《聖女パーティー》エルマ視点50:あーもう恥ずかしいー!?
突如現れた〝魔族〟を名乗る美少女だか美少年だかよく分かんない子――パティにご指名を受けたあたしは、当然内心突っ込みが止まらなかった。
てか、なんであたしなのよ!?
挨拶を返してくれたのが理由とか言ってたけど、なら〝あ、この人いい人だから別の人にしておこうかなぁ……〟って感じになるのが普通でしょうが!?
にもかかわらず、何がっつりぶっ殺そうとしてくれちゃってんのよ!?
エリュなんたらは一体どういう教育してるわけ!?
「えへへ、よろしくねー♪」
しかもこれから人を殺そうってのに超いい笑顔だし!?
怖っ!? とあたしがパティの無邪気な振る舞いにどん引きしていると、そんなあたしの心情を察してか、アルカディアが心配そうに声をかけてきた。
「ふむ、大丈夫か?」
「え、ええ、大丈夫よ。ありがとう。やっぱりあんたもあの子のちょっとやばそうなところが気になってたのね……」
が。
「うん? いや、私は単にお前が普通に負けそうだなと」
……はっ?
「いやいやいや、負けないし!? あたし、これでも結構強い方だし!?」
「……えっ?」
「いや、〝……えっ?〟って何よ!? あんたも聖女ならあたしの闘気的なものくらい分かるでしょうが!?」
あたしがそう捲し立てるように反論すると、アルカディアは一瞬呆けたように瞳を瞬かせた後、ふっと優しい笑みを浮かべて言った。
「そうだな。お前は強い。大丈夫だ」
「いや、あんた絶対そんなこと思ってないでしょ!?」
◇
まったく失礼しちゃうわ!? とあたしはぷりぷりしながらパティの前へと立つ。
「よーし、頑張るぞー!」
ぐいっと暢気に身体を伸ばしているパティからは、まったくと言っていいほど真剣味を感じられなかったが……まあそれはいい。
こうなったらあたしの強さをあいつらに見せつけて、誰が正妻かをこの場ではっきりさせてやるんだから!
……。
いや、違うわよ!? とあたしは内心自分に対して鋭い突っ込みを入れる。
てか、何普通に正妻候補に立候補しようとしてるのよ、あたしは!?
あいつらがあんまりにも正妻正妻言うもんだからすっかり毒されちゃってるじゃない!?
あーもう!? とあたしが一人頭を抱えていると、
「隙ありーッ!」
――ずどっ!
『――なっ!?』
「……えっ?」
事もあろうにパティの放った高速の抜き手が、容赦なくあたしの胸元に深々と突き刺さったではないか。
「エルマーっ!?」
イグザの悲痛な叫びが辺りにこだまする中、あたしは呆然と自身の胸元を見下ろす。
痛みはまったく感じなかったが、パティの手刀は手首近くまであたしの豊満なお胸に埋まっており、完全に致命傷であった。
あーあ、かっこ悪い……。
あれだけイキがっておいてこの様なんて、ホント笑っちゃうわ……。
「あーあ、もっと楽しめるかと思ったのになー」
ふん、うるさいわね……。
そもそも初対面のレディの胸元に手を突っ込むなんて、男として最低だってーの……。
むしろ感謝して欲しいくらいだわ……。
誰にも触れさせたことのない、このあたしの豊満なお胸をはじめて触ったんだから……って、豊満?
そこでふと冷静になったあたしは、再度自身の胸元を見やる。
「……」
紛れもなく豊満である。
オフィールやマグメルまでとは言わずとも、シヴァかアルカディアくらいのサイズはありそうだ。
……。
いや、これ偽乳防御じゃないのよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?
すっかり死んだ気でいたあたしは、逆に恥ずかしさで今すぐ死にたい気持ちになっていたのだった。
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