《聖女パーティー》エルマ視点23:ちょっとは気を遣いなさいよね!?
豚が余計なことをしてくれたおかげで、あたしのビッグバストプロジェクトが見事に頓挫したことはさておき。
あたしたちは軍事都市ベルクアの宿で旅の疲れを癒やそうとしていたのだが、
「……あれ?」
ふと何故かもの凄く身体が軽くなっていることに気づく。
先ほどまではそこそこ疲労感もあり、今日は早めに休もうかと考えていたのだが、いつの間にやらそれが一気に吹き飛んでいたのである。
もしかして女神さま方の力を賜ったことにより、肉体の回復力が向上しているのだろうか。
スキルは死ぬほど使えないものばかりだったけれど、もしそうならあたしの女神化計画も少しは進んでいるということである。
意外と次くらいで決まっちゃうんじゃないかしら?
ほら、あたしってもう存在自体が女神のようなものだし。
てか、今までの旅で一体どれだけの男どもを虜にしてきたか知れたもんじゃないし。
「……はあ、なんて罪な女なのかしらね……」
そう愁いを帯びた表情で自らの尊さを嘆くあたしだったのだが、
――ばんっ!
「ひゃぎいっ!?」
「――聖女さま、朗報です! なんと町の人々が皆さん健康に……って、どうされたのですか?」
「い、いえ、ちょっと型の練習を……」
思わず変なポーズをとっていたあたしは、努めて冷静に元の姿勢へと戻る。
てか、ノックもせずにレディの部屋に入ってくるんじゃないわよ!?
もしあたしが着替え中だったらどうするわけ!?
いや、むしろあんたそれが狙いなんでしょ!?
巨乳好きのフリをして、その実この至高の柔肌を虎視眈々と狙ってたってわけね!?
なんて策士なの!?
この変態貧乳マニア!
……。
いや、あたし貧乳じゃないし!?
何言わせてんのよ、この豚!? と内心罵倒しまくるあたしだが、もちろんそれを一切表情に出さないのがあたしの凄いところである。
まあ今のでがっつりストレスが溜まったので、あとで豚はお腹ぽよぽよの刑だけどね!
「それで町の皆さんがどうされたのですか?」
ともあれ、あたしは豚の話に耳を傾ける。
すると、豚は興奮冷めやらぬ様子で言った。
「そ、そうでした! 実は先ほど町の出店で小腹を満たしていたのですが、突如皆さんが口々に〝身体が軽くなった〟と言い始めまして、私もなんだかフットワークが軽くなったような気がしたのです!」
「まあ、それはよかったですね」
「はい!」
でもね、それはあんたの気のせいよ、豚。
だってあんた――あきらかに出会った頃より太ってるもの。
「見てください、この身のこなし! これでさらに聖女さまのお役に立てますぞ!」
――ぶるんぶるんっ。
「ふふ、期待していますよ、ポルコ」
ほくほく顔でフットワークの軽さを披露する豚のわがままボディを、あたしは黄昏れたような目で見据えていたのだった。
てか、その前にあたしに黙って買い食いしてんじゃないわよ!?
いや、買い食い自体は構わないけど、あたしの分も買ってきなさいよね!?
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