《聖女パーティー》エルマ視点13:聖女増えてるじゃない!?
と、とりあえず落ち着くのよ、あたし。
ちょっと何を言われてるのかまったく分からなくて思考が止まりつつあったけど、ようやく落ち着いてきたわ。
つまり話を要約すると、このオルグレンはやたらと魔物に襲われていて、もう一人〝杖〟の聖女マグメルが必死に頑張っていたと。
って、また聖女出てきたじゃない!?
一体何人出てくれば気が済むのよ、聖女!?
なんなの!?
セールでもやってるの!?
あたしそんな安い女じゃないんだけど!?
……って、そんなことはどうだっていいのよ!?
自分で自分に突っ込みを入れつつ、あたしは冷静さを取り戻す。
問題はそこに馬鹿イグ……じゃない。
真イグザと槍の聖女アルカディアがやってきて、三人でこれをなんとかしようとしたってことね。
それでこの地方にいるという地の神――ジボガミさまのもとへと向かったと。
するとジボガミさまは〝汚れ〟に汚染されていて、それを馬鹿イグ……じゃなくて!
真イグザの持つヒノカミさまの力で浄化することに成功――ジボガミさまは元の姿であるテラさまになり、大地に恵みが戻って大団円。
なるほど、確かにそれは英雄の所業だわ。
ちゃっかり自分の存在を伏せ、フレイルさまとマグメルを主とした聖女の活躍にしているのも評価ポイントね。
まるで本当に馬鹿イグザがやったみたいに……。
確かあいつ、そうやって他人を立てる性格だったし……。
って、いやいやいやいや!?
だから違うっての!?
そんなの認めちゃったらあたしはこれからどうすればいいわけ!?
聖女より強くなっちゃってんのよ!?
てか、神の御使いにまでなっちゃってんのよ!?
そ、そんなのあたしより……って、ああああああああああああああああああああっっ!?
――ぽよぽよぽよぽよぽよぽよぽよっ。
「あ、あの、聖女さま?」
「な、なんでしょうか?」
「一応城主さまの御前ですし、健康チェックはのちほどにされた方が……」
「えっ?」
そこで気づく。
――ぽよぽよぽよぽよぽよぽよぽよっ。
無意識のうちに豚のお腹をぽよぽよしていたということを。
な、何やってんのよあたしーっ!?
「お、おほほほほっ! そ、そうでしたね! こ、これは失礼いたしました!」
「い、いえ……」
しゅばっと豚のお腹から手を引き、あたしはぎこちないながらも聖女スマイルを浮かべる。
な、なんという失態!?
あたしの聖女イメージが崩れかねない大失態だわ!?
もしこんなことが毎回続いたら、あたしの築いてきた可憐かつ聡明な慈愛の聖女像が台無しになっちゃうじゃない!?
早急に何か手を打たなければ……っ。
「と、ところで、その後イグザさまはどちらへ?」
「はい。テラさまのご助言で東の砂漠地帯へと向かわれました。我らが聖女マグメルも一緒です。なんでもイグザさまのご武勇に大層惚れ込んでしまったのだとか」
「へ、へえ、そうなのですね」
いや、どんだけたらし込んでんのよあのむっつり馬鹿イグザ!?
内心豚のお腹に正拳突きを叩き込みたい衝動に駆られていたあたしは、もう完全に全てが馬鹿イグザの所業にしか思えなくなっていたのだった。
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