影踏んでも惚れるな
「第1話生粋の美人」
私は|影踏≪かげふみ≫|恋愛≪れんあい≫16歳。高校1年生の女子だ。
私には悩みがある。それは・・・
「あの美人は誰じゃい」
「あらーまぁ可愛い子」
「キャー影踏さん、こっち向いて」
「影踏さん今日も可憐だ」
そう、私の悩みとは老若男女関係なく影を踏むと相手が惚れるのである。
そんな私は日頃、影を踏まないよう努力してはいるが
・・・
「影踏さんが来たぞ、みんな並べ」
「あの私はそんなこと毎日しなくてもって」
私の努力は儚い。なぜなら関係ない人達まで影を踏んだ人達が私の影を踏む射程距離まで人を集めるのである。
そして、今日もなぜか安定の太陽爛々と輝く晴れである。
私はこんな毎日いつまで続くんだと悩んでいた。
だけど見つけたのである。私の影を取り払うあの男を
。
それは私が学校の校庭で太陽の西陽でみんなの影をうんざりと歩きながら踏んでいた時である。
ドン
「あっ痛い」
「コラー影踏さんにぶつかるとは」
「あっ?このくそ女が地面に気をとられているのが悪いんだろ」
「えっ、私はたしかにあなたの影を踏んでしまったのに」
「影がなんだって?」
「おい、あいつ三年のサッカー部のエースの|孤独≪こどく≫|独≪ひとり≫じゃねーか」
「あいつ、やたら喧嘩強いんだよな」
私はこの瞬間、久しく忘れていた、孤独君という太陽の光で心の影がなくなって恋という明るい色に包まれた。




