幕間ナル、アデラを検討中
次からは第三章を書く予定です。
あたしの名前はナル。
相棒、と言うか姉役のキーナと一緒に、冒険者をしている。
ある日、そんな私に転機が訪れた。
それは、レヴィとそのメイドのハルに会った事だ。
レヴィは、私と同じくらいの歳なのに、もう治癒師という希少な紋章を持って働いている。
メイドのハルは、紋章は持っていないらしいが、この間の大型モンスターとの戦闘では、素早い速さで動き、的確なポイントへの攻撃をしていた。
その2人達を見ていたら、ある疑問が頭に浮かんだ。
もしかしたら、あたしも王都アデラに行って、城で訓練とか出来たら強くなれるのかな。
それに紋章だって手に入るかも。
そう考え始めたら、もう頭の中はその事でいっぱいになる。
だからあたしは、思い切ってキーナに聞いてみる事にした。
「な、なぁキーナ」
「ん、どうした?」
「あの、さ。キーナは、このシーサイドから出ようかな?とか、思った事ある?」
あたしがそう聞くと、キーナは軽く驚いた顔をする。
「何だ、どうしたいきなり?」
何となく、強くなりたいです。
なんて、漠然とした理由はちょっと言いにくいな。
「いや別に、何となく聞いてみただけ」
そう言っても、キーナは少し怪訝な顔をしていたけど、答えてくれた。
「あったよ」
「ええっ、ホント⁉︎」
「ああ。私が思い描いていた冒険者って、色んな所を転々としながら、依頼やら何やらを受けたり、仲間と絆を深めあったりして楽しむものだって思ってたからさ」
そうなんだ。
なんだか、キーナから仲間との絆とか聞くの意外だな。
「でも、あったって事は今はもうそう思わないの?」
「思わないな。ナルは、まだお金の管理をした事ないから分からないだろうけど、アデラまで行くにも馬鹿高い資金が必要になるんだよ」
えっ、そうなの?
「でも、レヴィはアデラから来たんだぜ?」
「あいつらは、城の仕事で来たんだから、資金は城持ちだろ。ああ、分かった。もしかして、自分もアデラで訓練したら紋章が手に入ったり、強くなったりするんだろうか。と、思ったんだな?」
うっ、バレた。
何で、それだけの情報からそこまで言い当てられるんだ?
キーナ、怖い。
「う、うん。この間、ステルスエボシとの戦いでハルの戦い方を見て思い知ったんだ。ああ、あたしはまだまだ弱いんだなって」
レヴィみたいに、紋章も持ってないから存在意義みたいなのも無かったし。
「馬鹿だな、あいつらは別格だ。皆が皆んなあんなに強い訳でもないし、レヴィの事だってあの若さで紋章持っている奴だって少ないよ」
ハハハと、キーナは笑いながら話す。
こっちは、何気に真面目に考えてんのに。
「でも、そうか。強くなりたいんだな」
キーナはそう言ってから、少しの間何かを考えた後、笑顔で話して来た。
「・・・なら、アデラ行きの資金を貯めつつ、依頼をたくさんこなして強くなったりナルをアイツらに見せようか」
「えっ、良いの?だって、アデラに行くの高いんでしょ?」
「ああ、ナルにはなるべくたくさんの経験をして欲しいし、色んなものを見て欲しいからな」
「ッ!ありがとう」
ヤバい、色んな事が嬉しくて泣きそうだ。
「まずは馬車だな。次に、当日には着かないから、泊まる宿だな。そして、なんと言っても私達のご飯だ。あとは・・・」
その後も、キーナはアデラに行くまでに必要な事を教えてくれ、おおよその合計金額まで教えてくれた。
「ヤ、ヤバいね」
「だろ?それでも行きたいか?」
話しを聞いただけでも、今のあたし達じゃ、気の遠くなる様な金額だ。
でも、
「い、行きたい」
ここまでキーナから大変な話しを聞いても、何故か頭の中はアデラに行く事でいっぱいだった。
「よし!なら、目標をアデラにして軍資金を貯めつつ、出来るだけ強くなって、アイツらに会いに行こう!」
「うん!」
その日からあたしとキーナは、アデラへ行くための資金を集める事となる。
いつも読んでくださり、ありがとうございます。
お金の単位、決めないと。
その内、本編で書こうかと思います。




