《聖女パーティー》エルマ視点40:そんなお導きがあるわけないでしょ!?
「……で、なんであんたはわざわざ正体を隠してまであたしに近づいたわけ?」
どかり、と椅子に腰掛け、あたしは床に正座中の豚に睨みを利かせながら問う。
言わずもがな、豚が正座しているのはあたしにとっちめられたからである。
ちょっとマグメルと対応が違うのではないかと優しく説き伏せたのだ。
「うぅ……ぐすっ……」
いや、そんな泣くほどのことじゃないでしょ。
それじゃまるであたしがあんたに何かしたみたいじゃない。
まあ確かにちょっと胸ぐらを掴んでぶんぶん前後に振り回しはしたけど。
と。
「あの、大丈夫ですか……?」
「はい、大丈夫です!」
「(イラッ)」
ぐい~っ、とあたしは再び豚の胸ぐらを締め上げる。
「あんた、いい加減にしなさいよ……っ」
「ひ、ひいぃ~!? お、お助けぇ~!?」
ガチ泣きしている様子の豚に嘆息しつつ、あたしはぱっと手を放して再度椅子に体重を預ける。
すると、豚がよよよと人魚みたいな座り方で言った。
「うぅ、聖女さまが怖いですぅ~……」
「誰のせいだと思ってるのよ!? いいから早く説明しなさいな! あとマグメルも豚を甘やかさない!」
「わ、分かりました……」
こくり、とマグメルが頷く中、豚はしくしくと横座りだった足を正座状態へと戻す。
てか、どうでもいいけど、なんでその足の短さで正座出来るのよ、この豚。
「知ってのとおり、私は〝盾〟の聖者となるべくしてこの世に生を授かりました。ゆえに幼少期よりその使命に目覚め、いずれ来たる災厄に備えるべく、様々なことを学びました。ドワーフ以外の種族には胸の豊かな女性がいるということを知ったのもこの時です」
「!」
いや、その情報はいらないわよ。
なんでわざわざマグメルを見て言ったのよ。
言うならこっち見て言いなさいよ。
「そうして私は己の使命に従い、巨にゅ……ほかのレアスキル持ちと合流するために旅に出ました」
ちょっとあんた今別の使命が出かけてなかった?
死ぬほどどうでもいい使命が。
「しかしまさか聖者たちが女神フィーニスの復活を目論み、人類に反旗を翻そうとしていたとは……。彼らより先に聖女さまにお会い出来たのは、まさに奇跡と言うよりほかはありません。きっと女神オルゴーのお導きでしょう」
「なるほどね。つまりあたしと出会ったのは本当に偶然だったと」
「ええ、そうです。たまたま私がルピアの町で情報収集を行っていたところ、慌てた様子の聖女さまをお見かけしまして……。まさに運命の出会いというやつですな」
ぐっと拳を握り、何やら感慨に耽っている様子の豚。
「ふーん。まあそれはいいんだけど、一つ確認してもいいかしら?」
「はい、なんでしょうか?」
不思議そうな顔をする豚に、あたしは半眼を向けて言った。
「――つまりあんたが巨乳目当てで亜人より人口の多い人の町に行ったおかげで、聖者たちよりも早くあたしと出会ったってことよね?」
「……」
「……」
室内を静寂が包むこと数秒ほど。
豚はふっと全てを悟ったような顔で言った。
「きっと女神オルゴーのお導きでしょう」
「ふふ、そうよね。女神オルゴーならそういうこともあるわよね」
「ええ、そうでしょうとも」
うふふあははと互いに笑い合うあたしたち。
「って、そんなわけないでしょ!?」
「ひいっ!?」
「一体どんなお導きよ!? 巨乳目当てで巨乳には少しばかり届かないあたしと出会ったって言うの!? じゃああたしも巨乳ってことじゃない!? ほら、あたしを巨乳って言いなさいよ!?」
「お、落ち着いてください、エルマさん!?」
三度豚の胸ぐらを締め上げるあたしを、マグメルが慌てて止めに入ったのだった。
「いや、おめえはどう見ても貧乳だろ」
「うるさいわね!? だったらなんだって言うのよ!?」
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