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悪人転生して善を積む  作者: カメカメ
3章旅立ち
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4やる気が出る紙

師匠の部屋での会話から数日が経った。

僕は今、朝から晩まで訓練場が使える時間帯は、ずっと人型の人形を相手に修行をしている。


「ヒール」


「違う!何回も言わせないで、もっと的(人形)へ的確にヒールを放ちなさい。実戦では、あの的は動いているのよ」


そんなの知っている。


でも、狙った所にボールを投げられないのと一緒で、ヒールも狙った所に放つのは、かなりの集中力がいる。


今まで、体に触ってヒールを放つのとは難しさのレベルが違う。


「ヒール」


そう思いながらも、なんとか2、3回くらい連続でヒールを人形の体に当てることが出来た。


「そうよ、やれば出来るじゃない。なら次は、あなたが動きながら対象にヒールを放ちなさい」


「えっ、無理」


「あっ?」


「じゃないです!やります」


出来る訳ないよ。


まだ、離れた場所にいる人にヒールをかけることさえ五分五分なのに。


その後、なんとか7回に1回くらいは、ヒールが人形に当たる様になり(全然ダメだけど)その日の修行が終わった。


「今日は、ここまで。今月中には、動いている的にヒールを飛ばせる様にするわよ」


・・・マジですか?


「返事は?」


「は、はいー!」


「よろしい。はい、解散」


「あ、ありがとうございました」


精も根も尽きた僕は、へとへとになりながら自室へ戻ると、シャワーを浴び、ご飯もそこそこに寝た。


こんなの続けていたら、来年までにハルさんを助けに行く前に、僕は廃人になってしまうのではないか。


そんな事を考えていたら、いつの間にか寝ていた。



「な、なぁレヴィ」


「なに?」


あの厳しい修行から、半月くらい経ったある日、一緒にお昼ご飯を食べていたエイトが話しかけてきた。


「あの、なんて言うか、ここ最近頑張ってるけど大丈夫か?」


いきなり、なにを言っているのだろうか。

大丈夫?そんなの決まってる。


「ハハッ、ダイジョウブだよ」


僕はとてもゲンキです。


「いや、ダメだろ!会話の端々がカタコトになってるぞ」


「えー?そんな事ナイヨー」


「いや、絶対カタコトになってるから」


エイトが、心配そうに僕の肩を掴み揺らした。


止めて、僕の魂が抜けてしまう。


「まぁ、真面目な話しするとかなりしんどいよ。でも、それは目標を達成するための布石だからね。頑張らないと」


「目標って、ハルさんの事か?」


「そう。こればかりは、誰がなんと言おうと成し遂げたいんだよね。例え、その前に師匠達が助けたとしても」


それは、それで構わないからね。


「なぁ、それ失敗とか」


「ないよ。だって助ける策を思いついたら片っ端からやるし」


失敗?なにそれ?

やる前から負ける事を考える人は、絶対に勝つ事はできないよ。


負けてもいいやと思う人は別だけど。


「そうか・・・。なら、そんなお前にプレゼントだ」


エイトは、ポケットから紙切れを取り出し、テーブルに置いた。


「これは?」


「裏返して見てみろよ。絶対に喜ぶから」


ニヤニヤしながら、エイトは裏返せとフォークを持つ手でジェスチャーする。


どうでも良いけど、行儀が悪いからそのジェスチャーはやめて欲しい。


「なんなの、ってこれは!」


僕はその紙を裏返し、驚愕した!


「ああ、1日限定だがスイスウィートのケーキ食べ放題チケットだ。ちなみに、行く日はいつでも良いが、事前に予約が必要だから、それだけは気をつけろよ?」


エイト、あなたは神だったのか。

僕は目をウルウルさせながらエイト神を見た。


「ほ、ほら。お前、最近頑張ってるから、うわっ!」


久しぶりの嬉しい出来事に、僕はエイトにガバッと勢いよく抱きつく。


これは本当に嬉しい。


「ありがとうエイト。大好き」


「ふぉ。だ、大好きだって?」


「うん」


よし、これをネタに修行を頑張ろう!


「あ、あの実は俺も、お前がだい」


「じゃっ、エイト僕そろそろ行くね!このチケット本当ありがとう。またね!」


やる気が出たぞ。


「す、ってええっ!レ、レヴィ」


ハグしていたのをやめた僕は、師匠との修行を再開するためダッシュで師匠の下へと走りだす。


その時、エイトが何かを言いかけていたけど、きっと僕への励ましだろう。


大丈夫、僕に届いてるよ!

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