスターの見送る中逃げるように店を出て、お城へ帰った。
◇
武器屋さんから帰ってすぐ、僕は師匠に会うために師匠の部屋の前にいた。
理由は、知っての通りロッド使いの人を師匠に紹介してもらうためだ。
トントントン。
「はい?」
「レヴィです。すいません、少しご相談がありまして来ました」
「相談?鍵開けるから待ってなさい」
「はい、ありがとうございます」
少ししてカチャンと鍵が外れる音がすると、中から師匠のメイドさんが現れ、部屋の中にあるいつものソファへ案内される。
それから、対面に座った師匠が要件を聞いてきた。
「で、相談って何?」
「あの、ロッドの武器を扱う人っていませんか?」
「はあ?なんでまた」
「いや、実は・・・」
僕は、少し怪訝な顔をした師匠に、これまでの経緯を話す。
「あなた馬鹿ね。そんな理由で、扱えもしないロッドを購入したの?」
「ですよねー」
今、冷静に考えるとごもっともだと思います。
「ちなみに、師匠はロッド使えます?以前、訓練場にあった練習用のロッド振ってましたよね?」
「前に、任務で少しだけ使った事あったけど、無理よ。私なんて初心者レベル」
素人の僕目線からしたら、だいぶ使えてたように見えたけど、あれが初心者レベルなんだ。
「だから、私が知っている限りではいな、いや、1人いたわ」
「本当ですか⁉︎」
「でも、ね」
師匠が、少し気まずそうにする。
「その方に、何かあるんですか?」
「ええ、ちょっと気持ち悪い性癖があるのよね」
なんか最近、僕の周り個性の強い人多くない?
まだ、この人には会っていないんだけどさ。
「どんな性癖ですか?」
「自分好みの服を、相手に強要して着せたがるのよ」
まさかの変態だった。




