表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻想英雄の召喚士 ~努力が実を結んだ落ちこぼれは、非現実的すぎるゲームキャラたちを従えて最強の冒険者を目指す~  作者: タック@コミカライズ2本連載中
第三章 黒い幻想英雄

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/51

召喚士、決戦の場に到着する

 最上階である三階に上がったライトは、考え事をしていた。

 それはマルタルから説明されたことだ。


「バグズによって世界が滅びる……か」


 普通は、たかが一体の召喚獣によって世界が滅びるなどはありえない。

 しかし、幻想英雄は普通の召喚獣ではないのだ。

 ゲームという非現実から、信仰の力によって現実へ昇華させるという、物理、魔法の法則すら超えている未知の領域だ。

 女神イズマの導きによって世界のルール内で活動しているリューナたちとは違い、バグズと呼ばれるものは傍若無人に世界へ影響を及ぼす。


「先ほどのマルタルという方が言っていましたね――世界へ〝侵食〟が広がると」


 リューナがポツリと呟いた。

 バグズが存在するだけでも世界に歪みが生じて、そこから非現実が〝侵食〟していくという話だ。

 さらに世界に恨みを持つような悪意を持っている場合は、この速度が急激に上がるらしい。

 結果的に世界が――この世界でなくなるということだ。


「これがオータム・バグズを喚んだ最高司祭様……いや、フッドマンの野郎の目的だっていうのかよ!」


 ブルーノはそう息巻くが、先ほどの試練の精神的ダメージによってフラついている。

 よっぽど、ライトへの罪悪感が強かったのだろう。


「まだわからないことだらけだけど……オータム・バグズと最高司祭様を倒して、ソフィを助け出さなきゃいけないことだけは確かだよ」


「……そうだな。ソフィ様は本当に何も関係なく、ただ巻き込まれただけだ。このブルーノ・ギリッシュの命に代えても、必ず助け出してやるぜ!」


「味方になると心強いね、ブルーノ」


「ったりめぇよ! オレだって、今は好感度システムとやらで強化されてるしな! 頼っていいぜ!」


 そう話している内に、大きな扉の前にやってきた。

 どうやらこれがオータム・バグズが座す〝王の間〟へ通じる扉らしい。


「開けるぞ」


「開けた瞬間、炎魔法がドカンってなったりしてな?」


 そのブルーノの軽口に対して、レオーが呆れた声で告げた。


「そうはならないさ。なにせ――」


 ライトによって扉が開けられた。


「観客たちが見ているからな」


「なっ!? ここは城の中だったんじゃ!?」


 レオー以外の三人は驚いていた。

 扉の先は王の間というより、歌劇場のような舞台の上だったからだ。

 スポットライトが眩しい。

 広い観客席まで用意されていて、まるで異次元に入ってきてしまったかのようだ。


「ど、どういうことだ……。転移……、もしくは城を造った極大魔法による空間湾曲か……?」


 振り返るも、入ってきた扉すらなくなっていた。


「ようこそ、オレ様の王の間へ。どうだ、オペラ座のようなところで驚いたか? ……いや、こちらの世界にはオペラ座はないのかもしれないな」


 舞台袖からオータム・バグズが現れた。

 王笏をステッキのように軽やかに回しながら、観客へとアピールの一礼をする。

 そうしてライトたちに対して背を向けた瞬間、ブルーノがハルバードを持って突進していた。


「隙有りだぜ!」


()くなよ、そういうのは〝好感度〟が下がるぞ?」


 ブルーノのハルバードは、オータム・バグズの指先で止められていた。


「なっ!?」


 驚愕の表情のブルーノは、体中の血が冷えたような感覚で後方へ飛びのいた。

 同じように好感度システムで強化されているはずなのに、ありえないほどの力の差だ。


「ブルーノ、よせ。これは――」


 レオーが冷静に説明する。


「観客たちから見て、好感度を下げるような行動をするとパワーダウンするぞ」


「なに!?」


「そうか……ここの観客たち。見覚えがあると思ったら一階のNPCたちだ」


「よく気が付いたなライト姫。その通りだ。観客に対して一礼しているオータム・バグズの背後から不意打ち――それを卑怯と受け取られて誰かの好感度を下げたのだろう」


 ライトは理解してきた。

 ただでさえ手強いオータム・バグズを相手にして、なおかつこの好感度を下げないように戦うという〝システム〟に縛られるルール。


「このゲーム、チェスより難しいな……」


【ライトパーティー:好感度100→60】【オータム・バグズ:好感度90】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍情報】
j0jdiq0hi0dkci8b0ekeecm4sga_101e_xc_1df_
『伝説の竜装騎士は田舎で普通に暮らしたい ~SSSランク依頼の下請け辞めます!~』カドカワBOOKS様書籍紹介ページ
エルムたちの海でのバカンスや、可愛いひなワイバーン、勇者の隠された過去など7万字くらい大幅加筆修正されています。
二巻、発売中です。
ガンガンONLINEで連載中のコミカライズは、単行本一巻が5月12日発売予定です。
よろしくお願いします。

【新作始めました!】
『猫かぶり魔王、聖女のフリをして世界を手中に収める ~いいえ、破滅フラグを回避しながらテイムでモフモフ王国を作りたいだけの転生ゲーマーです~』
聖女(魔王)に転生したゲーマーが、破滅フラグを回避するために仕方なく世界を手中に収めるという勘違い系物語です。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ