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これは予感ではなく確信だ

 



「はっ?」

「死ね」

「――ナイフッ!!」


 ヘルヴェールと名乗った青年が帯刀する剣を鞘から抜き放ち、問答無用で振り落としてくる。困惑する俺は咄嗟にナイフを纏い、剣を受け止めるが――、


「ぐっ!!?」


 力負けし、弾き飛ばされてしまった。

 くっそ……街中でいきなり斬り掛かってきやがって、何がどうなってんだ!?

 頭おかしいんじゃねえのかあの野郎!?


「私の一撃を防ぐか……やはり貴様は」


 というかこいつ、今本気で俺を……。


「生かしてはおけんな」


 ――殺しに来やがったッ!


「ま、待って下さい!何かの間違いです!どうして突然こんな事をするんですか!?」


 必死な形相で委員長がヘルヴェールに問いかける。すると彼は人差し指を自分の右目に向けて、


「私の右目に宿る神眼は、其の者の内に潜む心の闇を暴く。その神眼が勝手に発動したのだ、貴様を視界に捉えた瞬間にな」

「そんな……そんなのって!」

「糞みてーな言いがかりだな。テメェの右眼にどんな能力があるのか知ったこっちゃねえが、例え本当だとしても俺は何も悪い事なんかしてねーぞ。テメェは罪の無い一般人を平気で殺そうってのかよ」


 怒気を孕んだ声音で告げると、奴は真顔で口を開いた。


「これは予感ではなく確信だ。貴様の心は今まで視たこともない程強大で禍々しい。貴様はいずれ、この国に厄災をもたらす。厄災の種は早い内に摘み取らなければならん」

「…………」


 ……駄目だな。今の会話ではっきり理解した。

 この糞野郎には、何を言っても無駄だってことを。

 第六騎士団だかなんだか知らねーが、殺しに来るってんならこっちも抵抗させて貰うぜ。

 俺は両腕にナイフを纏い構える。


「戦る気か?愚かだな、抵抗しないなら楽に死なせたものを」

「ぶっ殺す」


 お互い戦闘態勢に入った瞬間、同時に間合いを詰めた。


「オラァァ!」

「ハッ!」


 ナイフと剣が交差する。

 力押ししようとしたが、岩のようにピクリとも動かない。俺はそのたった一合で悟る。悟ってしまった。


(こいつ……俺より糞強ぇ!)


 力量の差が判然と分かってしまった。

 純粋な力勝負では負ける。小細工や絡め手、不意打ちを仕掛けないと敵わない。

 俺は接近戦を諦め、一度距離を取る。


触手フィーラー

「フンッ」

「くっ!」


 背中から生やした触手も、高速の斬撃によって斬り刻まれてしまう。今度は弩級を身に纏い、地面に落ちている岩を圧縮しながら人外の力で限界まで弓引き、


「アロー!」

「ハッ」

「くっそ、これでも駄目か!」


 解き放った弾丸は、振り払われた剣に受け流されてしまった。

 ……どう戦う、どの戦法なら奴に通用するのか。考えろ、考えるんだ。


「おぞましい能力だ……まるで悪魔のようだな。本性を表したな、悪党め」

「本物の殺人鬼に悪党呼ばわりされる謂れはねーんだよタコ」


 変則的な戦い方をしても、全て去なされてしまっている。攻撃が一向に通らない。

 駄目だ、素のままじゃ勝てねぇ。

 昨日の戦いで消耗し過ぎてまともに使えるか怪しい所だが、ここは無理をしてでもやらなくちゃならない。

 俺は身体の内側から無理矢理力を引っ張り出し、全身に解き放った。


「スキル解放・モード【Beelzebub】」

「……さらに凶悪化したな。ならば私も悪を討つ為に使わせて貰おう」


 スキルを解放した姿の俺を睥睨するヘルヴェールは、突如剣を掲げて言い放つ。


「聖剣解放・輝け、【クライブソリシュ】」


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